ペルー危機2023:ボルアルテ、プノ行きについて言及する

2月24日、ランバイェケ(Lambayeque)州チクラヨ(Chiclayo)での記者会見で、ディナ・ボルアルテ(Dina Boluarte)共和国大統領は、プノにおける自らへのデモについて話した。いつ高地高原地帯に出向いて市民と対話するのかと尋ねられた彼女は、近々プノに赴くことを明言した。しかし「いつ」について明確にはしていない。その一方自らが就任して以来、様々な政府関係者が当局者と話をする目的で、この地方に絶えず出張していることを示した。

プノにおける抗議について「私は(デモ参加者に)力による手段を放棄し、プノにおける対話と経済回復に尽力するよう依頼している。(中略)抗議デモ行進は、社会的課題に問題を提起しているののではなく、政治的要求を主張しているだけであり、そのような政治的立場を放棄する時が来ている」、「この小さなグループが求めているのは議会の閉鎖であり、私は議会を閉鎖することはできない。彼らは選挙人集会を求めているが、私はそれを行うこともできない。彼らはペドロ・カスティージョの釈放を求めているが、私は彼を釈放することもできない。彼らは早期選挙を求めているが、我々は二つのプロジェクトを提案している。彼らは私の辞任も求めているが、私が辞任しても何も得るものはないし、辞任は私の選択肢にはない」と語っている。

ボルアルテは、プノでの抗議活動の結果街が2ヶ月間麻痺していることを受け。経済的悪影響について言及している。また、フィエスタ・デ・ラ・ビルヘン・デ・ラ・カンデラリア(Fiesta de Virgen de la Candelaria)が開催されなかったことの影響も強調している。「何百万、何千万もの損失が発生している。私はこの状況を非常に残念に思っている」と。「強引な手段を捨て、対話とプノの経済復興にコミットする時が来たと信じている」と述べる。しかし本会見では誰が必要以上に暴力を用いているかについては言及がなされていないようだ。デモ隊の暴徒化はないとは言えない。しかし、警察等力を持ったものが、さもデモ隊メンバーが暴力を振るったように見せかけ行動していることも確かである(詳細はこちら)。つまり、それらの人間による行動が、市民に対する暴力を正当化させている。つまり国家ぐるみの犯罪を犯しているといえる。

人権団体(Instituto de Defensa Legalを含む3団体)と独立弁護士は、12月のアプリアマック(Apurímac)州でのデモで6人が死亡したとして、ディナ・ボルアルテ大統領とその閣僚、警察署長に対して刑事告訴を行っている。訴状によると、ボルアルテが就任した12月7日に始まった同地域のデモの最初の5日間に、6人が死亡し、83人が負傷し、数十人が逮捕されたという。「死亡者のうち5人は銃器の弾丸の犠牲者であった。そのうち2人は10代で、最年長ですらわずか19歳だった」。訴状は、ボルアルテ、ペドロ・アングロ(Pedro Angulo)前大臣会議議長、当時の国防大臣で現在は内閣のトップを務めるアルベルト・オタロラ(Alberto Otárola)、セサル・セルバンテス(César Cervantes)前内務省大臣、ラウル・アルファロ(Raúl Alfaro)警察本部長、その他2人の警察本部長および「担当者」に対して出されている。人権団体によると「最高レベルの当局の支援なしには、大虐殺を行うことはできない(中略)直接の行為者である警察官だけでなく、代理の加害者にも犯罪的責任がある」と言う。Ipsos Peruの世論調査によると、ペルー人の76%が支持している大統領の辞任、議会の閉鎖、総選挙と立憲議会の招集をデモでは要求している。

1月9日のフリアカ(Juliaca)の虐殺の犠牲者の親族は、プノ地方に人権検察庁を創設することを求めてリマにやってきた。彼らは通常の検察庁でこの事件が処理されるべきでなく、死傷者の責任者を罰することができる適切な検察庁が必要だと考えているのである。そもそも事件発生から2ヶ月近く経つのに捜査に進捗が見られない。捜査の不正と遅れが見向けられることから、リマにやってきた。報告書によるとこの事件で22人が死亡(民間人21人、警察官1人)し、銃器の弾丸で39人が負傷、ペレットで45人が負傷、骨折で23人が重傷、さらに民間人77人と警察官20人が負傷した。これは国家が介入した結果である。「私たちはプノとの連帯を求めるためにリマにやってきた。プノでは喪に服しているため祭りは中止され、いつも『マミータ・カンデラリア、あなたの子供が殺された(Mamita Candelaria, han matado a tus hijos)』と連呼されている。私たちが村から来たのは、私たちにはDNIがあるからだ。彼らに私たちを見てもらい、苦しみ、悲しむ人々がいること、そして彼らに安らぎをもたらす唯一のものは、彼らが正義を得たときだということを理解してもらう必要がある」と、ウィルマー・キロス(Wilmer Quiroz)弁護士はリマで報道陣に語った。

https://twitter.com/peruenlanoticia/status/1629163884878725121

ボルアルテはアルティプラーノ地域の動員を促進しているセクターに対して発言し、彼らを「プノ地域を無政府状態にしようとする小さな過激で暴力的なグループ」と表現している。一方チクラヨでの記者会見で抗議活動で死亡した人々の家族への経済的支援についても語った。遺族へは経済的な利益だけでなく、心理的なサポート、子供への奨学金、高齢者のための年金65などの制度へのアクセスにも焦点を当てると述べている。しかしペルー国民が欲しいのは、経済的支援でないことは明らかだ。

ディナ・ボルアルテは、プノ入りの正確な日付を示さず、平和的な話し合いが成立し次第、近い将来に訪問することを確約した。また、死亡したデモ参加者の遺体の検死結果については、コメントを避けている。

 

ディナ・ボルアルテ政権に反対するデモはますます激しくなっている。2月21日(火)朝、抗議の一環として数十人の市民がプノ地方にある隣国ボリビアとを結ぶ国際橋を占拠した。RPPの報道によると、この重要なインフラは、棒や石、ガラス、タイヤで封鎖されている。この橋は以前、アルティプラーノ地方南部に住むアイマラ族に占拠されていた。しかし1月20日、警察官が軍人の支援を受け、橋の通行を可能としていた。数千人のアイマラ人は政府がプノに軍を派遣し続ければ「内戦」にはいると宣言している。同様の状況は、北部の州からケチュア族の住民が到着した都市フリカ(Julica)でも記録されている。ベジャビスタ(Bellavista)、レイカコタ(Laycacota)、ウニオン・イ・ディグニダッド(Unión y Dignidad)といったプノの市場の営業は月曜から金曜まで午前10時まで、都市交通もその時間のみ運行となっている。一方、プノにある州間ターミナルも閉鎖されており、週末(土・日)のみ運行する。

 

「ペルー危機2023」その他の記事はこちらから。

 

参考資料:

1. Dina Boluarte sobre protestas en Puno: “Es el momento de deponer las posiciones políticas”
2. Presidenta: reuniones del Consejo Nacional de Seguridad Ciudadana se irán descentralizando
3. Organizaciones de DD.HH. presentaron denuncia penal contra Dina Boluarte
4. Manifestantes contra el Gobierno de Dina Boluarte cierran el puente internacional de Ilave en Puno
5. Masacre en Juliaca: familiares de víctimas demandan una Fiscalía de Derechos Humanos en Puno

No Comments

Leave a Comment

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください