(Photo:Hivisasa Africa)
国連安全保障理事会は10月2日、13票賛成、2棄権(中国、ロシア)の採決結果で、ケニア率いる多国籍治安支援の展開を承認した。この決議2699(2023)は、国際連合憲章第7章に基づき、国際法に厳密に準拠し、各個の加盟国および地域機関からの自発的な貢献と支援によって運営が行われることを前提として、可決されたもの。決議文にはハイチおよびその地域の平和、安定、安全を損なう増加する暴力、犯罪活動、人権侵害に断固として抗議し、9月22日のハイチ政府の要望に基づき、ミッションがハイチ国家警察と調整し緊急の暫定措置を採ることができるとしている。さらに、加盟国および地域機関に対して、ミッションの緊急なニーズに基づく人員、装備、必要となる資金および物流リソースを提供するよう呼びかけている。協力の意思のある加盟国には、ミッションの指導部、理事会、事務総長に参加意向を通知する必要があり、また、ハイチおよびミッションの指導部に対しては関連する人員および装備の展開の進捗状況について定期的に報告することが求められている。理事会はまた、人権侵害や虐待を防止するために監視メカニズムの設立をミッションに要請すること、展開中の作戦計画と実施が適用される国際法に準拠することを確保するよう求めている。
上述の通り棄権したのは中国とロシアの2カ国である。ロシアの代表者は、ハイチが直面している問題の緊急性に完全に認識し、原則的にはこのイニシアチブに反対意見はないものの国に軍隊を派遣することは慎重に考えるべき極端な措置であると述べ、棄権した理由を語った。ロシアはまたこのようなミッションへの認可は非常に深刻であり、その結果を完全に理解する必要があると指摘した。ロシアが指摘するのは「国連憲章の第7章が盲目的に引用されている」ことであり、外国の干渉は過去にハイチを苦しめたことを想起し、ミッションの任務が短期的である限り、明確なパラメータを作れないことを強調した。またミッションに関する詳細情報や撤退戦略の要請に応じられなかったと述べている。しかしロシアもまたミッションが国内の状況を迅速に安定させることを望む国の一つだ。
一方の中国は政治的な面において、正当かつ効果的な政府が存在しない限り、「外部の支援は持続的な効果をもたらすことはできない」と強調し、ハイチの現状と国際協力の観点にフォーカスをおき述べている。彼が強調するのはハイチ当局とすべての政党・派閥が、できるだけ早く移行措置について最大限の合意を達成し、実現可能かつ信頼性のある時間枠を策定するべきだということだ。そして可決されたミッションに対して、その主導する国々がセキュリティ部隊の展開についてハイチと深く協議し、それらの取り決めがハイチの人々の支持を受けるようにすることを望むと述べている。
安全保障理事会における本決議は議長国ブラジルを筆頭にアルバニア、中国、エクアドル、フランス、ガボン、ガーナ、日本、マルタ、モザンビーク、ロシア、スイス、UAE、英連邦、米国によって行われたもの。なお、カリブ共同体(Caribbean Community:CARICOM)を代表して発言したジャマイカのブライアン・クリストファー・マンリー・ウォレス(Brian Christopher Manley Wallace)は、強力なギャングによる犯罪行為とそれによる高い不安定さのため、ハイチの人口の半分が人道支援を切望しており、状況は日々悪化していることを背景に「私たちには、治安回復を支援し、ハイチの持続可能な開発を促進するために、安定した政治的、社会的、経済的環境に貢献することが求められている」と強調し、ハイチへの多国籍治安支援ミッションを歓迎した。また、ケニアが同ミッションを率いるという確固とした決意を称賛し、カリコム諸国も人員やその他の支援を提供すると付け加えた。 また、安保理決議が採択されるまでの間、他の地域や世界の国々が支援を約束していることに触れ、他の加盟国に対し、治安要員や後方支援、財政支援を行うよう促した。 さらに、加盟国に対し、ハイチ国家警察の必要資金を賄うための安全保障バスケット基金への拠出と、ハイチに対する人道対応計画への拠出を求めた。 カリコムは、地域および国際レベルでの協力に引き続き尽力するとし、カリコム有識者グループは、政治的行き詰まりを解決し、同国の政治的不安定を再確立することを目的とした仲介役として、ハイチ政府および利害関係者との関与を続けていると述べた。
多国籍セキュリティ支援ミッション率いる予定のケニアからマルティン・キマニ(Martin kimani)が、ミッション派遣が決まったことを受け苦境にあるハイチ国民に希望の光を灯したと述べた。 ケニアは、この採用がハイチの安全保障のルネッサンスに大きく貢献し、ガバナンスの強化、社会経済の向上、法の支配の触媒となることを確信しているとした。同国もまた加盟国に対し、同ミッションへの人員、資金、機材、後方支援への拠出を呼びかけている。
