エクアドル:2021年正規雇用は回復するもパンデミック前には戻っていない

国立統計・国勢調査研究所(Instituto Nacional de Estadística y Censos:INEC)が発表した内容によると2020年12月から2021年12月におけるエクアドルの雇用状況は改善し、461,394人が適切雇用(40時間の労働と基本給以上の報酬)の機会を得た。

https://twitter.com/Ecuadorencifras/status/1485616181360963587

 

具体的には2020年12月には適正雇用者が2,458,516人だったのに対し、2021年末には2,919,910人に増加し、適正雇用率も30.4%から33.9%となっている。雇用の回復が顕著に見られたのは都市部で2020年12月は1,993,494の求人数があったのに対し、2021年末には2,340,774となっていた。

雇用、失業、不完全雇用に関する全国調査(Encuesta Nacional De Empleo, Desempleo Y Subempleo :ENEMDU)によると、国民の貧困率は33%から27.7%に低下、極貧層も15.4%から10.5%に減少している。前の年では100人中32人が1日2.80米ドル以下で生活していたこととなる。ちなみに極貧層は1日1.5ドルの収入で生活している。2020年度においてはCOVID-19の大流行により「エクアドルの経済状況を悪化させ、より多くの人々を貧困の奈落に陥れている」とNGOのヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch:HRW)が報告したほどだった。

エクアドルにおいては1年のうちでも1月、7月、9月、10月に求人数が増える。最も求められているのは18~29歳だ。人材派遣会社アデコ・エクアドル(Adecco Ecuador)の品質・サービス担当ディレクターであるセバスチアン・リマ(Sebastián Lima)も第1四半期(1月から3月)が「候補者からの応募がより多くなる」時期だと断言している。ちなみに応募数が最も多かった月は、9月の258,593件、1月の253,971件、7月の251,655件である。2021年の1年間で、官民両セクターのさまざまな求人に対して、月平均約222,832件の応募が登録されていた。

失業率も低下した。2020年12月に4.9%(396,504人)だった指標は、2021年12月に4.1%(356,725人)になったが、売り手市場になったわけではないと言う。失業率を細かく見れば地方では2.7%から1.8%に低下しており、男女比で言っても女性の失業率が6.8%から5%、男性は3.5%と前年と変わりは見向けられない。平均賃金収入は回復傾向にあり、2020年12月には男性の平均収入が306.1ドルだったのに対し、2021年12月には320.8ドルに達している。女性も平均は259.1ドルから259.5ドルと僅かに上昇した。全国レベルで評価すると、2020年12月の平均賃金は289.1ドルで、2021年12月の今は297.1ドルだった。

人材派遣会社タレント・ウマノ(Talento Humano)のマネジメントディレクターのグレシア・ログローニョ(Grecia Logroño)によると求人の多い月は毎年決まっていて、例えば1月は前年度の実績をもとに企業がその年の求人数を定める時期であり、業務に応じた新規雇用が生まれる。同様に、失業中の人は年明けを就職のゴールとするため、その月になると就職活動が激化する。また、専門家の説明によると、年初の求人は1月のみならず3月まで続く傾向にある。それは上述の通り正社員の募集とともに、母の日やバレンタインデーなどイベントに伴う繁忙期があることによる。ここで派遣の需給が増える。11月のブラックフライデーや12月のクリスマスにむけ9月と10月なども小売業における求人が季節的に増えると言う。仕事情報の提供や検索を可能とするプラットフォーム Multitrabajosでも求人、求職ともに、マーケティング、セールス分野で伸びが続いており、次いで情報技術、人事の順になっている。これらのポジションに加え、サプライ&ロジスティクス、コールセンター、テレマーケティングといった分野での需要も増えていると言う。なお業種別に見ると過去3年間で最も求人を必要としていたのはサービス業で、2021年の求職者数は2020年比で19%、2019年比で51%も増加している。2021年において言うと建設業も求人集を増やしている。

 

経済状況は2020年との比較で改善が見られたことは上述の通りだ。昨年2021年は一人当たりの所得が月85.60ドル未満だった貧困は全国で27.7%、都市部では20.8%だった。一方の農村部の貧困は42.4%にのぼる。月収48.24ドルの極貧層は2021年全国レベルで10.5%、都市部では5.9%、農村部では20.3%であった。この数値は2020年12月の15.4%(全国平均)よりは改善し、地区ごとで見ても改善を示している。ジニ指数を見てみると全国レベルで0.474、都市部で0.466、農村部で0.426となっている。ジニ指数は不平等さを測るもので0に近いほど平等であることを示す。2020年12月の指標は各々0.498、0.481、0.475だった。

2019年の貧困率が全国平均で25%で現在は27.7%となっていることを思えば、少しずつ回復していると言える。ただまだパンデミック前の水準には達していない。ちなみに2020年には33%だった。

 

参考資料:

1. 32 de cada 100 ecuatorianos vive con menos de USD 2,80 diarios
2. 461.394 plazas de trabajo adecuado se recuperaron entre diciembre del 2020 y diciembre del 2021, informó INEC
3. En cuatro meses del año se registra una mayor búsqueda de empleo en Ecuador; enero es el mes más alto

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