エクアドル:「ガラパゴス生命基金」初回会合の実施と役割の決定

ガラパゴス諸島の歴史において重大な局面に立たされている。外来種、気候変動、そして急増する観光産業による圧力の高まりにより、ガラパゴス諸島はかつてないほどの危機にさらされている。種の絶滅、生息地の劣化、持続不可能な開発を避けるためには、協調的かつ包括的な取り組みが必要だ。

ガラパゴス生命基金(Galápagos Life Fund:GLF)は、昨年5月9日にエクアドル政府が発表した債務と自然の交換による資金を管理することを担当する非営利法人である。

ホセ・アントニオ・ダバロス(José Antonio Dávalos)環境相はサンタクルスで5月29日に開催した初会合を通じ「今年の初めに獲得した寄付金によってガラパゴスの保全と保護を促進する、この提携の運用の側面」を決定したことを明らかにした。

https://twitter.com/ja_davalos/status/1662983875218243584

 

参加したのは環境・水・生態系移行(Ambiente, Agua y Transición Ecológica)省、外務・人的移動(Relaciones Exteriores y Movilidad Humana)省、生産・外国貿易・投資・漁業(Producción, Comercio Exterior, Inversiones y Pesca)省、国防(Defensa)省およびガラパゴス特別体制政府会議(Consejo de Gobierno de Régimen Especial de Galápagos:CGREG)の当局者だ。

会合はガラパゴス生命基金(Galápagos Life Fund:GLF)の組織と運営メカニズムを確立することを目的に開催された。GLFは群島のユニークな野生生物の未来を守るために組織、政府機関、その他の団体に補助金またはプロジェクト資金を提供することで諸島およびその海洋生態系の自然資本維持、成長、安全性を促す。

GLFの理事会は11名のメンバー(ダバロス環境大臣、フリオ・ホセ・プラド(Julio José Prado)生産・貿易大臣、グスタボ・マンリケ(Gustavo Manrique)外務大臣含む)で構成される。彼らはファンドの執行管理および運営への責任、また、国内規制の枠組みを遵守し、社会、経済、持続可能性、環境教育の側面を考慮した正しく効率的な基金の運営への責任を負う。その責任はプロジェクトの評価と選定、資源の配分、設定された目的への準拠の監督、社会への説明責任も含まれる。ホセ・ダバロスが特別理事を努める。同氏は「この歴史的な節目を担当する省庁が、学術界、漁業、市民の代表とともに、ガラパゴスの保全、教育、持続的開発を共同で推進するために行われるこのラウンドテーブルに加わることができたのは光栄である」と述べている。

ガラパゴス諸島とエルマンダ海洋保護区(コスタリカとつながっている)に範囲を限定したこの基金が採択した最初の会合では運営範囲が決定され、プロジェクトの資金調達、監督と管理とし、資金は持続可能な漁業、科学研究、環境教育、持続可能な観光に利用されると定義された。理事会の権限と義務は年次業務計画および予算の承認、業務マニュアルおよび内部方針の承認、プロジェクトに対するスポンサーシップの付与に関するすべての手続きの承認が含まれる。

GLFは地域社会、科学者、非政府組織、その他の主要な利害関係者と密接に協力しながら、割り当てられた資源の透明で効率的な管理を行うことを約束している。また、意思決定や、ガラパゴス諸島とそのユニークな生態系が守られ幸せに貢献するプロジェクトへの市民参加も促進する。

 

自然保護のための債務変換は、政府が自然保護に必要な資金を調達することを目的とした取り決めである。通常、このような取引では、自然保護への財政的なコミットメントと同時に、債務の削減が行われる。

マンリケ外相は「1カ月も前に、エクアドルは、人類史上最大の債務と保全の交換を成功させたと世界に発信している。今日、私たちは高い危機感を持って、島々の生態系保護プロジェクトを管理・実現するための基金であるGLFの最初の理事会を開催した」と述べた。1ヶ月間に締結したと彼が述べるのはピュー・ベルタレッリ海洋遺産プロジェクトおよびその他のパートナーからの技術的・財政的支援を受け行った、既存の商業債務16億ドルを、クレディ・スイスが発行する債券で賄う6億5600万ドルのローンに転換したというものだ。この取引は、エクアドルによる長期的な資金提供のコミットメントを通じて、将来的に保全活動のための費用を支払う基金の構築を含む、保全のための重要かつ専用の財源を永続的に提供するものだ。

エクアドルは、約18年間の新規融資の返済に加え、毎年約1700万ドル(活動費約1200万ドル、恒久基金の種付け費約540万ドル)を保全のために使う。エクアドルからの支払いが終了する2040年には、累積支払額と安定した投資により約2億2,700万ドルと推定される基金資産が、同じ水準(毎年1,200万ドル強)で永続的に保全活動を行うための資金源となるはずだ。

また、ガラパゴス諸島では、今後20年間で総額4億5000万ドル以上(支払いと資産を含む)の保全資源が創出され、さらに長期的にはそれ以上の保全資源が創出される。同国の16億3000万ドルの債務は、償却と呼ばれる債務放棄と利息の削減により11億2100万ドル以上削減されることとなる。資金は19万8000平方キロに及ぶガラパゴス諸島周辺の海洋保護区の保護に使われる。

なお、米国議会調査局の報告書によると、1987年以降、ボリビア、ブラジル、コスタリカ、エクアドル、ペルーを含む少なくとも16カ国が、自然のために50近くの債務変換を完了している。このような変換で合計2億ドルの債務が削減、再構築、変換されており、約1億6700万ドルが自然保護活動に向けられた。エクアドルの債務変換の総額と期待される利益は、それらの過去の取引をすべて合わせたものよりも大きく、世界最大規模となる。

 

ガラパゴスに関する記事はこちらから。

参考資料:

1. To Protect Galápagos Islands, Ecuador Turns to Innovative Financing
2. Baker McKenzie Advises on World’s Largest Debt Conversion for Marine Conservation to Protect the Galápagos Islands
3. Inicia la gestión administrativa del Fondo para la conservación de las Islas Galápagos
4. Galápagos Life Fund: la estrategia de Ecuador para proteger el archipiélago a perpetuidad
5. Galápagos Life Fund será la corporación que gestione los recursos de canje de deuda por naturaleza y que servirán para proteger al archipiélago

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