アマゾン・ダイアログ2023:未接触の民族との強制接触について「犯罪化」を求める

先住民族の指導者、国際機関、NGOは、アマゾン諸国の指導者に対し、ジャングルの中で自発的に孤立して暮らす人々との強制的な接触を「犯罪化」するよう呼びかけた。日曜日に終了したアマゾン地域首脳会議に先立ち、その一環として発表された提言は、世界最大の熱帯雨林に広がる185と推定される未接触部族の承認と保護を求めるものである。

アマゾン条約機構とブラジル先住民省が主催するこの会議では、ヤノマミ領土の特定と画定、農業活動の禁止、これらの地域での違法採掘と伐採の取り締まりも要求された。

「ルラ大統領は、ヤノマミの土地というおそらく最も困難な優先課題から着手した。今、私たちは非常に複雑な局面にあり、現場に残る一部が犯罪組織と関わっている」と、マリナ・シルバ(Marina Silva)環境大臣はベレンから人種平等大臣アニエル・フランコ(Anielle Franco)、女性大臣シダ・ゴンサルヴェス(Cida Gonçalves)、国立インディアン財団(Fundación Nacional del Indio:FUNAI)会長ジョエニア・ワピチャナ(Joênia Wapichana)とともに評価した。

会議のもう一人の参加者、ペルージャングル開発民族間協会(Asociación Interétnica de Desarrollo de la Selva Peruana)のフリオ・クスリチ(Julio Cusurichi)は、孤立した先住民のために確保された領土を拡大する必要性を指摘した。「現在、保護区は狭い範囲に限定されているため、先住民が移動する全領域をカバーすることが重要だ。実際には、これらの先住民のテリトリーはもっと広範囲に及ぶことが明らかになっている」とクスリチは述べた。

国境地帯に多く住む未接触インディオの保護を改善するため、文書はこの地域の国々に「協力協定」を結び、監視のための「適切な」物的資源を割り当てるよう求めた。現在のところ、アマゾン地域のすべての国が、これらの民族を認識するための公的な政策を持っているわけではないため、「アマゾン全域において、彼らの存在と権利を認識することが不可欠」である。

一方マリナ・シルバは、連邦政府によって次に画定される先住民の土地は、パラ州のカヤポ族とムンドゥルク族の土地であると断言している。

 

疫学的な脅威がしばしば彼らの前に立ちはだかる中、各団体は、外部から持ち込まれる疫病の蔓延を防ぐため、彼らの住む地域の周囲に「衛生境界線」を設けることが必要だと提言した。未接触の人々は、特定の病気に対する免疫学的防御の欠如、生活のために依存している天然資源への圧力、政治的な場での発言力の欠如など、さまざまな脆弱性に直面している。

アマゾン・ダイアローグは、金曜日から日曜日にかけてブラジルの都市ベレンで開催された。対話の結果は、8日から9日にパラ州の州都で開催されるサミットに参加するアマゾン地域の大統領たちに、市民社会の代表によって提示される。

会議の主催者であるルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルバ大統領は3日木曜日、「アマゾンの保全と開発」に貢献するよう世界に呼びかけた。「熱帯雨林を維持するためなら、投資は安いものだ」とルラ大統領は語った。ルラ大統領は今週末、アマゾン首脳会議の開催に合わせて暗殺を計画した疑いのある牧場主を逮捕し、話題となった。

パラ州のサンタレン市で逮捕されたのはルラ大統領を射殺すると発言した男である。ブラジル連邦警察によると、この男は酒屋に行き、「大統領の腹を撃つ」と語っていた。警察によると、この男は「(ルーラが)この街に旅行した際に滞在していた場所を知っているかどうか、その場にいた人々に尋ねたと伝えられている」ため、目撃者が警察に通報して逮捕された。警察への供述で男は、自分は農民で元ワイルドキャット金鉱労働者であり、1月8日のブラジリア暴動にも参加したと語った。彼はまた、その日議会のグリーンルームに侵入したとも捜査当局に語っている。捜査当局は2つの物件を家宅捜索し、大統領暗殺未遂を含む多くの犯罪を捜査している。

