(Photo:@FuerzasMilCol/ Twitter)
2023年6月9日、グアビアレのジャングルで飛行機墜落事故から生還した4人の先住民の子供たちが救出された。その翌日、子どもたちを軍とともに探していた名犬ウィルソンが行方不明になった。ウィルソンの所在は現在も不明で、ガイドは引き続き友を探し続けている。
#GeneralGiraldo: "Nuestra premisa como comandos: Jamás se abandona a un compañero caído en el campo de combate. Avanza la #OperaciónEsperanza en la búsqueda de nuestro canino Wilson, que haciendo rastreo y en su afán de encontrar a los niños se aleja de las tropas y se pierde" pic.twitter.com/YwevvJuyIk
— Fuerzas Militares de Colombia (@FuerzasMilCol) June 10, 2023
2週間前、ウイラ県(Huila)を彷徨っているウィルソンと思われる犬の映像がソーシャルネットワークに流れた。しかし、そこに写っていた犬はベルジアン・マリノア・シェパードであり、ウィルソンではなかった。そんな中、新たな動画はインスタグラムなどのソーシャルネットワークで拡散されている。ウィルソンらしき犬は彼が行方不明になった場所に近いカケタ(Caquetá)県で撮影された。
6歳のウィルソンの犬種はベルジアン・シェパードである。軍は子供たちを発見した後も「捜索は終わっていない。私たちは『誰も置き去りにしない』と前提の元に捜査を進めている。兵士たちはウィルソンを見つけるための作戦を続けている」とツイッターを通じて述べていた。ウィルソンは子どもたちを見つけようと躍起になって追跡しているうちに、部隊から離れて迷子になった。
En desarrollo de la #OperaciónEsperanza, el perro llamado Wilson, de raza pastor belga, y seis años de edad, se extravió durante los registros que adelantan las Células Combinadas de Búsqueda en las selvas de #Caquetá y #Guaviare para hallar a los cuatro menores. (1) pic.twitter.com/pVFujtMgB9
— Fuerzas Militares de Colombia (@FuerzasMilCol) June 8, 2023
ウィルソンはジャングルで40日間生き延びた奇跡の主人公は、13歳の少女レスリー・ムクトゥイ(Lesly Jacobombaire Mucutuy)とその兄弟9歳のソレイニー・ムクトゥイ(Soleiny Jacobombaire Mucutuy)、4歳のティエン・ノリエル・ロノケ・ムクトゥイ(Tien Noriel Ranoque Mucutuy)、そして1歳の赤ん坊クリスティン・ネルマン・ラノケ(Cristin Neriman Ranoque Mucutuy)の救出に大きな貢献をした。それは誰もが認めるところだ。ウィルソンの失踪を受けイバン・ベラスケス国防大臣は「ウィルソンが行方不明だ。この偉大な友人が『希望作戦』で成し遂げたこと、ウィルソンが私たちに与えてくれる愛情、そして動物自身が持つ重要性」について語り彼の捜査救出への協力を求めた。しかしウィルソンと離れている時間が長くなるにつれ、生きているウィルソンを見つける望みは薄れてきてはいる。
子どもたちの捜索にあたった市民防衛隊のカルロス・ビジェガス()は、Blu Radioの取材に対し、ウィルソンが子どもたちの発見に貢献したと語った。ビジェガスによれば、ウィルソンは子供たちの居場所について「手がかりを与えてくれた」人物だという。「彼は私たちを見て、何かを伝えたがっていた。しかし、またジャングルの中に戻っていった」という。
InfobaeはChatGPTに対し「ウィルソン失踪の理由は何なのか」を聞いてみたと言う。それによると以下の可能性がある。
1)見当識障害
ジャングルは犬にとって複雑で不慣れな環境である可能性がある。ウィルソンはジャングル出身ではない。地形に慣れていなかったり、新しい刺激が多すぎたりすると、方向感覚を失い、道に迷った可能性がある。また、見当識という名の通り、現在の年月や時刻、自分がどこにいるかな ど基本的な状況を把握することができなくなる。
2)怪我や疲労
捜索中ウィルソンが怪我をしたり、肉体的疲労を負ったのではないかというもの。怪我を負った結果、動いたり捜索したりすることができなくなった、もしくは疲労困憊のため捜索を続けるエネルギーがなくなった可能性がある。
3)劣悪な環境条件
ジャングルには、鬱蒼と茂る草木、険しい地形、高温、多湿、肉食動物の存在など、さまざまな環境上の問題がある。このような条件が、ウィルソンの効果的な移動能力を妨げ、あるいは怪我を引き起こしたのかもしれない。
4)他の動物による妨害
ジャングルには肉食動物や敵対する動物などがいる。そのため森にいる他の動物が犬の捜索を妨害した可能性がある。出会った動物に怯えたり、攻撃されたり、あるいは単に行く手を阻まれたりして、ウィルソンの任務完了するのを妨げたかもしれない。
1)どこかに閉じ込められた
洞窟や渓谷、草木の生い茂る場所など、犬が自由になったり救助隊に姿を見せたりできない場所に閉じ込められた可能性がある。
2)迷子になった
方向感覚を失ったり、出発地点から遠く離れすぎたりした場合、迷子になってしまい、既知の場所や救助者のところまで戻ることができなかった可能性がある。
3)重傷または死亡
事故、病気、野生動物の襲撃、食べ物や水へのアクセス不足など、さまざまな要因により、犬がジャングルで重傷または死亡した可能性がある。
Estamos unidos para recuperar de la selva a nuestro comando canino Wilson y traerlo de regreso.
