グアテマラ大統領選2023:2位になったアレバロ・デ・レオンとは誰なのか

(Photo:@BArevalodeLeon/ Twitter)

グアテマラの選挙で、左派政党セミージャが24議席を獲得し、2024年から2028年にかけての中米立法府の第3勢力となる。公式記録によればセミージャ運動は、1986年に始まったグアテマラの民主化時代において、首都圏の下院議員9議席のうち7議席を獲得した初の政党となった。160人の下院議員のうち20%以下しか女性がいない議会で、セミージャから当選したのは政治学者のエレナ・モタ(Elena Mota)や弁護士のアンドレア・マリア・レイエス・ゼセーニャ(Andrea María Reyes Zeceña)といった若い女性たちである。セミージャの人気を裏付けるかの如く大統領選挙においても予想を大きく覆す結果が出ている。

元大統領婦人サンドラ・トレスの決選投票への進出は織り込み済みだったとしても、ベルナルド・アレバロ・デ・レオン(Bernardo Arévalo de León)が2位になることは想定外だった。選挙前に発表された世論調査では、元外交官エドモンド・ミューレ(Edmond Mulet)とクーデター独裁者エフライン・リオス・モントの娘スリ・リオス・ソーサ(Zury Mayté Ríos Sosa)の2位争いが予想されていた。アレバロ・デ・レオンの父親であるフアン・ホセ・アレバロ・ベルメホ(Juan José Arévalo)は、1945年から1951年の間、中米国家の政治史における春とされる時期に、この国を統治していた。

セミージャは2015年に誕生した自称社会民主主義政党である。5つの基本原則 1)民主主義の構築 2)公共活動の指針としての公平性の確立 3)多元的な国としての認識 4)人間経済の促進 5)自然の尊重 を基本スタンスとする。セミージャはこの国が必要とする変化を確実にするためには、これら5つの原則を明確かつ補完的に構想しなければならない。これらの課題は、広範な社会組織と、進歩的なアジェンダをめぐるさまざまな前線での政治的闘争のための同盟関係の構築を通じてのみ、成功裏に解決することができる。シード運動は、国家史のこの瞬間において、その役割を果たすことを約束する。  広範で民主的かつ政治的に確固とした運動を基礎に、私たちは国家を変革し、多数派の利益のために正統性と実効性をもって権威を行使し、国内外の利益部門や企業グループによる掌握から解放されるようにする。そして国家と社会は、これらの原則の実現を促進するために融合することができる。

https://twitter.com/BArevalodeLeon/status/1674586814999408642

 

セミージャの大統領候補者は進歩的なプロフィールを持つ。66歳で、外交官であり、社会学の博士号を持つアジェバロ・デ・レオンは、反汚職の悪用をなくすことを主な選挙政策のひとつに掲げている。そのため法の支配がめまぐるしく悪化していることを指摘し国の批判を浴びた結果、亡命せざるを得なくなった裁判官や検察官を呼び戻すことを提案している。2019年の選挙でも彼はテルマ・アルダナ(Thelma Aldana)を候補者としての大統領選に挑もうとしていた。しかし、彼女の登録は、参加要件を満たしていないという理由で選挙当局によって拒否された。「私は、人々が尊厳ある生活を手に入れることができるグアテマラを夢見ています」と、アレバロは弁護した。なお彼女は2017年、グアテマラ無処罰問題対策国際委員会(Comisión Internacional Contra la Impunidad en Guatemala:CICIG)のイバン・ベラスケス(Iván Velásquez Gómez)とともに1996-2000年にグアテマラの大統領を務めたアルバロ・エンリケ・アルス・イリゴージェン(Álvaro Enrique Arzú Irigoyen)を汚職の罪で告発した。

 

フアン・ホセ・アレバロ・ベルメホ元大統領の息子は外交官時代には大使、外務副大臣を歴任した。戦後は社会復興事業に尽力。趣味はギター、読書、料理、音楽である。

1945-1951年のアレバロ・ベルメホ政権、1951-1954年のハコボ・アルベンツ政権期は「春の政権」と呼ばれていた。この2つの左派政権は、先住民の取り込み、農民の土地利用、社会保障機関の設立などのプロジェクトを主導した。これらの時代は、グアテマラ軍を支援して政権を転覆させたCIAの介入で幕を閉じた。

彼の父親は20年間亡命生活を送った。アレバロ・デ・レオンはウルグアイのモンテビデオで生まれた。しかし、出自はグアテマラ市民であり、家族とともにグアテマラに戻り、そこで中等教育を修了した。憲法は、出自国籍をグアテマラ領内で生まれた者と、外国で生まれたグアテマラ人の父または母の子と定めているので、アレバロが大統領に就任することに問題はない。

https://twitter.com/BArevalodeLeon/status/1640687628663111681

 

今回選挙では無効票が目立った。国民の17.41%が投票を取りやめていた。これはトレス・カサノバが得た表よりも多い数となる。専門家によると、無効票の多さは、グアテマラ国民の政治家層に対する無関心を反映したものである。しかしグアテマラの法律で定められた、選挙のやり直しを余儀なくされる無効票の50%には達していない。

 

今回選挙に関するその他の記事はこちらから。

参考資料:

1. La izquierda logra un inesperado segundo lugar en elecciones de Guatemala
2. Partido de izquierda Semilla será la tercera fuerza del Congreso de Guatemala
3. Arévalo, la sorpresa del candidato de izquierda que va a segunda vuelta en Guatemala

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