ブラジル:リオデジャネイロのペトロポリスで発生した土砂崩れとその被害

州都リオデジャネイロの北約45キロメートル、オルガンス山脈の高地に位置するペトロポリス(Petrópolis)で、2月16日火曜日の午後から夕方にかけて6時間で259ミリの雨が降った。その影響で市内のいくつかの地域、特に住宅地であるアルト・ダ・セーラ(Alto da Serra)で土砂崩れが発生し、甚大なる被害が出ている。16日20:30までですでに94人の死亡が確認されている。消防署は約400人はいるだろう行方不明者を捜索している。リオデジャネイロの市民警察も市内に対策本部を設置した。警察官、法律・刑事専門家、技師など約200人が対策に取り組んでいる。

市役所は、公共災害の状態を宣言し、被災者に対応するために病院チームを強化したと伝えた。身内の行方不明者がいる場合は、警察署に行くようアナウンスを出している。

水曜日の早朝はどれが家なのか、どこが土地なのか、どこが道路なのか、全く区別がつかない状態だったと言う。時間が経つにつれその被害の大きさを確認することができるようになった。

 

クラウディオ・カストロ(Cláudio Castro)知事はルーベンス・ボムテンポ(Rubens Bomtempo)市長、レアンドロ・モンテイロ(Leandro Monteiro)市民防衛担当州長官とともに記者会見を行い「1932年以来最悪の雨量となった。2時間くらいで240ミリにもなった。極めて異常な降雨だった」と口にした。

市民防衛局(State Secretariat of Civil Defence)は24人を生きている状態で救出した。54棟の家屋が倒壊し372人が家を失った。被災地は89カ所、土砂崩れは26カ所に及んでいる。街の大部分が破壊され、サービスもなく、自治体にある25の学校は授業を停止し、避難所と化している。危険地域から180人以上の住民が避難しているも、未だ多くの人々が家から出ることを拒んでいると言う。

市長は、「死者の数はまだ増える可能性があり、私たちの街に劇的な影響を与える出来事が相次ぎ、私たちは大きな悲しみの中に生きている」と述べた。市は引き続き「最大限の警戒態勢」にあると言う。

ペトロポリスの住民によると、街の至る所に死体があったと言う。24 de Maio、Caxambu、Sargento Boening、Moinho Preto、Vila Felipe、Vila Militar、Uruguai、Washington Luiz、Coronel Veigaなどといった通りが特に被害を受けている。

自治体を訪れたリオデジャネイロ州知事は、市内の状況を「ほとんど戦争のようだ」と表現している。フルミネンセ大学(Universidade Federal Fluminense :UFF))のエンジニアで、インフラの専門家であるパウロ・セザール・ロチャ(Paulo César Rocha)によると、前日にペトロポリスを襲ったような嵐に「耐えられた都市は世界中どこにもない」。

ブラジル最後の皇帝ドン・ペドロ2世が愛したことから「帝都」と呼ばれるペトロポリスは、リオデジャネイロ州で最も観光客が多い都市の一つだ。1894~1903年には同州の州都で、1845年ドイツ人移住者が建設した避暑地として知られる。この街は斜面と谷の間に作られている。それゆえに魅力があるが、一方でその斜面の崩壊が大惨事と繋がった。帝政時代の豪華な邸宅や大聖堂、旧王宮は災害に耐え残っているが、歴史的な市街地は泥沼化している。市内にはカリオカ (リオの市民))の別荘が多い。専門家は引き続き崩壊の可能性がある他のすべての斜面のリスク分析を行う必要があると述べている。

この国の山岳地帯においては11年前にも暴風雨が襲い900人以上の死者が出ている。

 

 

フラビオ・ボルソナロ上院議員によると、ジャイル・ボルソナロ大統領は金曜日にこの地域を飛行する。現在ロシア訪問中だが木曜日(17日)にはハンガリーのブダペストに行き、その後ペトロポリスへ直行する。

なお、カストロによると警告を知らせるサイレンは完璧に機能していた。ルーベンス・ボンテンポ市長は、「我々は極めて深刻な状況にあり、住民の救援を確実にするためにあらゆる努力をしている」と述べた。「死体となって到着する人が多い、汚れた状態でやってきて、年齢もさまざまだ」と、ある救急病院の医師が報告したと言う。

市役所は危険地域の住民を受け入れるため、以下サポートポイントを設けている。これらの場所では寄付を受けたり、避難民を保護したりしているとのこと。
Centro de Educação Infantil Chiquinha Rolla
Escola Estadual Augusto Meschick
Escola Municipal Alto Independência
Escola Municipal Ana Mohammad
Escola Municipal Doutor Paula Buarque
Escola Municipal Doutor Rubens de Castro Bomtempo
Escola Municipal Duque de Caxias
Escola Municipal Governador Marcello Alencar
Escola Municipal Odette Fonseca
Escola Municipal Papa João Paulo II
Escola Municipal Rosalina Nicolay
Escola Municipal Stefan Zweig
Escola Paroquial da Igreja Bom Jesus
Quadra do Boa Esperança Futebol Clube
Paróquia São Paulo Apóstolo no bairro de Copacabana

 

リオデジャネイロ州検察庁(Ministério Público do Estado do Rio de Janeiro)はペトロポリスからの行方不明者に関する情報・要請を集中的に受け付ける「行方不明者捜索・身元確認プログラム」を実施している。以下リンクから行方不明者全リストを見ることができる。連絡先は以下の通り。

電子メール:  atendimento.plid@mprj.mp.br
電話:     (21) 2262-1049
インスタグラム:SINALID_OFIFICIAL
ツイッター :   @OficialSinalid
ウェブサイト: www.mprj.mp.br/todos-projetos/plid
Facebook:    Sinalid – Ministério Público

州検察庁に加え、ペトロポリスの住民が行方不明の親族について情報を交換するFacebookページも作成さた。
https://www.facebook.com/crisisresponse/679789646535184/

 

市内の多くの場所で供給が停止しているため、ミネラルウォーターのボトルが優先的に提供されている。マットレス、毛布、掃除用具、衛生用品、マスク、アルコールジェル、衣類、保存食などが集められている。各地域で寄付金を受け付けている。「para quem doar(本災害へのダイレクトリンクはこちら)」などのプラットフォームにも寄付情報が掲載されている。

先月末には南米エクアドルの首都でも大雨による洪水で多くの人の命が奪われた。これは地球温暖化、気候変動などの影響とは皆無なのだろうか(詳細はこちら)。

 

 

参考資料:

1. Temporal deja unos 80 muertos en ciudad imperial de Brasil [VIDEO]
2. Temporal em Petrópolis deixa 94 mortos; Ministério Público já cadastrou 35 desaparecidos
3. Instituições recolhem doações para vítimas da tragédia em Petrópolis; saiba como ajudar
4. Programa do MPRJ concentra informações e solicitações por desaparecidos em Petrópolis
5. Abrigos em Petrópolis: veja os locais abertos para receber desabrigados pela chuva

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