ガイアナのキャロリン・ロドリゲス(Carolyn Rodrigues-Birkett)は、カリコムと同じ立場で発言し、ハイチ情勢に対応するミッションを歓迎した。ガイアナは同国との連帯を表明し、多国籍安全保障支援ミッションに貢献する用意があると表明した国々、特に同ミッションを率いることを申し出たケニアを称賛した。 ハイチ国家警察がハイチ全土の長期的な平和と安定の確保に貢献できるよう、こうした支援は継続されなければならない。 とはいえ、彼女は危機の多次元的な性質を強調し、国際的な行動を政治的、経済的な側面からも進めるよう求めた。 危機に対するいかなる解決策も、ハイチが主導し、ハイチが所有し、ハイチに焦点を当て、地政学的な都合にとらわれないものでなければならない。 また、人道支援計画に十分な資金が提供されるよう、パートナーに要請した。また彼女は、食料安全保障を確保するため、農業への投資を含め、人道計画に十分な資金を確保するようパートナーに求めた。 ガイアナは、ハイチに対し、食糧と医薬品という形で人道支援を提供しており、本日の行動を受け、他の 形態での支援も検討していると付け加えた。
この決定を受け米国ジェフリ・デロレンティス(Jeffrey Delaurentis)は、理事会がハイチにおける多次元の危機に対応するため、ハイチ政府と市民社会の要請に応え、ケニアに率いられたミッションを認可することで歴史を作ったと述べている。ミッションは、長い間続いてきた深刻な人道危機と安全保障のため、国の即時のニーズをサポートし、長期的な安定のために必要な安全条件を促進するのに役立つと強調し、また、過去のミッションからの教訓を考慮し、人権と説明責任のための保障策を確保する必要性を強調している。
ブラジルのセルジオ・フランサ・ダネーゼ(Sérgio França Danese)は、ハイチの緊急の安全保障ニーズを考慮して、自国はミッションの許可に賛成したことを述べた。ミッションは、通常の生活と経済活動が再開するために安全を確保しなければなりとし、「行動が真剣で誠実でない限り、連帯は不十分となる。完全な武器禁輸を行い、暴力団や準軍事組織を無力化するためには、特定の取り組みが必要だ。また、国家機関の再開と運営を可能にするための広範な政治的理解、自由で公正な選挙の実施、人道支援の強力な再開、そして協力と経済支援、特に持続的な支援が求められる。これがハイチ人が将来を自分たちの手に取るための唯一の方法であり、決議が成功するためのものだ」と付け加えた。
ハイチの外務大臣、ヴィクタ・ジェヌス(Victor Geneus)はミッション派遣の決定に貢献したすべての人々に感謝し「それは単なる投票以上のものであり、苦境にある人々との連帯の表明だ」と強調した。この投票は、ハイチが直面している多次元の危機を解決するための進展であり、人々に希望の光を与えるものであるとし、危機を見極め、緊急の行動が必要であることを理解した理事会に感謝した。またミッションの指導を引き受けることに合意したケニアに感謝を示した。彼はこの承認はハイチの機関の正常な運営に向けた最初の段階を表しており、社会経済の発展や極度の貧困の問題に取り組む必要性を強調している。
多国籍治安支援(Multinational Security Support Mission:MSS)への採決はケニアのアルフレッド・ムトゥア(Alfred Mutua)外務・ディアスポラ担当官房長官が、「ハイチ警察が国内の平静を取り戻し、戦略的施設を保護するための訓練と支援を行う」ために1000人の警察官を派遣すると申し出た数週間後に行われた。国際連合が支援はするが運営はしない国際治安部隊であるMSSの投入に異議がないかといえば、そんなことはない。ハイチへの外国軍の派遣は、数十年にわたる欧米列強によるハイチの主権と国民の民意を破壊しようとする一連の試み、つまり新植民地アジェンダと指摘する者もいる。
例えばケニアの政治家であり弁護士でもあるジョン・アウコット(John Ekuru Longoggy Aukot)は、「ケニアの警察官1,000人をハイチに派遣するのは無策だ」。ハイチ危機の責任はアメリカとヨーロッパにあり、「アメリカとフランスに、自分たちが引き起こした混乱を解決させればいい。ケニアは彼らの尻拭いに使うべきではない」と語っている。
ケニアのウィリー・ムトゥンガ(Willy Mutunga)元最高裁判事は、9月下旬の意見書で、この派遣を「違憲」と呼び「我々の主権が、われわれの参加と最終的な同意なしに、他国の主権を破壊するために決して使われてはならないことを要求する」と述べた。「わが国の政治指導部とそれを監督する行政府は、外国の利益に忠実であり、わが祖国を搾取し、支配し、植民地化し、占領し、辱めようとする外国の利益に抵抗するために、ケニア国民の助けを求めたことは一度もない」とムトゥンガは続けた。
