(Photo:Asamblea Nacional del Ecuador/Flickr)
コスタリカ、パナマ、ドミニカ共和国の政府は、2023年3月6日(月)、ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)大統領の問責弾劾手続が土曜日に国民議会で開始されたことを受け、同大統領への支持を表明した。この支持は、4カ国からなる民主主義の発展のための同盟(Alianza para el Desarrollo en Democracia:ADD)の第6回サミットが開催されたキトから発表された声明書を通じてなされた。それによると3カ国の政府は米州民主憲章へのコミットメントを批准し、エクアドルの民主主義とギジェルモ・ラッソ大統領の政権を「断固支持」することを改めて表明している。
El VI Encuentro Presidencial de la Alianza para el Desarrollo en Democracia es la oportunidad para expresar el compromiso democrático del Ecuador y reafirmar los principios que nos unen a las naciones. Este espacio nos compromete a trabajar por la estabilidad de la región. pic.twitter.com/z9UKDPi5Hn
— Guillermo Lasso (@LassoGuillermo) March 6, 2023
月曜日のADDサミットには、ラッソのほか、コスタリカのロドリゴ・チャベス(Rodrigo Chaves)大統領、ドミニカ共和国のルイス・アビナデル(Luis Abinader)大統領、パナマのホセ・カリソ(José Carrizo)副大統領が参加した。大統領たちはラッソが「2021年5月24日から2025年5月24日までの期間、憲法とエクアドルの法律に従って民主的に選ばれた」ことを想起し「国民の意思によって選ばれた政府を不安定にすることを目的とした姉妹共和国での最近の出来事は、懸念の原因である」と語っている。「エクアドルのさまざまな社会的、政治的アクターに敬意を表し、友好的な呼びかけを行い、政府の憲法上の期間が保証され、国が通常の民主的発展を続けられるように」と彼らはいうもののエクアドルにおいては、憲法に所定条件を満たせば弾劾可能な旨記載されている。
コレア主義者や先住民族たちを主とするパチャクティック(Pachakutik)運動、および他の野党勢力の賛成多数で承認された弾劾勧告報告書に従い、弾劾請求はまず憲法裁判所の審査を受け、請求が正当に根拠づけられているかどうかを評価しなければならない。しかし現時点において弾劾訴追を誰が正式に提出するかなど決まっていない。与党はこの優柔不断さを批判している。弾劾請求理由がエンクエントロ(Encuentro)事件によるものとするならば、憲法裁判所はこのプロセスを却下するだろう、とパチャクティックのリカルド・バネガス(Ricardo Vanegas)は述べている。
国会反腐敗戦線のメンバーであるフェルナンド・ビラビセンシオ(Fernando Villavicencio)は、エンクエントロ事件に関する拘束力のない報告書から「レオン・デ・トロヤ(Leon de Troya)」調査(詳細はこちら)の一部が削除されたことに疑問を呈し、月曜日に裁判を起こすと発言している。
弾劾審議に関するプロセス
国民議会は、国家の安全に対する犯罪および行政に対する犯罪の不作為による遂行容疑によるギジェルモ・ラッソ大統領の弾劾を勧告する報告書を104票で承認した。3月4日(土)のことである。
続いてなされるべきは立法手続きに従い46人の支持(署名)を得て弾劾請求書が提出される。コレア前大統領の流れを汲む希望連合(Unión por la Esperanza:UNES)議員だけでも同人数を満たすことができることから、今週中には請願書が提出されるのではないかと考えられている。弾劾手続きには約2ヶ月を要する。
弾劾請願書の提示後のプロセスは以下のとおり。
- 国会議長が3日以内に行政審議会(Consejo de la Administración:CAL)に持ち込む。
- CALは要求を聞き、要件に合致しているかどうかを確認する。
- 憲法裁判所(Corte Constitucional:CC)に転送され、7日後に事前容認の意見が提出される。
- 国民議会議長は、意見書を受け取ってから3日以内に、CALに通知する。
- 意見が好意的な場合、国会議長は弾劾請求書、意見書および添付書類を監査委員会会長に送付する。
- 監査委員会は手続をすぐに開始する。
- 大統領による政治非難に対する弁明や返答の権利は、10日間与えられる。
- 証拠提示にあたってはさらに10日間が与えられることもある。
- 10日以内に、監査委員会は理由付き報告書を提出する。
- 3日以内に、国会議長が報告書の配布を命じる。
- 報告書の配布から48時間以内に、国会議長は5日以内に本会議を召集する。
- 本会議に持ち込まれた後のプロセスは以下のとおり。
- 2名の発議者が弾劾要求に関して説明をを行う(2時間以内)
- 共和国大統領は弁明をする(3時間以内)。
- その後1時間の質疑と共和国大統領による1時間の答弁がある。
- 共和国大統領の演説が終わると大統領は本会議を退席する。
- 大統領以外の議員で討論が開始される。137名の国会議員はそれぞれ10分以内で発言することができる。
- 討論が終わると、5日以内に本会議が招集され、討論なしで決定されます。
- その後、問責決議案が上程されなければ、要求が提出される。
動議の承認には、92票を必要とする
国会におけるこの流れとは別で社会組織はラッソ退任に向けた抗議デモも予定している。エクアドル先住民族連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)や他の先住民族連合は3月8日に最初の動員を行うことを発表している。行動は女性の日を祝うフェミニストグループによる他の行動と重なる予定だ。労働者統一戦線(Frente Unitario de Trabajadores:FUT)もまた、3月14日のデモ行進を発表しているた。一方人民戦線のような団体は、3月1日に座り込みを行うで止まっている。社会キリスト教党(Partido Social Cristiano:PSC)と運動連合会モア・アクション(Sociedad Unida Más Acción:SUMA)のスポークスマンは、抗議する権利は共和国憲法で保証されていると指摘する。しかし、これは市民の権利の尊重という枠組みの中で組み立てられなければならず、人々の仕事の自由や完全性が侵害されないように、他の人の権利が尊重されるようにと述べると共に、我々は参加するつもりはない」と、PSCの全国会長アルフレッド・セラーノは述べた。社会キリスト教党はラッソに批判的な政党である。一方、SUMAの全国ディレクターであるギジェルモ・セリ(Guillermo Celi)は抗議は権利として守られるべきと述べるながらも「我々が許さない、賛成できないのは、金のポンチョで自分の利益や特権を守るだけのレオニダス・イサ(CONAIE代表)が、不安や雇用不足、移民などで国が大不況になっている時に政治を行おうとすること」とコメントした。
Unidad Popularのディレクターであるヘオバニイ・アタリウアナ(Geovanny Atarihuana)は「我々は、議会が大統領を弾劾・罷免し、憲法上の継承が行われることを要求する。いずれにせよ、最終的な解決は次の選挙で新政権が誕生することになる」と述べている。
参考資料:
1. Lasso recibe apoyo de Costa Rica, Panamá y República Dominicana
2. Todavía no se conoce al interpelante del juicio político contra el presidente Lasso
3. Esta es la línea de tiempo en el trámite de un juicio político al presidente de la República
4. Anuncios de movilizaciones no calan en todas las fuerzas políticas del país
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