ペルー:原油流出事故へOASは緊急人道支援を要請、動物たちは今

米州機構(Organización de los Estados Americanos:OEA)臨時会合後の声明を通じてペルーで1月15日にレプソル(Repsol)社が発生させた11,000バレル以上の原油が流出事故について、その事故が与えた環境、経済、社会への深刻な影響に落胆し、この悲劇的な出来事におけるペルーの国民と政府への連帯と緊急人道支援を各国際機関に要請した。また、緊急事態に迅速に対応するため方法を提案したことも報告している。提案は「緊急事態への迅速な対応」「不処罰の防止」「影響を受ける市民の強化」「油流出の防止」の4章から構成されていて、それぞれレプソル社が引き起こした環境事故のようなケースにおける規制の問題点をあぶり出し、国のパフォーマンスを向上させるための提案を行なっている。

この提案は環境評価監視機構(Organismo de Evaluación y Fiscalización Ambiental:OEFA)の理事長であるミリアミ・アレグリア・セバジョス(Miriam Alegría Zevallos)と、ペルー大使のハロルド・フォーシス(Harold Forsyth)が臨時会議に出席して作成されたものである。そこでは「加盟国の大半は沿岸国であり、そうでない国も付随的な影響を受ける可能性があるため、これは私たちの組織にとって非常に重要な問題である」とフォーシスは述べた。

米州機構からの宣言を受けセサル・ランダ(César Rodrigo Landa Arroyo)外務大臣は「外務省は外交政策だけでなく、原油流出事故のような国内の出来事にも責任があり、そのため国際協力に影響を及ぼすOAS宣言を推進した」とメディアで語っている。何が起こったかを診断するだけでなく、「必要な賠償や支援の結果を評価し、評価する」ために、他の国際機関や国から協力を得ると言う形もあると説明した。

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国は多大なる被害を受けた動物の専門的初期ケアのために国家森林野生生物局(Servicio Nacional Forestal y de Fauna Silvestre:Serfor)を通じて、Muelle de Chancay(チャンカイ)、Playa Conchitas(アンコン)、Playa Santa Rosa(サンタ・ロサ)、Playa Cavero(ベンタニージャ)の4つの収容センターを設置した。リマには救助センターがないため、救助された標本は国家保護自然地域サービス(Servicio Nacional de Áreas Naturales Protegidas:Sernanp)を通じ、Parque de las Leyendas動物園に移送している。

国立自然保護区サービスもこの緊急事態のための救出チームを立ち上げ、日々現場に出向いている。2月7日までに油にまみれた鳥953羽が確認され、193羽の鳥が死んでいるのが発見されている。油まみれにならなかった鳥の多くは、油に汚染された魚を食べ中毒死している。国立自然保護区サービスの獣医師ヒアンカルロ・インガ・ディアス(Giancarlo Inga Díaz)は「羽はきれいになり、シミにならないかもしれないが、くちばしの中にも(石油が)残り、消化器官や肝臓に影響を与える可能性がある」と述べた。日々のモニタリングと種の救出により、ペルー固有のペルー ブービーやグアネイを中心に51羽が救出され、獣医による治療とその後の回復のために国立森林野生生物センターに移送・引き渡されている。

鳥たちはボランティアや専門家が定期的に汚染地域を巡回によって発見される。明らかにその影響を受けた生物は動物園に移送され、救助センターで手当てされる。救助した鳥は、まず高圧水と液体食器洗い洗剤で2時間半かけて羽毛を洗浄することから始まる。その後、鳥を乾燥させ、くちばしに水を注射して水分を補給する。ひどい状態で到着した場合、その汚染や極度のストレス状態から回復作業は非常に複雑になると獣医師たちは強調している。ラス・レイエンダス公園(Parque de Las Leyendas)のアシスタントマネージャー、ジョバンナ・イエペス(Giovanna Yépez)は、ベンタニージャ海域の原油流出事故で救助された鳥の半数が生存できなかったと報告している。

「現在までに150羽強の鳥を受け取り、そのうち半分強を治療下に置いている。残りは死んでしまった」とイエペスはAFPに語った。絶滅の危機に瀕しているフンボルトペンギン11羽も保護されている。なおこの種のペンギンは、南極から北へ向かうフンボルト海流の冷たい海水に豊富な栄養分があるため、ペルーやチリの海岸にコロニーを形成して生息している。

 

石油流出事故で最も多くの影響を受けているのはグアネイ(Leucocarbo bougainvilliorum)だ。そのほかにもアオウ(Sula nebouxii)、フンボルトペンギン(pingüinos de Humboldt)、ペルーペリカン(Pelecanus thagus)、ペルーカモメ(Gaviota Peruana)なども被害に遭っている。環境破壊が起きて以来、同センターはアンコン保護区(área protegida de Ancón)とリマ沖の島々、小島、グアネラス諸島の国立保護区で、生態系の回復と被害を受けた野生生物の救助のための恒久的な活動を展開している。

なお生態系救済にあたっては、例えば米国カリフォルニア州フェアフィールドに拠点を置く野生動物救助団体インターナショナル・バードレスキュー(International Bird Rescue)や、ブラジルに拠点を置く救助団体アイウカー(Aiuká)が鳥の専門家チームを派遣している。前者に際しては1989年のエクソン・バルディーズ油流出事故、2000年の南アフリカでのトレジャー油流出事故(2万羽の油まみれのペンギンが救出された)、2010年のメキシコ湾の石油掘削施設ディープウォーター・ホライズン爆発事故を含む230以上の油濁事故に対処している。

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1月15日に発生した原油流出は、リマとカヤオの海と浜辺に影響を与えた。ベンタニジャにあるラ・パンパイヤ製油所の第2ターミナルで発生した事故は、トンガの火山噴火によって発生した津波による異常海面とが重なり、集油装置が脱落または緩んだことで原油が流れ出たとされている。スペインの石油会社は2月10日、海や海岸を浄化する作業の進展は非常に良く、すでに影響地域の56%に達していると声明で発表している。ただし当初同社が発表していた流出規模が6,000バレルだったのに対し、ペルー当局は11,900バレルだと報告している。同社は清掃作業の進展に加え、流出事故の影響を受けた2,400人以上の漁師への取り組みを強調し、アンコン、ベンタニージャ、チャンカイなどリマ北部の地域で協力協定を結んだと述べている。

レプソル社の生態系回復計画は当初の予定通り海や海岸の清掃を第一段階を今月中に終え、第二段階では崖やアクセスが困難な場所の除染を行う、そして、3月中に全ての作業を完了するとしている。レプソル社の安全・品質・環境担当マネージャーであるホセ・レイェス(José Reyes)は声明の中で、「海上での石油回収作業はほとんど終わっている。当社の専門家が行ったシミュレーションに基づき、現在は影響を受けた場所以遠における管制飛行と監視を行なっている」と述べている。

レプソル社の本事故に関する記事はこちらから。

 

参考資料:

1. OEA pide “ayuda humanitaria de emergencia” por derrame de petróleo en Perú
2. SPDA presenta propuestas normativas para enfrentar emergencias como el derrame de petróleo
3. Canciller Landa: declaración de la OEA sobre derrame profundizará cooperación externa
4. Repsol asegura que el avance de la limpieza tras derrame de petróleo es del 56 %
5. Derrame de petróleo: reportan la muerte del 50% de aves acogidas en el Parque de las Leyendas
6. Calif. wildlife team rescues penguins from Peru oil spill

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