エクアドル全国スト2022:デモ隊と政府の会談は水曜日か

エクアドル政府のフランシスコ・ヒメネス(Francisco Jiménez)大臣は、エクアドル先住民族連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas de Ecuador:CONAIE)の代表レオニダス・イサ(Leonidas Iza)に対し、10日間続いているデモ解消に向け水曜日に対話を開始しようと要請した。これに対しConaie代表は、政府による対話要請には実行に移すための必要条件が存在せず、これまでの会談でも政府は「ごまかし」や「あざむき」を繰り返し、約束を実行していないと非難、対話の申し出を棄却した。デモはCONAIEをはじめとした全国農民・先住民・黒人団体連合(Confederación Nacional de Organizaciones Campesinas, Indígenas y Negras:Fenocin)、エクアドル福音主義先住民族・団体協議会(Consejo de Pueblos y Organizaciones Indígenas Evangélicas del Ecuador:Feine)が呼びかけ6月13日から始まった。レオニダス・イサたちは今回のデモを通じ10個の改善を要求している。それが満たされない限りキトを離れないと無期限でのストを表明している。なお先住民たちは対話にあたって4つの条件を提示している。それは警察の抗議者に対する「抑圧的で犯罪的な行動」の即時停止、現在のストライキの枠組みで新たな政令を課さないことの保証、非常事態を撤回と「人道的緩衝地帯」への攻撃停止と尊重、すべての議題を公称の対象とし市民の喧伝に耳を傾ける努力をすることと言うものだ。

 

政府はキトで起こった先住民の動員を封じ込めるため、アンデスのインバブラ(Imbabura)、ピチンチャ(Pichincha)、コトパクシ(Cotopaxi)、トゥングラワ(Tungurahua)、チンボラソ(Chimborazo)の各県とアマゾンのパスタサ(Pastaza)県に非常事態を宣言している。

人権団体連合によると、これまでに人権侵害に関わる事象が44件報告されていて、その内訳は、弾圧に伴う死者2名、負傷者74名(うち重体3名、目の負傷5名、上肢の一部切断1名)、抑留者87名となっている。プヨ市では先住民キチュワ族のギド・グアタトゥカ(Guido Guatatoca)が死亡した。顔面に催涙弾が直撃したことによる。エクアドル・アマゾン先住民族連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas de la Amazonia Ecuatoriana:CONFENIAE)によると、被害者は至近距離から撃たれた。これに対して内務省関係者は「キチュアなどのコミュニティからなる過激派が、爆発物、先祖伝来の武器、カービン型銃器を使って、まったく非合理な行為で、民間人と警察官を攻撃し始めた」。ルイス・ララ国防相は6月21日、「これらの行動は市民の抗議を超えており、民主主義を脅かし、制度を危険にさらすために暴力を行使する意図的な努力に等しい」と述べた。また、仲介者なしの交渉を求めており、またそれが市民に開示されるべきとした。

 

ヒメネス大臣はCONAIEの発表に先立ち「今は条件をつける時ではないく、国の幸福と(平和のための)真の対話をすべき時だ」と述べ、国内での暴力行為を非難した。また、ヒメネスは政府がおこなっているのは弾圧ではなく、(暴力)封じ込めの戦略であると説明している。政府と動員された人々との衝突もあり、エクアドルの首都キトでは食料や燃料不足が顕在化しており事実上麻痺状態にある。政府は、このデモは国の民主主義に対する「深刻なリスク」であるとも述べている。

 

エクアドルにおける抗議デモは、燃料価格の引き下げ、農産物や生活必需品の価格統制、教育予算の増加、ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)政権の解任などを求めるために始まった。ストライキはエクアドル北部の6つの県に大きな影響を与えている。デモ隊は断続的な道路封鎖で首都を含む多くの地域で燃料と食料の不足を引き起こしている。エネルギー省は、抗議が生産に影響するとして、炭化水素事業者が未達成の契約に対する請求を行うことを防ぐ契約条項を発動した。デモ隊が油田に侵入したことで、企業はアマゾン地域に存在する約609の油田からの抽出を停止せざるを得ない状態に陥った。これによる被害は1日あたり約3万バレルだ。一方、司法長官は、人口約17万人のアンバト市で「処理施設に入る水源が汚染された疑い」で調査を開始したと発表した。アンデス地方の都市からの報告によると、少なくとも7つの区域で水が黒く変色し、モーターオイルの焦げたような臭いがしてきたという。3年前、首都から131キロメートル南に位置するアンバトでは、デモによる妨害行為で水の供給が停止された。

キトでは暴力の収束と全国的なストライキの終結を呼びかけるためのカセロラソ(cacerolazo)がおきている。これはキャセロール(鍋)を叩いて抗議をすると言うものでラ米ではよく見られる光景だ。CEDATOSの世論調査では76.5%が対話の後にストライキを終わらせるべきだと考えており、また、72.4%の人々が破壊行為、治安の悪化、侵入者を拒否している。

なお、本デモではCONAIE代表のレオニダス・イサも警察に拘束をされていた。本件についてはこちらも参照のこと。

 

参考資料:

1. El Gobierno de Ecuador pide al líder de la Conaie dialogar este miércoles
2. Escasa participación en el ‘cacerolazo’ por la paz en Quito
3. CEDATOS: ENCUESTA NACIONAL
4. Conaie anuncia cuatro condiciones para el diálogo; Gobierno las revisa
5. Leonidas Iza pide diálogo sin intermediarios, pero dice que Conaie no se irá de Quito sin que se cumplan sus diez puntos
6. Líderes de las protestas en Ecuador dictan condiciones al Gobierno para iniciar el diálogo
7. ¿Cómo murió el comunero kichwa Guido Guatatoca en las protestas en Puyo? Realizarán autopsia con médicos legistas que no pertenezcan a la Policía Nacional, dice ministro de Interior (VIDEO)

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