チリ:制憲議会二代目の議長はマリア・エリサ・キンテロス

チリの制憲会議における新議長決定のための投票は1月4日(火)の午前中に始まり、翌5日(水)の20時頃に終了した。現議長のエリサ・ロンコン(Elisa Loncon※)と副議長のハイメ・バッサ(Jaime Bassa)に代わり、マリア・エリサ・キンテロス(María Elisa Quinteros)とガスパル・ドミンゲス(Gaspar Domínguez)が選出された。キンテロスの当確までには9回もの投票が必要だった。なぜなら78票という絶対多数の得票を得る必要があったからだ。

キンテロスは1981年12月20日生まれ、タルカ(Talca)出身の40歳。マウレ州フアラニェ市の保健局に2007年から2015年まで8年間勤務し、歯科治療、在宅ケア、トレーニングなどさまざまなプログラムに従事した。2015年からは環境・周産期・生殖疫学に取り組み、関心領域は妊娠、大気汚染、緑地、さらにはサステイナブル・デンティストリー(持続可能な歯科医療)の研究にも取り組んでいて、チリ大学では公衆衛生学の修士号および博士号を取得。博士課程の研究成果により、2021年にグローバル・チャレンジ・ユニバーシティ・アライアンス(GCUA2030)の国際賞「テーズ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。タルカ大学公衆衛生学部の研究者・学術者として勤務していた。

 

2020年10月に誕生した社会・環境団体の組織「尊厳のための民衆集会」の支援を受け、17区(マウレ・ノルテ、Maule Norte)から無所属で出馬、当選。憲法議会においても倫理に関する移行委員会のメンバーであり、マルコス・バラサ(Marcos Barraza)とともにコーディネーターに選出されていた。

もともとキンテロスは「国を支配する政治階級にはうんざりしている」と述べていて政党に属していない。制憲議会参加のモチベーションになった彼女が根絶したい主な問題は「私たちに負担をかける不平等、私たちに害を与える腐敗した政治家、私たちが何十年も受けてきた個人主義的思考」であり、出馬にあたり「今こそ国民のための、国民とともにある新しい政治で、新しいサイクルを始める時だと思う」と発言していた。

今回彼女を支持したのは制憲社会運動 (Movimientos Sociales Constituyentes:MSC)、民衆協調委員会(Coordinadora Plurinacional y Popular)、 Escaños Reservados、Chile Digno、独立系中道左派のノ・ニュートラレス(Independientes No Neutrales :INN)、 Pueblo Constituente、そして右派国民革新党(Renovación Nacional)のルチアーノ・シルバ(Luciano Silva)だ。

就任にあたって彼女は支持者であるマウレの人々や有権者に対し「これまでの議会は、最重要要求の一つである「教育」を中心に展開されてきたが、第2フェーズ(後半)ではもう一つの中心的な要求である「健康」を軸に展開する。今は変化の時代であり、対話の時代であり、出会いの時代である」と述べている。

なお彼女を知る人によれば、応用力があり理路整然としていて、分野横断的な事柄も調整し推進していく能力があるという。

 

これから大統領となるガブリエル・ボリッチ(Gabriel Boric Font)は、マリア・エリサ・キンテロスの就任決定に際しTwitterで祝福した。

 

憲法制定会議は2021年7月に始まった新憲法起草作業は1年の時を経て2022年7月に終了予定で1月6日(木)から後半戦に入るところ。ピノチェト軍政下で制定された現行法から今の時代にあった憲法を作ることを目的としている。

※エリサ・ロンコンについてはこちらも参照のこと。

 

参考資料:

1. María Elisa Quinteros, nueva presidenta de la Convención Constitucional
2. Así fue la jornada que definió a la nueva directiva de la Convención Constitucional
3. ¿Quién es María Elisa Quinteros? Conoce a la nueva presidenta de la Convención Constitucional
4. Convención: revise el detalle de cómo Quinteros y Domínguez llegaron a la Mesa Directiva
5. “No venimos a hacer un espectáculo”: Loncon defiende fallida elección de nueva presidencia de la CC
6. La Constituyente chilena gira a la izquierda al elegir a una presidenta procedente de los movimientos sociales

 

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