ケニア共産党(Communist Party of Kenya:CPK)もまた、米国主導のコア・グループと国連が、「新植民地主義的アジェンダ」の一環として、「黒い顔」を使ってハイチを残虐に扱おうとしていると非難している。8月下旬に発表された声明の中で、CPKは「カリブ海諸国やアフリカ諸国の徴用によって過去に行われてきたように、(ケニア主導の治安部隊の派遣は)第三世界の国々がハイチからの搾取を支持することによって、人種差別や欧米外国勢力の抑圧的な掌握という非難を防ぐため」に行われる者だとしている。「ハイチへの軍隊派遣に同意することはケニア政府もまたハイチ国民の主権と自決を低下させることに加担してしまう一方で、米国、コア・グループ、国連の新植民地的利益を温存するものだ」と声明は続いた。
このようにミッションを率いるケニアにおいても一枚岩でない。むしろハイチの主権侵害の可能性以上に、自国の問題も解決していない。アウコットとサードウェイ・アライアンス(Thirdway Alliance)のミルル・ワウエウ(Miruru Waweu)代表によると警察官の国外派遣を認める法律や条約を批准していないという。警察官をケニア国外に派遣することを想定されていなければ、この計画を承認する内閣決議も開かれていなかった。 彼らはさらに、ハイチ政府からの要請はないとして、この動きに異議を唱えている。多くの人間が危惧するように現在国のトップかの如こう振る舞っているアリエル・ヘンリ(Ariel Henry)はそもそも民主的に選ばれた代表でもなければ、元大統領の暗殺に関わったのではないかとされる人物だ(詳細はこちら)。
しかしケニアのウィリアム・ルト(William Kipchirchir Samoei Arap Ruto)大統領は、植民地主義によって荒廃した国家における「人類のための使命」であると述べ、アルフレッド・ムトゥア外務大臣もまた、ケニアはハイチのアフリカ人奴隷の子孫を助けることによって「神の意志」を行っていると述べた。また、ケニアが海外での平和維持活動に貢献してきた長い実績を指摘する。しかし上述の通りケニアが過去派遣してきたのは警察部隊ではなく、主に軍である。クーメはハイチ派遣部隊は特殊部隊から選ばれる予定であることを語り、また彼の部下たちは「よく訓練されている」と述べた。しかしルトの反対派のなかには、この介入を甘い考えと決めつけ、国際的な評価を得るために警察官の命を危険にさらす政府を非難する者もいる。彼らの考えではケニア警察は、ギャングに数で圧倒され、銃で圧倒されているハイチ警察と攻防を繰り広げることになるのではないかとトヌイは想像している。そして彼によるとケニアの警察はほとんどが軽火器の訓練を受けており、戦闘経験はほとんどない。一方「ハイチの戦闘員は0.50口径の重機関銃を持っている」。「我々の警察官は軍隊のように地図を読む訓練を受けていない。コミュニケーションの訓練も受けていない。機関銃のような武器の扱いも訓練されていない」。アウコットは「その配備は、1000人の警察官にとって自殺行為だ」と彼はXに投稿している。国際危機グループのアフリカ担当プログラム・ディレクターであるムリティガ ・ムティガ(Murithi Mutiga)も「ハイチにおける安全保障上の課題はかなり異なっており、低所得者層が密集する居住区で活動するギャングたちは、地形を熟知しており、その支配を維持することに商業的な関心を持っている」「このような介入は、ケニアがこれまでに行ったことのない異例なものであり、非常に慎重かつ注意深く行う必要がある」と語った。「大統領を喜ばせるためだけに、ケニアの血を使い、世界有数の強国であるアメリカの玄関口で戦うことを受け入れるつもりはない」とルト批判者のジェムス・オレンゴ(James Orengo)西部シアヤ郡知事も語っている。
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— Diario Libre (@DiarioLibre) October 20, 2023
