バルバドス : 初の総選挙はバルバドス労働党が大勝利

1月19日に行われたカリブ海に浮かぶ島バルバドスの総選挙はバルバドス労働党(Barbados Labour Party:BLP)が勝利し、ミア・モットレー(Mia Mottley)首相が再選された。なおミア自体は最初に告示された選挙区の一つで楽々と再選を果たしている。

https://twitter.com/KevzPolitics/status/1484021861138763777

この結果は当初の予定通りではあった。ただ定員30中数議席は失うだろうとされていた議席も、全て取り切った。全議席獲得は2018年選挙に続け2回目で、カリブ海地域で2番目の国となった。グレナダでも2018年選挙で全15議席をキース・ミッチェル(Keith Claudius Mitchell)首相が率いる新国民党(New National Party:NNP)が占有している。

ミアは昨年12月にこの国の基幹産業である観光業へ大打撃を与えたCOVID-19へ国一丸となり戦うことを目的としこの臨時選挙を呼びかけていた。ミアは勝利のスピーチで国を安全に、そして繁栄に導き、今後10年から15年後の課題に対応できるよう準備すると述べた。その中には、気候変動や薬剤耐性細菌などが含まれる。

AMR問題は極めて深刻で米国では年に3.5万人以上、欧州でも3.3万人が死亡していて「持続可能な開発目標」(SDGs)でも重点課題として取り上げられている。国際社会が本件についてなにも取り組みをすることなく現在のペースで増加すれば、2050年には1000万人もの人間が1年間で死亡するとされている。この数は現在の癌による死亡者数をも上回るという。地球温暖化問題もこの国に多大なる脅威となっている。2020年バルバドスは65年ぶりのハリケーンに見舞われ、1分間で500個もの落雷があった。隣国セントビンセントからの火山灰の影響も出た。

BLPが掲げる気候変動やAMRへの対策意外に注目されているのは1万戸の住宅建設や医療用大麻産業への投資についてだ。ただ目先の課題としてはCOVID-19で打撃を受けた経済をいかに回復していくか問うことだ。モトリーの関心事の1つには移民によるバルバドスの高齢化対策もある。

BLPが大勝をおさめたことは確かだ。それでも西インド諸島大学(University of the West Indies)で憲法統治・政治学の教鞭を取るシンシア・バロウ・ギレス(Cynthia Barrow-Giles)教授は、モットレーが国民投票なしに共和制を押し付けたことは一部の有権者のBLP離れを招いたと考えている。このような行為がDLPの顧問を務めるルシール・モー(Lucille Moe)が彼女を表現する「独裁者」的な印象を連想もさせる。

なお国際通貨基金との融資契約の一環としてGDPの6%の黒字を達成する必要がある。これは産業への投資が必要となる一方で緊縮財政の実施が必要となる可能性もある。

バルバドスでは夜中の外出禁止令が解除された後、首都ブリッジタウン(Bridgetown)のBLP本部の外で、木曜日の早朝まで大勢の人々が祝杯をあげていた。

※選挙前記事はこちらから

 

参考資料:

1. Barbados PM Mia Mottley who broke with Queen wins landslide second term
2. Mia Mottley es reelecta como primera ministra de Barbados

No Comments

Leave a Comment

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください