ペルー:石油流出レプソル社の操業停止と閣僚の入れ替えを発表

(photo by MiguelAlanCS

ルベン・ラミレス(Rubén Ramírez)環境大臣は、レプソル(Grupo Repsol del Perú S.A.C.)社による1万バレル以上の原油流出事故を受け(詳細はこちら)、同社による海上での原油荷揚げ作業を全て停止すると発表した。操業停止措置は同社が「新たな流出を起こさないという技術的保証を提示できるまで続く」。ペルー政府によるとレプソル社は「洗浄のための明確な行動を示していない」。

レプソル社は声明で、この決定は 不釣り合いで不合理 であり、当社は 必須製品の不足のリスクを回避するためにあらゆる努力をすると述べた。レプソル社は、流出した原油の35%はすでに回収されたが、清掃作業は2月下旬まで終わらないとしている。トンガの噴火がきっかけでできた津波は1月15日にリマ沖の太平洋上で発生し、原油を製油所に輸送していたタンカーにインパクトを与えた。その結果船体が動き原油が流出した。ペルー政府は11,900バレルの原油流出との発表に対し、同社は10,396バレルと少量であると発表している。レプソル社はこの流出事故で広く反感を買い、ペドロ・カスティージョ(Pedro Castillo)大統領は、近年同国に影響を与えた最大の生態系災害と呼び非常事態宣言を出している。検察当局は、この流出事故に関して経営陣を刑事告発することを検討しており、社長を含む4人のペルー出国を今後18カ月間禁止するよう裁判官に請願した。本事象への対応において「環境省は、自然生態系と栄光のグラウの海の忠実な管理者としての役割を躊躇なく果たすだろう」とラミレスは述べている。なお、レプソル社のラ・パンピージャ(La Pampilla)製油所はペルー最大の製油所で、同社はペルーの燃料市場の40%を占めている。

政権は 環境災害の重大さをめぐってレプソル社に対する国際訴訟に取り組んでいると述べるのはミルサ・バスケス(Mirtha Esther Vásquez Chuquilín)首相だ。2021年10月6日に前任のギド・ベジード(Guido Bellido Ugarte)の後任として就任した。彼女は自らが大役を引き受けた理由を「何百万人ものペルー人に希望をもたらす変革の選択肢を強化する必要性を確信し」たからだとし、喜んで職を引き受けたと述べていた。彼女は就任から4ヶ月もたたない2022年01月31日に辞表を提出した。これは内務省のアベリノ・ギジェン(Avelino Trifón Guillén Jáuregui)大臣の辞任に続くものである。彼女の辞任は大統領がTwitterで内閣の総入れ替えを発表した30分後のことだ。

 

バスケスは国家元首に送った書簡の中で、内務省の危機は「単なる古い問題ではなく、国家の様々なレベルにおける腐敗という構造的な問題が私たちを襲っており、それにしっかりと対処し立ち向かうべき時期に来ていることの表れである」と指摘した。これはギジェンの退職に関するコメントとして述べた。また、重要なセクターのリーダーシップや、その制度的なラインの尊重について、コンセンサスが得られていないことも指摘している。「この意味で、努力はしてきたものの、今回の件では私の役割は尽きたと思うし、私が何週間も前から警告してきたように、政府が内閣を再編成する必要があると思う。ミルタ・バスケスは、「だからこそ、私は貴殿に撤回不能の辞表を提出する」と述べた。

バスケスが任についていた時にもいくつかの危機的状況が発生した。そのうちのいくつかは、クーデターの意図が明らかな反対派グループによって引き起こされたものであり、「その他は、残念ながら、この政権の高官による汚職や不正行為の可能性に関連した問題によるもの」であると述べている。また経済の安定、ワクチン接種によるパンデミックの封じ込め、学校の再開、対話による紛争処理、団体交渉など、この国で最も必要とされる事項について進展があったと、彼女は手紙の中で述べている。またハビエル・ガジャルド(Javier Gallardo)を国家警察(Policía del Perú:PNP)の総指揮官から外した際のことなどは懸念材料であると付け加える。「民主的なルールの下で改革に取り組むこと、そのためにさまざまな部門の変革が必要」であり「行政機関そのものが変わらなければ、なおさら前に進むことはできない。この期に及んで、迷いや優柔不断は許されない」とこの国が今「正念場を迎えている」と警告を鳴らした。

