エクアドル国会解散:主張「Muerte Cruzadaは違憲」を退ける

2023年5月18日夜、憲法裁判所は、差し違え(Muerte Cruzada)を宣言した大統領令に対する違憲訴訟を棄却した。差し違えの発表から数時間後、元議員のエステバン・トレス(Esteban Torres)やイェセニャ・グアマニ(Yeseña Guamaní)が、この政令に対して違憲の訴えを提起していた。また、元議員のミレヤ・パズミニョ(Mireya Pazmiño)も、パチャクチックの他の元議員を伴って、訴えを起こしていた。また、元国会議長のハビエル・ビルギリオ・サキセラ・エスピノサ(Javier Virgilio Saquicela Espinoza)も別の訴えを起こしていた。

https://twitter.com/VSaquicelaE/status/1658997493957271554

元議会議員や市民から合計6つの意見に関する主張がなされていた。裁判所はこれらを全会一致で却下した。憲法裁判所によると「大統領が国会解散のために発動した深刻な政治危機と内部騒動の原因の検証や動機について裁定する管轄権はない」し「国内の他の司法当局にもない」と述べている。つまり、憲法裁判所によれば、それも他の裁判所も、差し違え適用のための正当性判断はできない。

違憲の主張を退けたことで、裁判所は、控訴審に含まれていた予防措置の要求も棄却している。これらは、ラッソが議会を解散させた政令の有効性を、裁判所が判断を下すまで停止することを求めたものであった。

憲法裁判所の決定後、ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)大統領は自身のツイッターで「この裁判所は、共和国憲法に基づき私の決定を批准している」と述べた。また、「行政命令741号で発せられた政治危機と内乱の原因の検証や動機については、いかなる司法当局も裁定できない」と強調した。

ハビエル・ビルギリオ・サキセラ・エスピノサとは

48歳のサキセラ・エスピノサは、カニャル(Cañar)県の下院議員だ。、政治家グスタボ・ラレア(Gustavo Larrea)が2015年に作った政治運動「Democracia Sí」から出馬し議員になった。2022年4月に除名されるまで「Bancada por el Acuerdo Nacional(BAN)」に所属していたが、それ以降は無所属である。希望の連合(Unión por la Esperanza:UNES)と盟約を結んでいるサキセラはグアダルペ・ロリが2022年5月31日夜に解任されたことをうけ、国民議会議長に就任した。2021年5月から2022年5月まで、サキセラは同議会の第一副議長を務めていたことによる。1年近く国民議会議長を務めていたサキセラは、2023年5月14日、反対票は23票、棄権票は17票で国民議会議長の続投が決定していた。これはラッソの弾劾裁判の実施においてサキセラが下した決定が違憲であると主張した陣営がいたことによる。元無所属議員のペドロ・ベラスコ(Pedro Velasco)は「彼(サキセラ)は3日以内に報告書を公表すべきなのに、それをしなかった。彼がしたことは、明日、この報告書について投票するために私たちを会議に招集しようとしたことだ。もしそれが通らなかったら、彼は別の報告書を提出するつもりなのだろう。これは非常に深刻な問題だ」と主張し、「議会議長は我々を混乱させている」と8日に述べている。一方のUNESは、同議員が議会の議長を目指すことはなく、「ギジェルモ・ラッソの弾劾に直面して立法多数を強化する」ためにサキセラの決定を支持すると述べていた。

サキセラは1972年7月8日、アソゲス(Azogues)で生まれた。両親はビルジリオ・サキセラ・トレド(Virgilio Saquicela Toledo)とアニタ・エスピノサ・ペニャフィエル(Anita Espinoza Peñafiel)で、2人ともカニャル県の代議士と県知事であった。アソゲスで学び、後にアソゲスから30キロ離れたクエンカ大学(Universidad de Cuenca)で法律を学んだ。2004年、アソゲスで複数民族統一運動パチャクチック(el movimiento de Unidad Plurinacional Pachakutik)の評議員を務める。2009年、同じくパチャクチックからカニャル県の候補者になったが、クエンカの地元誌「Revista Avance」の報道によると、コレア派の候補者サンティアゴ・コレア(Santiago Correa)に敗れた。サキセラは2014年から2019年まで、ラッソの所属するCreando Oportunidades(CREO)運動のために、カニャルの首都アソゲスの市長を務めていた。2019年、サキセラはCREOから市長選に再出馬したが、落選している。

2021年、Democracia Síの議員として議席を獲得、さらに議会の第一副議長に選出された。サキセラは就任演説で、「情熱も献身もなく監督する。なぜなら、それはまさに祖国のために働くチームを作ることであり、汚職と戦うためにこの国の管理法を改革することだからだ」と述べている。上述の通り2022年5月31日にグアダルペ・ロリがその業績の悪さで解任された後、サキセラは議会議長に就任した。これは立法機能を司る組織法で議会議長が一時的または永久的に不在の場合、その地位は第一副議長によって補われるとされていることによる。

今回のMuerte cruzadaに関する別記事はこちらから。

参考資料:

1. Corte Constitucional inadmitió las demandas de inconstitucionalidad de la muerte cruzada
2. ¿Quién es Virgilio Saquicela, ex presidente de la Asamblea Nacional?

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