¡La #OperaciónEsperanza de @FuerzasMilCol no finaliza hasta encontrarlo!#VamosPorWilson pic.twitter.com/jcTFhgQwqS
— Fuerzas Militares de Colombia (@FuerzasMilCol) June 13, 2023
ChatGPTはベルジアン・シェパードの能力について「ジャングルのような困難な環境でも、人を見つける能力を持つ犬として選ばれ、訓練されている」と述べた。また「彼らの嗅覚と足跡をたどる能力は並外れており、優れた捜索者となっている」と称賛している。なおChatGPTは、完全な捜索救助活動が展開され、ヘリコプター、ドローン、追跡装置、捜索救助の専門家など、利用可能なすべてのリソースが使用されている場合、犬を発見する可能性が増加すると書いている。その一方「しかし、犬が見つかる可能性は、地形の状況、天候、捜索期間、その他の予測不可能な要素など、いくつかの要因にも左右される。人里離れた場所で迷子になった犬が、何日も、何週間も経ってから発見されたケースもある」と述べた。
直近で出回っているウィルソンと同じような行動をとる犬の動画は、ある女性が傷つけられることを恐れて、あえてウィルソンに近寄らず、ただ携帯電話で録画したものだと言われている。このクリップでは撮影者がウィルソンを説得しようとしているのが聞こえるが、あまりうまくいっていないようにも見える。
Siguen circulando videos donde dicen Wilson está vivo lo han visto en las selvas del Caquetá. @COL_EJERCITO pic.twitter.com/Elm7CTDNZP
— Denuncias Antioquia (@DenunciasAntio2) July 3, 2023
イヌが発見された可能性を示すこの証拠を前に、ソーシャルネットワーク上のユーザーたちは、国軍司令部に対し、ビデオを分析し、それがウィルソンであるかどうかを確認または否定するよう求めている。そして、ウィルソンでない場合は、地上での作業を続行するよう求めている。
直近で公開された動画に対してもペドロ・サンチェス将軍はウィルソンである可能性は極めて低いと語った。その理由のひとつは、映像に映っている植物である。カケタのジャングルでは見られない種類のグアドゥアがある。ウィルソンがグアビアレ県から同県に移動してきた可能性はかなり低い。またサンチェスはウィルソンが移動したのは半径8キロ以内だったと語った。したがって、大きな川があり、危険な肉食動物が生息し、村落があるジャングルの中を400キロも移動することは現実的に不可能である。
ウィルソンの運命が不透明なまま、2023年6月26日、ナリーニョ邸で行われたセレモニーで、国家政府は救助犬の母ドゥルジアに勲章を授与した。その日、軍の特殊作戦司令官であるペドロ・サンチェス将軍は、このベルジアン・シェパードを連れ戻そうとする機関の努力にもかかわらず、発見できるとは考えていないと述べていた。
軍隊で活躍した多くの犬たちへのオマージュというアイデアが採用されている。最も有名なのは、グアムの戦いで待ち伏せしていた米海兵隊員250人近くを救ったドーベルマンのクルト(Kurt)に敬意を表した銅像だ。クルトはその後、日本兵が投げた手榴弾によって命を落とした。クルトを称える銅像はグアムにあり、銅像のレプリカはいくつかの獣医学部や博物館に展示されている。銅像には「semper fidelis(永遠に忠実)」と刻まれている。
ウィルソンがムクトゥイ兄弟を発見したのは、5月1日から捜索を続けていた軍や先住民に発見される数日前だったとされている。ウィルソンが探し当てただろう子どもたちの情報はこちらも参照のこと。
参考資料:
1. Esto pudo haber pasado con el perro Wilson, según la inteligencia artificial
2. En Caquetá, mujer grabó muy cerca de la zona rural a un perro perdido ¿Encontró a Wilson?
3. Wilson, el perro que ayudó a encontrar a los cuatro niños perdidos en la selva une a todo Colombia en su búsqueda
4. Ese tampoco es Wilson: Ejército niega que el perro comando haya aparecido
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