 

彼女の数日前に退職したアベリノ・ギジェンについても見ていこう。環境悪化に伴う非常事態が発生している中、辞職した彼はその理由をハビエル・ガジャルドの解任における大統領の後ろ盾を感じなかったこととした。ギジェンとガジャルドの間には、数週間前から人事をめぐる摩擦があり、大臣は、治安部隊内の要職への引継ぎ、昇進、任命の制度に公然と疑問を呈していた。ガジャルドが後輩にポジションを作るだけでなく、将官数の増加を一部抑制する役割もあるとし引退させようと考えていた警官20名の中に警察でも最も優秀とされる将官が少なくとも5人(ビセンテ・ティブルシオ・オルベソ(Vicente Tiburcio Orbezo、DIRINCRI所長)、ミゲル・ロスタウナ・フエンテス(Miguel Lostaunau Fuentes、国立職業警察訓練校長)、オスカル・セルバン・ロペス(Óscar Serván López、DIRCRI刑事部長)、マルコ・アントニオ・ララ・ベルガラ(Marco Antonio Lara Vergara、X Macrepol Puno所長)、オスカル・アリオラ・デルガド( Óscar Arriola Delgado、DIRCOTE所長))がなぜかいたことによる。またIDL-Reporterosが報じているように、警察内部の汚職疑惑も止まらず、ギジェンが主導した昇進プロセスでは、最高で2万5000ドルの賄賂が支払われたケースもあったとされている。

 

 

カルロス・ハイコ(Carlos Jaico)私設秘書は12月30日および31日の公用車の不正使用疑惑に関連する横領罪の疑いで、反汚職検察庁により捜査され退職した。彼は無給休暇中で車両を使用することが契約的にできないこととなっていたにも関わらず利用したことによる。ハイコは糾弾されたブルーノ・パチェコ(Bruno Pacheco)に代わり新しい大統領府長官として任命されていた。なおパチェコは陸軍と空軍によって行われた影響力行使調査を通じ、2万ドルの金を彼のオフィスの浴室用キャビネットに隠し持っていたとし捜査されている。そもそも調査はパチェコが大統領に近い人物を優遇する(いわゆる忖度する)ために、軍隊の昇進に圧力をかけ干渉していた疑い、また、その地位を利用し、自分の友人である実業家に有利になるように国家関税税管理総局(Superintendencia Nacional de Aduanas y de Administración Tributaria:Sunat)に圧力をかけた疑いから調査されていた。彼は検察に対し、違法なお金ではなく、個人的な貯蓄の一部と月25,000ソル(約6,250米ドル)にのぼる給料であると語った。なお見つかったお金は、カスティージョの右腕と目されるパチェコが就任してからの給料3カ月分強で、彼は検察に対し金の出所を「できるだけ短い時間で認定する」と約束しているなか辞職した。誰が考えてもこのお金は汚職からきていると考えるのが自然であった。

 

 

上述の通りカスティージョはバスケスが辞表を提示する30分前に閣僚評議会を刷新し、再構成することを発表している。これは6ヶ月で2回目のことだ。

 

参考資料:

1. Mirtha Vásquez publicó su carta de renuncia y reconoce que se ha llegado a un “momento crítico”
2. Carlos Jaico implica al asesor Biberto Castillo en nombramiento de Daniel Salaverry en Perú-Petro
3. Mirtha Vásquez presentó su carta de renuncia a la Presidencia del Consejo de Ministros
4. Gobierno anuncia paralización de actividades de Repsol en el mar peruano
5. Presidente Pedro Castillo anunció decisión de conformar un nuevo Consejo de Ministros
6. Crisis en el Interior
7. Bruno Pacheco: el escándalo en Perú por el hallazgo de US$20.000 en efectivo en el baño del secretario presidencial

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