コードピンク(Codepink)、プログレッシブ・インターナショナル(Progressive International)、国際人民会議などの反戦団体や進歩的組織も、ケニア主導の安全保障ミッションを非難し、ラテンアメリカとカリブ海諸国の社会運動プラットフォームであるALBA Movimientosは声明もまた「まるで主権が票の問題であるかのように、国連は再び人民の権利の上を通過した」と述べている。フランツ・ファノン財団(Frantz Fanon Foundation)は「この軍事介入は、ハイチ国民の自決権と主権に対する攻撃であり、この制度的暴力は、ハイチ国家に自由と独立の代償として非合法かつ不法な債務を支払わせたフランスを含む旧植民地支配者たち、さらには米国やIMFや世界銀行などの国際機関が行使した暴力を再生産するものでしかない。フランツ・ファノン財団は、「この軍事介入のプロジェクトは、かつての植民地支配者のプロジェクトを拡大したものである」と述べている。「この介入は、ハイチ社会の問題の解決策であるかのように見せかけながら、これら同じ問題の根源にあるプロセス、すなわち、領土、経済、制度に対するハイチ国民の主権の否定を更新するだけである。ケニア軍の非合法的で反汎アフリカ的な介入を通じて、帝国主義諸国は、ハイチに対する人種差別的支配政策を長引かせるためにアフリカ諸国を利用している。ハイチは、これまでも、そしてこれからも、大陸とディアスポラにおいて、世界中のアフリカ人民に対する抑圧の実験場となるだろう。今日はハイチだが、明日は、この軍事介入計画に署名することに同意したカリコム諸国のひとつになるだろう。フランツ・ファノン財団は、この介入と、帝国主義国家の利益のためにアフリカ諸国が道具化されることを強く非難する」と付け加えた。人権監視団によれば、ケニアの警察は市民に対して時に殺傷力を行使してきた歴史があり、過去の介入で外国軍が虐待を犯したハイチでは容認できないリスクをもたらすという。一方のムトゥアは、ケニアのミッションが急がれるのではないか、あるいは望まれないのではないかという懸念を一蹴し、内部世論調査ではハイチ人の80%がケニアの駐留を歓迎していると述べた。
ハイチの市民団体や社会運動は、同国への過去の外国軍の介入によって引き起こされた深刻な問題を理由に、外国軍の駐留を認めるという考えに強く反対した。彼らはまた、ギャングの暴力を口実に2021年に予定されていた大統領選挙と立法委員選挙を無期限に延期したアンリや与党の極右ハイチ・テト・ケール党(PHTK)に、この国が直面している経済的、社会的、政治的、制度的危機の責任があるとする意見を支持する国際社会を非難した。ハイチ民主委員会のメンバーであるアンリ・ボワスロラン(Henry Boisrolin)は、バリカーダTV(Barricada TV)のインタビューで、「1000人の警察官では、明らかに治安の問題を解決できない」と指摘した。彼の指摘によると1000人の警察官の存在は「ハイチ国民ではなく、指導者や組織を守るためのものだ。これは明らかだ」と言う。ボアズロランは、「この(ミッションの)政治的目的は、新たな臨時選挙評議会の設立を通じて選挙を組織するために、一種の見かけ上の平穏を得ようとすることである……我々はこれを『選抜選挙』と呼んでいる」とも語っている。ボアズロランもまた、人々を誘拐し殺害し、女性をレイプし、家を燃やしている犯罪組織は、「コアグループや政府と直接的な関係がある」と非難した。「ハイチは武器や弾薬を生産しておらず、これらの武器や弾薬がアメリカから輸入されていることは誰もが知っている。これらの武器はどうやってハイチに届くのか?ハイチには武器禁輸措置すらとられているのに」と語った。ボワロランにとってハイチの問題への対峙には「まず第一に、あらゆる意味で人民の闘争を強化すること」が重要であり、ラテンアメリカとカリブ海大陸の兄弟姉妹の助けではなく、連帯を頼りに、解放戦線を作ることができるかどうかを確認する必要がある。そこからは、これらの暴力団と対決することさえできるハイチ国民の抵抗力に全幅の信頼を寄せる」ことが可能だとした。ボワロランは、「4月以来『ブワ・カレ(Bwa Kale)』と呼ばれる運動が国内で起きており、民衆が一部の民族主義的な警官と一緒にギャングと対決するために外出し、ギャングを捕まえて対決している」ことを指摘した(詳細はこちら)。4月から7月にかけて、誘拐の件数は大幅に減少しており、ハイチ人は自分たちで問題を解決できるという見解を持っている。彼は「私たちは自信を持っている。道のりが険しく、容易でないことは承知しているが、ハイチ国民の回復力と抵抗力、そして民衆組織のリーダーたちの創造力を信頼している」と付け加えた。ニューヨークのハイチ人の一部もまた、国連安全保障理事会の決議が承認されたことに対し、ケニア大使館前で抗議している。
