エクアドル:バレンタインデーに向け世界へ一気に花を出荷する

エクアドル花卉輸出協会(Asociación de Exportadores de Flores del Ecuador:Expoflores)のアレハンドロ・マルティネス(Alejandro Martínez)会長は、今年のバレンタインデーシーズンに輸出された花は5.54%増えたが、一方の外貨収入は昨年同時期と比較し5%少なくなったことを明かした。

マルティネスは、1月17日、18日から2月9日までに約1億8000万ドルから2億ドル分の花を輸出したと述べている。キト空港で輸送される貨物のうち89%が輸出用の花だったという。首都圏空港サービス公社(Empresa Pública Metropolitana de Servicios Aeroportuarios:EPMSA)のマネージャー、カティア・バスティダス(Katya Bastidas)にとって、この緩やかな成長は、貨物や出荷の統合における俊敏性に起因している。

花は輸入に際して混載業者に移した後、貨物ターミナルに運ばれる。ここでセキュリティチェックを受け、パレタイジングの工程に入る。 花を入れた箱が大きなタワーになり、冷蔵室に送られ、次の目的地まで保存される。輸送便が確認されると、花托は飛行機に乗るために車両で空港の滑走路まで運ばれる。このハイシーズンには、30社もの航空会社がターミナルに到着し、さまざまな国へ花を運んでいく。

この時期の売上は、この部門の年間売上の25%から30%を占めており、他のピーク日は女性の日、母の日、クリスマスと大晦日である。Expofloresの統計によると、今年の1月10日から2月8日までの輸出量は9,318トンで、2022年は9,582トンだった。

エクアドルの花の輸出先としてはヨーロッパが昨年の出荷量と比較し2.75%減少した。またマルティネスが発表した1月31日までの欧州市場での花卉販売は、世界的な不況の影響を受け顧客の支払い能力が低下、それに伴い収入も17%減少している。

一方、米国は7.89%増の15,303tとなり、2022年(14,183t)より1,120t増加している。米国の場合、同市場の購買意欲が鈍化していることから、消費は2%の伸びにとどまるものと予想されている。

昨年は輸出時期に花が運ばれるフライト、コンテナが不足し、2,500トンの花、特にバラが有機廃棄物として処理された。これに伴う花の損失額は2,000万ドルから2,500万ドルだった。

その他の地域では、花の輸出が93.86%で増加している。Expofloresの数字によると、2022年のバレンタインデーシーズンには24,288tの花が輸出されたのに対し、25,634tの花が輸出された。

エクアドルにおける花卉産業は成長の可能性がある。カナダとの貿易協定がその一助となる可能性がある。Expofloresによると、カナダに対する花卉輸出割合は4%に達しており、輸出先として5番手だ。それ以外の主な市場は米国で39%、欧州連合が25%。そして、カザフスタン(10%)、ロシア(4%)となっていて、その次にカナダが続く。

エクアドルの花がカナダに届くまで直接出荷の場合10.5%の関税がかかる。マイアミを経由すればそこに6.5%が追加され、合計17%を支払うことになる。花卉産業輸出先5番目であるカナダと2国間の貿易協定が結ばれれば、その国への花き部門の輸出が増えるかもしれないと言うのだ。貿易協定が締結されれば締約国間の関税引き下げにつながる。エクアドルとカナダの自由貿易協定(FTA)交渉は、2023年前半に開始される可能性がある。

すでにFTA締結済みのコロンビアは恩恵を被っている。コロンビアはカナダ向けバラの関税をゼロにしており、「現在の関税では、コロンビアのバラと競争することはできない」とPontetresa社のハビエル・セラーノ(Xavier Serrano)は述べている。

エクアドルが貿易協定を結びたいと考えている日本と韓国も、花の分野では潜在的な成長市場だとマルティネスは語っている。一方、中国においていえば期待していない。中国もまた世界最大の花の生産国であるからだ。ロシアとウクライナの戦争は、商業的にはそれほど大きな影響を与えなかったが、肥料などの投入資材のコストに影響を与えているという。

またExpofloresの報告によると、気候の問題により今年は生産計画に遅れが生じ、通常の輸出が複雑化した。ピチンチャとコトパクシの生産者は、前四半期に過度の降雨と低温に見舞われ、バラの生育に支障をきた。

昨年(2022年1月から11月まで)の輸出量は115,800トンだった。この実績はエクアドルは世界第2位の花の輸出国であることを示している。輸出用の花の73%はバラである。

 

参考資料:

1. Ecuador exportó 5,54 % más flores por San Valentín, pero precios no acompañaron y recibió 5 % menos divisas que en 2022
2. Flores de exportación representan el 89 % de la carga que se transporta en el aeropuerto de Quito
3. El sector florícola considera que Canadá es un mercado con potencial
4. Ecuador exporta 25 000 toneladas de flores por San Valentín

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