別の事件では、警察はベレンで、銃器を所持し、ソーシャルメディア上で「大統領に対する攻撃の脅迫画像」を公開したとして告発されている警備員の家宅捜索を行った。

どちらの事件もルラ大統領がアマゾンの熱帯雨林保護を目的としたサミットを開催する予定のブラジル北部パラ州で報告されたものだ。

ブラジルのみならず違法採掘はアマゾンの熱帯雨林と先住民の住処を荒廃させている。ブラジルのヤノマミの保護区だけでも、2万人もの「ガリンペイロ」と呼ばれるワイルドキャットマイナーが活動しているとされ、熱帯雨林の広大な土地を破壊しています。破壊されているのは自然のみならず、そこにすむ人々の人権、そして残念ながら彼らの命までも奪われているのが実情だ。違法鉱山は小規模なプロジェクトではなく、多くは正式な鉱山と同規模で、数百万ドルの価値があり、年間数百ヘクタールの森林を破壊している。地元の人々は、鉱山労働者が先住民の少女や女性を強姦し、殺害していると報告している。

ガリンペイロは金を求め世界中で活動している一方上述の通り違法採掘のみならず、人権に伴う犯罪、暗殺など汚い評判が後を経たない。金採掘は、アマゾンの森林破壊の推定10%、水銀汚染、重要な河川の堆積の原因となっている。 ガリンペイロは法の及ばないところで森林を略奪し、暴力的で不道徳なことを繰り返すこともあり、先住民たちは自警団を作り見回りなどもしている。しかし違法行為が報告されても、適正に裁かれていないのも事実である。

ブラジル政府は今年5月、先住民コミュニティーのメンバーが射殺された事件を受けて、ヤノマミ居留地に残っているガリンペイロを排除する努力を強化すると断言している。

4月末にはガリンペイロたちは1人を殺害し、2人が重傷を負っている。先住民たちは例えばブラジル最大の先住民保護区(ポルトガルほどの大きさ)に侵入した違法採掘者たちを立ち退かせているものの十分ではない。先住民族のソニア・グアジャハラ(Sonia Guajajara)大臣は「私たちは、違法にそこに残っているすべての鉱夫を追い出すための作戦を継続します」と、GloboNewsテレビチャンネルに語っている。彼女は、居留地に侵入した2万人以上の金鉱労働者の約80%は立ち退かせることはできたものの、まだそこにいる労働者はより激しく立ち退きに抵抗していると述べた。

マリナ・シルバ環境相は同じインタビューで、「彼らは立ち退かなければならず、国は立ち退きを撤回しないことを理解しなければならない。(….そしてそのために)我々は作戦を強化する」と語り、この仕事を終わらせるために武装勢力が出動する可能性もあると付け加えた。シウバ環境相は、300の採掘キャンプが解体され、20機の飛行機と1機のヘリコプターが環境保護機関IBAMA(Instituto de Medio Ambiente)のエージェントによって破壊されたことを報告している。

ルイス・イナシオ・ルラ・ダ・シルヴァ大統領は1月の就任時に、鉱山労働者の排除を誓った。彼らの存在は、ヤノマミに病気を蔓延させ栄養失調を引き起こし、狩猟の獲物を減らしたり河川を汚染したりして、人道的危機を引き起こしていた。

2月に大規模な強制捜査が開始され、ほとんどの鉱山労働者は立ち去るか、立ち去らざるを得なくなった。連邦警察は、鉱山労働者と先住民の衝突を調査中であり、銃撃事件の犯人を見つけ逮捕するために動いていると述べていた。

ガリンペイロらの活動は、ジャイル・ボルソナロ(Jair Bolsonaro)元大統領が、ブラジル憲法で禁止されている先住民族領土での採掘を完全に合法化したいと繰り返し発言で勢いづいた。そしてこれらの犯罪はいままでほぼ取り締まられることもなく、罰せられることもないに等しい。

ルラ大統領は、憲法で保護されている先住民の土地での採掘を容認しないと公約しており、環境保護局は、ジャイル・ボルソナロ前大統領の下で違法伐採と採掘が増加した他の5つの居留地での立ち退き作戦を計画している。

 

アマゾンサミットについてはこちらから。

参考資料:

1. Líderes indígenas piden criminalizar el contacto con los pueblos aislados en la Amazonia
2. Brazil steps up gold miner removal on Yanomami land after shooting
3. Brazil: Man arrested for threatening Lula ahead of summit

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