ケニア高等法院は、エクル・アウコット率いる第3者同盟党などの申し立てを受け、ハイチへの警察官派遣を10月24日まで差し止めており、ウィリアム・ルト(William Ruto)大統領、国家安全保障会議、ジャペット・クーム(Japhet Koome)警察総監、キトゥレ・キンディキ(Kithure Kindiki)内務長官、モーゼス・ウェタングウラ(Moses Wetang’ula)国会議長、ジャスティン・ムトゥリ(Justin Muturi)検事総長とともに、被申立人としてリストアップされていた。ケニアでは国連が支援するハイチ・ミッションの指揮をとる用意があると述べているが、国内では、危険な介入を正当化し、暴力で荒廃した国に警察を派遣することの賢明さを説く圧力が高まっていた。水曜、国会議員たちは、このミッションについて明確にするため、ジャペット・クーム警察長官とキンディキ内務大臣を召喚し話を聞いた。木曜日、議会の委員会に出席したキンディキ内務大臣が語ったのは警察幹部12名によって行われた8月の視察のことであった。ハイチのポルトープランスにあるトゥーサン・ルヴェルチュール国際空港(Toussaint Louverture international airport)やその周辺を視察しており、彼によるとこのミッションは実行可能である。「ハイチに派遣されたチームの評価は、ミッションの実行可能性と成功を反映している。ケニアは2,500人の将校のうち、1,000人の将校を派遣することを約束しており、ミッションの任務は1年間で、それ以降は撤退するか、他の取り決めが生じることになります」と、キンディキは行政・国内安全委員会で語った。行政警察のヌル・ガボウ(Noor Gabow)副警視総監が率いるチームは、ハイチ住民の要望を理解するため、アメリカのニューヨークでも会議を開き、ハイチ政府の高官とも会談した。米国は、議会が承認すれば、MSSに2億ドルの一部資金を提供することとなっている。「技術的、運用的な取り決めは進行中であり、来年早々の実戦配備までには、さまざまな関係者による事前視察が予定されている。法的要件が満たされるまでは、派遣は何も起こらないだろう」。 「というのも、わが国の警察官は過去、ナミビア、リベリア、旧ユーゴスラビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、東ティモール、カンボジア、クロアチア、コソボ、シエラレオネ(2回)、南スーダン(継続中)、コンゴ民主共和国(継続中)の国連ミッションや、ダルフールやソマリアのAUミッションに従事し、大きな成功を収めているからだ。「だからこそ、こうした話し合いが行われたとき、私たちが国として重視したのは、国連安保理の下で法的な裏付けが得られれば、自国の将校を法的性質の危害から守ることができるということと、派遣前に自国の法律が遵守されていることを確認するという、2つの前提条件だけだったのです」と、治安担当官は付け加えた。その後10月13日金曜日、ケニアの内閣はハイチへの警察官1000人の派遣を承認している。
ケニアの発表を受けて、ハイチへの国際部隊派遣を強く求めてきた米国政府とアントニオ・グテーレス国連事務総長は、ケニア政府が潜在的なミッションを主導する意思を示したことを歓迎した。ハイチ国民は、外国からの干渉をやめ、自決権を尊重するよう明確に求めているにもかかわらず、である。米国務省のマシュー・ミラー(Matthew Alan Miller)報道官は記者団に対し、ワシントンはエクアドルとともに国連安全保障理事会決議を提出し、派遣を承認すると述べ、カナダ、ジャマイカ、バハマはこの取り組みを支援すると発表している。
参考資料:
1. Kenya court stops police deployment to Haiti
2. Kenyan political leaders decry UN authorization of military intervention in Haiti
3. ‘Unusually risky’: Kenya faces scrutiny over Haiti mission
4. Some Haitians in Diaspora Reject UN Resolution to Send Kenya-Led Multinational Police Force
5. Haitians reject Kenya’s plan for armed interventio
6. Security Council Authorizes Multinational Security Support Mission for Haiti for Initial Period of One Year, by Vote of 13 in Favour with 2 Abstentions
7. UN approves Haiti security mission to fight gangs
8. Explainer: Why did the UN vote to send an international force to Haiti?
9. Kenya’s Cabinet approves ‘viable’ police deployment to Haiti
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