メキシコ:アヨツィナパ事件、発生から9年、師範学校とはいかなるものか

ゲレロ州イグアラのアヨツィナパ(Ayotzinapa)師範学校の学生43人が2014年9月26日に拉致され、行方不明になった。通称アヨツィナパ事件はエンリケ・ペニャ・ニエト大統領の任期中(2012年~2018年)に起きた最も大規模な政治危機としても世界的な注目を浴びている。師範学校にの名前については、有名になったものの、その実態はあまり知られていない可能性もある。本記事は失踪した生徒たちのいた師範学校について紹介するものである。

 

アヨツィナパ師範学校(正式名称ラウル・イシドロ・ブルゴス農村師範学校/Escuela Normal Rural Raúl Isidro Burgos)に通う学生には一人一人には人生の物語があり、世界を変えようという強い意志がある。裕福でない学生しか入学できない師範学校にやってくる生徒のほとんどは、ゲレロのモンターニャ、シエラ、コスタ・チカ(Montaña, Sierra y Costa Chica)のコミュニティーに住む農民の子供たちである。

師範学校では小学校教育に必要な体育、異文化バイリンガル(ナワトル語、トラパネコ語、アムズゴ語、ミクステコ語)など様々科目に対する教授法が学べる。校舎はトウモロコシを植えるために開かれた丘陵地に囲まれ、寄宿舎、浴室、食堂、台所、寮、作業場、農地、さまざまな種類の家畜の飼育などがある。この施設は、学生や労働者に住居を提供している。彼らは、政府から支給される乏しい資金と、学業を終えて地域社会に戻り、子供たちに基礎教育を受けさせるために強制的に払わされるボテオで生活している。教員養成課程の学生の訓練は、学問的準備、専門的準備、実践的準備の3つの軸で展開される。教師になるための訓練に加えて、アヨツィナパの学生たちは雨季にはトウモロコシを、乾季にはソルガムを植える。生徒たちは学校の管理運営に直接参加するだけでなく、維持管理活動も担当している。アヨツィナパでは、理事たちは生徒委員会に相談せずに決定を下すことはできない。これは生徒たちが水平的な運営を追求する中で、ずっと以前に勝ち取った権利である。

メキシコ革命から10年後、先住民や農民を国民生活に取り込むために、農村学校モデルが開発された。農村学校は、これらの地域の住民を社会的、経済的、道徳的、知的、身体的美的の5つの分野で訓練するため、そして非識字を減らすことを目的とし作られた。

 

学校が開校されるにつれ、都市部とは異なる問題や課題を抱える農村部の生徒の教育に焦点を絞った教員クラスの養成が必要であることが明らかになった。いである。後者では、教員は農村生活の需要に応じて養成され、地域社会の発展に貢献している。

農村教員養成大学は、農業産業の創出を通じて農村の発展を支援するというプロジェクトに導かれて設立された。電気、水道、交通などの公共サービスが不足している地域に設立された。最初の数年間は、次の3種類のコースが提供された。1)現職教員を対象とした臨時の改善コース(休暇期間中)、2)教員志望の若い農民を対象とした正規コース(4学期制、2カ月ごとに休暇期間あり)、3)総合的な教育を求める者を対象としたエクステンションコース(識字実習、科学普及、農業、小規模産業、家庭経済に関する1週間の授業)。

 

ラウル・イシドロ・ブルゴス(Rural Raúl Isidro Burgos)師範学校は、メキシコ社会主義農民学生連盟(Federación de Estudiantes Campesinos Socialistas de México:FECSM)の一部でもある。また、貧民党(Partido de los Pobres)の創始者ルシオ・カバニャス・バリエントス(Lucio Cabañas Barrientos)や国民革命市民協会(Asociación Cívica Nacional Revolucionaria:ACNR)の指導者へナロ・バスケス・ロハス(Genaro Vázquez Rojas)もまたこの教室に通っていた。両者とも、最初はイグアラで、次にアトヤック・デ・アルバレス(Atoyac de Álvarez)で、農民の虐殺に端を発したゲリラ運動を率いた。不平等と闘い、地域社会のより良い条件を求めて命を落としたが、戦いに敗れた。 ゲレロは今も、国内で最も貧しい州のひとつである。

 

アヨツィナパに関するその他の記事はこちらから。

参考資料:

1. Caso Ayotzinapa: familiares de normalistas piden al Poder Judicial homologar procesos penales
2. Padres de los 43 normalistas se concentran en el Hemiciclo a Juárez
3. ¿Qué significa ser normalista de Ayotzinapa?
4. López Obrador, a las familias de los 43: “Yo no soy Peña Nieto, yo no encubro”

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