日本:「キトビロラーメン(味噌)」を食べてみた(北海道)

「きとびろ」という初めて聞いた。この単語との初めての出会いは、二風谷にある食堂「ドライブイン・ユーカラ」でのことだった。類似する言葉すら見当たらず、見当すらつかなかったことから検索をしてみた。見当つかず結果として、検索をしてみることとした。この土地にはアイヌが多く住んでいる、そのことからアイヌの単語かと思いきやどうやら違うらしいことがわかった。「アイヌネギ」とも呼ばれるそれは、関東人である私にとって「行者ニンニク」らしいことがわかった。菜の花やフキノトウとともに春を伝える山菜は、キトビロ、もしくはキトビル、キトピロ、ヒトビロ、ヒトビルというように音を変えて、土地に根付いていることもある。行者「ニンニク」として知られているが、ニンニクの仲間ではなくネギ属の多年草である。ニンニクのような強い香りと根にはラッキョウのような形の茎が付いた山菜は北海道や近畿以北でかつ標高1000メートルの亜高山地帯の針葉樹林、混合樹林帯の水湿地に群生している。「行者」と言う名は山にこもっていた仏教や修験道の修行者がそれを食べたとされたことによる。行者ニンニクは栄養価が高い。特にカリウム、カルシウム、β-カロテン、ビタミンB群が豊富で、硫化アリルはニンニクの約4倍、タマネギの10倍以上含有していることから疲労回復に効果があるとされている。だから修行僧にはもってこいだった。その一方であまりにも滋養がつきすぎ修行にならなくなった、結果として食べることを禁じられたと言う逸話も残っているほどだ。

アイヌからはキト、またはプクサと呼ばれていたようである。なお、話題のゴールデンカムイでも行者ニンニクは登場しており、その際にも「プクサ」と言う名で呼ばれていたと記憶している。

https://twitter.com/shanpoo_3/status/986195498536087555

 

プクサはオオウバユリの根(トゥレㇷ゚)とともにアイヌにとっては大切なものとされていた。事実アイヌはこの二つを組み合わせて作った料理を「ハル(食べ物)イッケウ(腰)」=大事な食べ物としていた。プクサはおかゆ、煮物、オハウ(温かい汁もの)に用いられた。干すことで保存もできる。茎を塩ゆでにしたものを油であえた「トゥネプクサ(tune-pukusa)」は一つの御馳走だった。アイヌの語り部織田ステノは、プクサの用途は幅広く、茎や葉をお湯で煎じれば風邪薬となったこおt、また、プクサを煮立たせた蒸気を皮膚か吸収させることで温熱療法としても活躍したことを述べている。それ以外にも独特なにおいは天然痘などの伝染病が流行した際に村の入り口に掲げられたと言う。つまり、病魔退散へのまじないにも用いられていた。このようにプクサはアイヌにとってかけがえのない薬草だった。

北海道は味噌ラーメンが昔から有名だ。それはコクと濃い味付けが、寒冷な気候とマッチしたからとされている。戦後急速に北海道民の食と切っても切り離せなくなった。その結果とも言えるだろう二風谷におけるプクサと味噌ラーメンのコラボレーションは納得の一品である。二風谷の名物食とも言えるだろう。ドライブイン・ユーカラには「キトビロ・ラーメン」のみならず「カツラーメン」ものもあるようだ。土鍋に入って提供されるそれは情報筋によるとボリュームが半端ないようだ。2人前と言っても過言でないようだ。二風谷に食事どころが少ないと言う事実はある。しかしドライブイン・ユーカラに際しては仕方なくいく場所ではなく、美味しいから行くに分類できる。なおユーカラとはアイヌに口承されてきた叙事詩を言う。

 

万が一二風谷にいけない人も札幌をはじめとした他地域でも行者ニンニクラーメンは味わえるようだ。味噌ラーメンに限らず、塩ラーメンとして提供する場所もある。札幌においては「元気のでるみそラーメンDX」と言う名でラーメン札幌一粒庵が提供している。この店の特徴は地産地消、つまり道産のものを使うことにある。札幌駅南口から徒歩2分アクセスもしやすい。

是非一度「キトビロ・ラーメン」を試してみてはいかがだろうか。

 

ドライブイン・ユーカラ(二風谷)

 住所
  北海道沙流郡平取町二風谷82-2 (82-2, Nibutani, Saru-gun, Hokkaido)
 電話
  01457-2-3588
 価格帯
  
 営業時間
  ※要確認 10:00~18:00

 

参考資料:

1. 自然図鑑:日本語名:ギョウジャニンニク

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