コロンビア:国内最大のスキャンダル、軍による民間人処刑を謝罪

イバン・ベラスケス(Iván Velásquez)コロンビア国防大臣とコロンビア陸軍司令官ルイス・オスピナ(Luis Ospina)将軍は火曜日(2023年10月3日)、ボゴタでの公開謝罪式典にて内戦の最も激しい時期に、軍によって反乱軍の戦闘員というレッテルを貼られ殺された少なくとも6,402人の市民のうち超法規的処刑がなされた19人の民間人の親族に対し公式に謝罪した。本民間人に対する殺戮は「偽陽性(falsos positivos)」として知られ、国内最大のスキャンダルとされている。軍は無実の民間人を殺害、その後ゲリラの格好をさせた。それらの行為はゲリラ軍に対する軍の功績を誇示のためになされたもの。

殺害は2004年から2008年にかけて行われた。謝罪はコロンビア革命軍に対するキャンペーン強化の一環で行われたもの。コロンビア政府は2016年に政府と同国最大の反政府組織との間で和平協定が結ばれたにもかかわらず、未だ農村部で軍と戦い続けている武装集団との和平交渉を進めている。

 

ルイス・オスピナはボゴタでの式典で「我々は、国軍のメンバーによって、決してあってはならない痛ましい行為が行われたことを認識している」と述べ、また、殺人犯とその共犯者たちは、国軍という組織の「正当性を汚した」と付け加えた。そして「私たちは心からの謝罪を捧げる」「私たちは許しを請う」と犠牲者の親族に語った。

イバン・ベラスケス国防相も「このようなこと(殺害)は決してあってはならないこと」であり、「私たちは、世界の前で私たちを辱めるこれらの犯罪について、皆様の許しを請う」と演説した。

犠牲者家族の多くは女性で、オスピナの言葉に耳を傾け、2004年から2008年の間、休日や勲章などの利益と引き換えに軍事的成果を膨らませるために行われた虐殺が、誰の命令によってなされたのか、その真相を知りたいと訴えた。

 

被害者である若者たちは仕事という名目で軍人に誘われ冷酷にも射殺されたと言う主張に対し、軍司令官たちは今まで組織犯罪性を否定し続けてきた。軍はむしろ治安部隊を委縮させるための左翼組織の創作だとさえ言っていた。

ボゴタとソアチャ出身の若者のほとんどは、ベネズエラと国境を接するノルテ・デ・サンタンデール県に連れて行かれ殺された。上官から殺害するよう圧力をかけられたというものや、陸軍のトップ(2006年〜2008年)であり、右派のアルバロ・ウリベ(Álvaro Uribe)前大統領と非常に親しかったマリオ・モントヤ(Mario Montoya)将軍を指弾する者もいる。これらの人間は真実を語り、被害者に賠償することで、刑務所に代わる刑を受けることができる。

グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領はこの事件を「ジェノサイド」と呼んだ。前政権や元軍部指導者を批判してきた大統領は、「二度と国民にライフルが向けられることがないように」と述べている。

 

 

なお、falsos positivosオペレーションを拒否した軍人たちもまた殺されたとされている。例えばラウル・アントニオ・カルバハル・ロドニョ(Raúl Antonio Carvajal Londoño)もそのうちの一人だ。2006年10月8日に殺された彼は拷問の後に殺されたことがわかっている。しかし軍による公式発表では、ベネズエラとの国境にあるカタトゥンボ地方のエル・タラという自治体での「戦闘」が死亡原因とされている。

https://twitter.com/ELTIEMPO/status/1404194592283635719

 

軍人の父親で、息子の死の真相を死ぬ直前まで求めていたドン ラウル・カルバハルはしかし、ゲリラとの戦闘はなかったことを確認している。息子の死の直前に本人から電話を受けた内容によると、息子のラウル・アントニオ・カルバハル・ロンドニョはサンタンデール北部で行われる罪のない2人の若者の殺害関与を拒否した。それ以来命の危険にさらされるようになった。父親は晩年、首都中心部の7通り(carrera)と14番通り(calle)に白いバンかトラックを停め息子のために正義を求め、アルバロ・ウリベが事件の捜査を十分に行わなかったことを非難した。彼は全国を走り回り、また、ボゴタ市を拠点に活動していた。しかし父親は正義を獲得する前の2021年6月13日、COVID-19の影響で死亡した。

 

参考資料:

1. Gobierno de Colombia pide perdón por ejecuciones de civiles
2. Ejército de Colombia pide inédito perdón por ejecuciones de civiles
3. ¿Quién fue Raúl Carvajal?
4. La lucha implacable de un padre por revelar la verdad sobre la muerte de su hijo: Así es la historia real tras la nueva novela del escritor colombiano Ricardo Silva Romero
5. Madres de víctimas de falsos positivos en el acto de excusas públicas: “Uribe es quien debería estar aquí”

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