第5回先住民族サミット「生けるアマゾンのための解決策」開催される

9月5日から6日にかけ、アマゾン流域先住民組織調整団体(Coordinadora de las Organizaciones Indígenas de la Cuenca Amazónica:COICA)は「第5回アマゾン先住民サミット:生きたアマゾンのための解決策」を開催した。アマゾンに住む先住民族同士のアライアンス強化と共通の目標を達成するためのアクション共有のために集まったのはアマゾン流域9カ国(ブラジル、ガイアナ、ベネズエラ、ボリビア、仏領ギアナ、コロンビア、ペルー、スリナム、エクアドル)98人の先住民族指導者だ。戦略的な協力者、学者、自然保護活動家、科学者、国際社会も加わり、気候変動への課題や生物多様性保護達成のための重要事項を話し合い、解決策を見つけるとともに、新しい研究やアマゾン生物群の保護・保全に沿った戦略の提案などを発表した。2025年までにアマゾンの80%を救うことを目標としている。アマゾンは炭素の貯蔵庫であるだけでなく、地域および地球の気候パターンを安定させ、調整するための重要な生態系でもある。一方、農業、牧畜業、鉱業、インフラや水力発電用ダムの建設など、その脆弱性は生態系の完全性を危険にさらし、世界の肺である森林の大きな喪失を引き起こしている。

https://twitter.com/coicaorg/status/1560673022025031682

 

サミット初日には、科学者と政策専門家のネットワークであるアマゾン・ジオリファレンス社会環境情報ネットワークの研究者と先住民族のリーダーがアマゾンが受けた森林破壊と劣化の程度を明らかにし、同地域の生態系を絶滅から救える解決策が話し合われた。パネル「生活のためのアマゾン(Amazonía por la Vida)」をはじめキーとなる3つのイベントが行われた。「PIACIの権利(Derechos de los PIACI)」「先住民守護者の保護(Protección de defensores y defensoras indígenas)」、そして最後にフォーラム「先住民守護者の保護のためのメカニズム(Mecanismos para la protección de defensores y defensoras indígenas)」が開催された。市民団体Derecho, Ambiente y Recursos Naturales(DAR)の会長であるウゴ・チェ・ピウ(Hugo Che Piu)は、「先住民守護者を、我々のために森林を守ってくれている人だと考えないように注意しよう」とコメントしている。彼らは自らの権利、生活、領土を守っているのであり、ネーションに課せられた責務は、それらを保証することだとした。

 

2日目はフォーラム「多国籍銀行、国際投資と先住民の選択肢(Banca multilateral, inversiones internacionales y alternativas indígenas)」で始まり、国内外の関係者、DARのアマゾンプログラム専門家のデニス・リナレス(Denisse Linares)、DARの副会長ヴァネッサ・クエト(Vanessa Cueto)が参加した。彼らが求めたのは先住民ニーズ把握のための対話だ。パネル「行動のための研究:アマゾンにおける石油会社の影響(Investigación para la Acción: Impacto de las empresas petroleras en la Amazonía)」では、DARのガバナンス・環境管理プログラムの専門家であるディエゴ・サーベドラ(Diego Saavedra)が、領土を守るための政治戦略として事前協議が重要であると主張した。午後には、パネル「アマゾン流域の先住民族地域におけるバイオエコノミー構想の実施におけるセーフガードの構築(Construcción de salvaguardas en la implementación de iniciativas de bioeconomía en territorios indígenas de la cuenca amazónica)」が開催された。

 

アマゾンという広大な地域を乾燥したサバンナに変えてしまう危険な「帰還不能点」に近づくことを防がねばならない。そのためにはアマゾン地域の生物多様性のホットスポットを明らかにすることが重要だ。ブラジル宇宙庁が発表した最近の衛星データによると、2022年前半、ブラジル・アマゾンは2016年以降で最も高い森林破壊率を記録し、1月以降、ニューヨークの5倍の面積が伐採されている。ただこのような森林破壊のパターンはブラジルに限ったことでなく、すべてのアマゾン諸国に影響を与え、地球規模の気候変動に影響を与えている。

COICAのゼネラルコーディネーターであるグレゴリオ・ミラバル(Gregorio Mirabal)は、イベントで計画を作成し、政府に行動を求める決議を求める必要性を強調した。同様に、フォーラム「先住民の守護のためのメカニズム」において、「もし私たちが殺人や犯罪の発生率を下げることに成功しなければ、2025年までにアマゾンを保護するという目標を達成することはできない」と断言した。クロージングイベントにおいては2日間のワークショップを通じて確立されたコミットメントが発表されている。

 

2025年までに地域の森林の80%を保護する、そのための先住民領有権の拡大は2021年9月にマルセイユで開催された国際自然保護連合(International Union for Conservation of Nature and Natural Resources:IUCN)大会で圧倒的な賛成票を得て支持されている。森林、河川、その他の重要な生態系を含むアマゾンの土地面積のほぼ3分の1を管理する共同体に属する500人以上のアマゾン先住民を代表する組織であるCOICAによって提出されたものだ。拘束力はないものの、IUCN大会の投票は象徴的な意味を持つ。IUCNは、世界で最も影響力のある自然保護団体を会員としており、彼らによる決定はゲームチェンジャーとなりうる。COICAの提案承認は彼らが求める先住民の権利強化が十分な証拠に支えられていることを示唆している。

サミットで設定した目標達成に向けた優先課題は先住民族のコミュニティの統治と領土管理の強化、人権を保証する政策の強化、組織構造における先住民族の女性と若者の参加の強化、COICAとその草の根組織の財政的・運営的持続性のための同盟関係の戦略的発展である。このイベントは、スイス開発協力機構(Swiss Agency for Cooperation and Development:SDC)の「気候変動と環境に関するグローバルプログラム」の支援を受けている。

この地域にはアマゾン議会(Amazon Parliament:Parlamaz)というものがある。アマゾン流域9カ国によって1989年年4月17日に創設されたものだ。アマゾン地域における国際協力と持続可能な開発の促進を目的としており、関係諸国によって統合的な政策確立を目指している。アマゾンの保護には地域住民の参加が不可欠だ。このように密に連携をしている同国に住居を構える先住民等の提案は

※詳細なアジェンダはサミットのホームページ「V CUMBRE AMAZÓNICA DE PUEBLOS INDÍGENAS -SOLUCIONES POR UNA AMAZONÍA VIVA-」を確認のこと。

 

参考資料:

1. V Cumbre Amazónica de Pueblos Indígenas: Soluciones por una Amazonía Viva
2. Avanza preparación de Cumbre: Soluciones por una Amazonía Viva
3. [Del 5 al 9 de setiembre] V Cumbre Amazónica de Pueblos Indígenas: Soluciones por una Amazonía Viva
4. Pacto Región Amazonía: Desarrollo sostenible por una Amazonía viva
5. アマゾン議会が復活=周辺9カ国で持続可能な開発目指す

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