バルバドス:2022.01.19は共和国移行後初の総選挙

バルバトスは1月19日、共和国に移管して初めての議会選挙を実施する。この国は昨年まで英連邦の一員だったが独立記念である11月30日に新首相ミア・モトリー(Mia Mottley※)によって「私たちの植民地時代の過去を完全に置き去りにする時が来た。バルバドスの人々はバルバドスの国家元首を望んでいる。これは私たちが誰であり、何を達成できるかについての究極の自信の表明である。バルバドスは完全な主権に向けて次の論理的な一歩を踏み出す」という宣言とともに、植民地の過去と決別し、君主制から共和(大統領)制としての一歩を踏み出していた。なおこの国も他の英連邦(カナダやオーストラリア、ニュージランドなど)同様エリザベス女王を元首に据えていた。

次回選挙は2023年に行われるはずだった。しかし昨年12月27日にミア・モトリーは2022年1月19日の開催を告げていた。実質憲法上の期限より18ヶ月早い実施となった。その時彼女は「観光中心の経済に大きな打撃を与えたコロナウイルスの大流行に直面し、この投票が結束を促すのに役立つだろう」と述べている。

バルバドス憲法には選挙は前回選挙後の初議会から5年毎に行われなければならない。前回の総選挙が2018年5月24日で議会の初会合が同年6月5日だった。5年までにまだ猶予はあるもののモットリーたちはCOVID-19のパンデミックがこの国の経済を支える観光に大きく影響を与え続けていることから、彼女の政府にとって課題が山積する前の支持率が高いうちに過半数を取っておこうと考え、議会を解散した。

選挙管理委員会によると合計108人が立候補をしていて、ミア・モットリー率いる与党バルバドス労働党(Barbados Labour Party:BLP)と民主労働党(Democratic Labour Party:DLP)が各々30名の候補者を擁立、真っ向勝負をする。世論調査では、BLPとモットレー候補の快勝が予想され、同党はDLPにわずかな議席を失うだけとみられている。

BLPのスローガンは「It’s safer with Mia – stay the course」で、キャンペーンソングには「ミア・アンコール」を用いている。モトリーは自分の政党の下で実施された公共事業に焦点を当て、ライバルのリーダーシップの欠如を非難していた。そしてまだまだ足りていない公共事業、例えばぼこぼこっとクレーター状に穴が道を占拠していたり、金持ちや有名人の遊び場として有名なこの島の一部でいまだに多く残っている野外トイレの改善に務めることを約束している。その他の公約としては、1万戸の住宅建設や、バルバドス富裕層ファンドの提供などがある。

一方のDLPのヴェルラ・デ・ペイザ(Verla de Peiza)は、本選挙を「民主主義を憂慮するもの」とし、投票による公衆衛生のリスクやCOVID-19感染者の参政権の制限について疑問を呈していた。その背景にはCOVID-19の変異種オミクロンがバルバドスを襲う中、同ウイルスが理由で投票できない人が人口30万人弱のうち5500人以上いることによる。これらの人々は現在COVID-19に感染しており隔離されいる。また彼女はBLPの「一党独裁国家」に対しても発言をしていて、彼女のマニフェストには、より社会民主的なバルバドス作りと遺産観光、エコアグロ観光、ヨットコミュニティ、コミュニティベースの観光の育成について語っている。なお、2018年の前回総選挙では歴史的快挙が起き、BLPがフロウンデル・スチュアート(Freundel Stuart)のDLP政権を破り、国会の30議席すべてを独占していた。

上述の通りBLPの圧勝が予想されてはいるものの、モトリー政権は、中国政府からの提供資金、例えば道路補修を目的とした1億1500万米ドルや南海岸の上下水道システムの改修のための2億1000万米ドルなどについては、非難も出ている。元大臣で、昨年モットリーに解雇された後、DLPの顧問を務めるルシール・モー(Lucille Moe)はインタビューで「彼女(モットリー)は独裁的で、誰も反対意見や見解を持つことを許さない。誰もがミア・モットレーの聖歌隊に入らなければならない」と語っている。

BLP、DLP以外で候補者を立てているのはジョセフ・アザーリー(Joseph Atherley)司教率いる進歩同盟党(Alliance Party for Progress:PdP–UPP)で人数は20名、そのほかは以下の通りである。

Solutions Barbados – 11 名
New Barbados Kingdom Alliance – 2 名
Bajan Free Party – 4 名
Barbados Sovereignty Party – 2 名

有権者は266,330人だ。少なくとも3,700人の選挙管理委員が投票プロセスを監視・検証することになっている。ただし選挙・境界委員会(Electoral and Boundary Commission:EBC)のレスリー・ヘインズ( Leslie Haynes )会長は、COVID-19のプロトコルにより、結果の公表に遅れが生じる可能性があると警告している。

https://twitter.com/FEscrutinio/status/1483259458943922177

※バルバドスの共和国化に関する記事はこちら

 

参考資料:

1. Elections boss says Barbados ready for Wednesday’s poll
2. ¿Qué debes saber sobre las elecciones en Barbados?
3. Barbados PM who broke with Queen hopes for election boost
4. Barbados Election Centre

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