ペルー:大統領カスティージョの弾劾裁判第3弾は12月7日

(Photo Presidencia Perú

ペルー議会は12月1日大統領、ペドロ・カスティージョ(Pedro Castillo)の弾劾裁判を行うことを決めた。3回目のチャレンジは賛成73票、反対32票、棄権6票で承認された。

ペドロ・カスティージョ大統領は「道徳的無能力」で訴追されることとなっている。130名の議員のうち、109名が裁判実施可否に関する投票に参加した。ペルー議会の規則によると、この動議が審議に付されるには最低52票が必要であった。

 

罷免の請求にあたっては67人の支持者がいた。それを思えば、弾劾裁判の実施はできる見込みがあったと言うことになる。本請求にサインした政党と人数は次の通り。

Acción Popular (12)
Alianza para el Progreso (9)
Somos Perú (3)
Fuerza Popular (24)
Avanza País (8)
Renovación Popular (9) 
no agrupados (2)

 

7日15時(現地時間)に予定されている会議で、「弾劾で民主主義を取り戻したい。早期選挙への第一歩であり、政治的統制の精神がある」と、議会本会議での介入時に動議の提出者であるエドワルド・マラガ(Edward Málaga)議員は述べた。

一方の大統領は、政権についた初日から、憲法上の告発、職務停止、辞任要求に加えて、特定のセクターが大統領の解任を主張しているとCentral Única Nacional de Rondas Campesinas del Perú(CUNARC)の代表との会談で述べている。

大統領は、この国では価値観の危機だけでなく、教育や保健の不安定な状況による全般的な危機があり、「完全に放棄されている」と考えていると述べた。「私やその組織、さらにはCUNARCと手を取り合って、この問題を正していかなければならない」と強調している。「私たちが理解しているのは、人々、ロンデロ、農民、教師、農夫の投票が尊重されなければならないということだ。このパワーバランスは崩れてしまった。この国の大きな格差を解消するために、私たちが望むのは、国家権力のバランスである」とも述べている。カスティージョは、大統領としてではなく、ロンデロとして農民パトロール隊の正義に服することを主張した。また、退任後はカハマルカ(Cajamarca)のタカバンバ(Tacabamba)のコミュニティに戻って生活することを明言している。

議会議事録規則によると、大統領は自ら防御権を行使するか、60分間弁護士の支援を受けることができる。87票に達した場合、共和国大統領職の罷免を宣言する議会の決議は、24時間以内に官報「エル・ペルーノ」に掲載されなければならない。解任を宣言する決議は、国家元首、閣僚理事会議長に伝達された時点、またはその公表の時点の「いずれか早い時点」から有効となる。憲法第115条は、共和国大統領が「一時的または永続的に支障をきたす」場合、第一副大統領がその職務を代行すると定めている。

 

ペルーにおけるこのような状況はカスティージョ就任からずっと続いている。事実米州機構(Organización de los Estados Americanos:OEA)もそれを認めており、ペルーの「民主的制度」は、非常に偏った政治環境のために「危険にさらされている」と述べている。これはOASハイレベル・グループがペルーの政治状況調査のため現地入り(11月20日から22日)した結果に基づく。本外交団は、三権分立の様々な政治関係者や市民社会の代表者と計29回の会合を持ち、国政状況を確認した。パラグアイの元外相で代表団のスポークスマンであるエラディオ・ロイサガ(Eladio Loyzaga)は「既存の民主主義の不安定さ」が、この国の統治と最も緊急な問題への対処を困難にしていると指摘し、このような状況は、「政治勢力の高い分断化」、「内閣の編成が常に変わる」、「大統領の任期を短縮して選挙を前倒しする」試み、「大統領空位化の要求」等の要因が複合的に作用しているためと述べた。また、国家権力間には「恒常的な嫌がらせと対立」があり、それが「相互不信」の雰囲気に表れ、「立法構想への対応の遅れや遅延」につながっているとも付け加えている。

ロイサガは報道機関についても述べておりそれが、「一部の人に集中している」こと、メディアの役割に「疑問がある」とした。行政が報道機関と「対決」する行動をとっていることも指摘した。「表現の自由とメディアの尊重の権利」が保障されることを求めるとともに、表現の自由は「建設的な意味」を持つべきであることも強調した。

OASはペドロ・カスティージョ大統領の選出以降、社会に顕在化した「人種差別と差別」に立ち向かわなければならないとし、この点で「寛容と尊敬」が「すべての市民に届く」べきであるとも指摘している。

 

弾劾訴追は、就任から16カ月で3回目の試み。

第1回目となる昨年12月8日、野党は訴追裁判に向けた審議に必要な52票を獲得することができず裁判すらできなかった。この要求はAvanza País、Renovación Popular、Fuerza Popularによって推進されたもので賛成46票、反対76票にとどまった。

今年3月28日、弾劾裁判を実施するも大統領を引き摺り下ろすのに必要な87票を獲得できなかった。55票が賛成、54票が反対、19票が棄権となっている。(詳細はこちら

ちなみにペルーは大統領制をとっているものの、政府サイドが国会を解散させることも可能だが、カスティージョは実施していない。

 

参考資料:

1. Congreso de Perú aprueba debatir de nuevo la destitución de Castillo
2. Pedro Castillo sobre tercera moción de vacancia en su contra: “Se ha quebrado este equilibrio de poderes”
3. Misión de la OEA concluye que la institucionalidad democrática peruana “está en riesgo” por “fragmentación política”

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