ペルー:ロレトでのアチュアル二国間調整会議とCuencas Sagradas

2021年12月20日、ペルーのロレト(Loreto)県サン・ロレンソ(San Lorenzo)でエクアドル・ペルー両国のアチュアル民族調整会議(COBNAEP)が開催された。両代表が参加する本会議はパンデミックの影響もあり2年ぶりの再会となったが、大勢の代表が集まった。今回の会議の重要なアジェンダのひとつは新役員の決定だ。全員一致で選出された下記代表は2022年から2025年会議を率いることとなる。

議長:カサク・ミルトン・カレラ・ナカイム(Kasak Milton Callera Nacaim)
副議長:ヘンリー・ジマ・ファッチン(Henry Jima Fachin)
青年代表: スンピニアンチ・ミチアップ・カプチャク(Sumpinianch Mitiap Kapuchak)

 

会議では国境を越えた問題を再確認し、先住民族の不可欠な領土の承認、異文化間およびバイリンガル教育の実施、ペルーにおける先住民族組織の法的地位の承認を政府に求め、現実のものとすることにある。昨今では未だ収束しないパンデミック下にあるが、そうでなくても地理的、都市へのアクセス上の制約もあるなかで、SDGsなどでも取り上げられているこれらの目的をどのように達成していくかが課題となっている。

同会議に参加した「Cuencas Sagradas(聖なる流域)」のコーディネーターであるドミンゴ・ペアス(Domingo Peas)とレイス・ペレス(Wrays Pérez)は「聖なる流域のバイオリージョナル・プラン(Plan Biorregional de las Cuencas Sagradas)」を通じ、「Buen Vivir」つまり環境中心の社会へ移行し自然環境と調和しつつ人間として尊厳のある生活を送ることを指すとともに、異文化間教育なども行なっていくことを説明した。ちなみにNGO団体Cuencas Sagradasは聖なる流域に住む30に及ぶ先住民コミュニティと国際NGOからなる連合で2017年に結成された。この土地の人間は先祖代々政治的同盟を組むことで自らの領土で起きている問題や闘争に立ち向かってきた。(詳細はこちら

なお今回会議の行われたレケナで直面している問題についても取り扱っている。具体的にはのヘナロ・エレナ(Jenaro Herrera)とブラジルとの国境の町コロニア・アンガモス間を結ぶ道路LO-105の建設の中止を要求している。 この違法道路が横断する領域は自然保護区の緩衝地帯であり、ヤヴァリ・ミリム(Yavarí Mirím)先住民保護区からも10km以内となっている。文化省もこの土地における孤立先住民の存在を認めている中、他者との接触に晒される可能性もあり、また地域環境も破壊するからである。事実この道路建設を通じてアマゾンの森林は約974平方キロメートル破壊される。

本道路建設が違法である所以としては大規模プロジェクト実施に際して必要となる技術検証、環境影響調査、環境認証、森林伐採の認可すべてが完了していないにもかかわらず、建設が始まっていることによる。なおこの道路の影響は世界で最も孤立した先住民が集まっているブラジルのジャヴァリ谷(Vale do Javari)保護区にまで及ぶ。ジャヴァリ谷は面積85,444.82㎢オーストリアよりも広く、またマティス(matis)、マツェ(matsés)、クリナ(kulina)などなんらかの方法で接触可能な3,000人とともに未接触の先住民も2,000名以上住んでいる。

LO-105周辺の地域住民はそのニーズがあることは知ってはいるものの、道路が一度できてしまえば、さらなる環境破壊や人権への影響が出る可能性がある。Cuencas Sagradasは持続可能な開発には、その実行に先立って、環境・社会リスクに対する便益を確立するための厳格な分析が行われなければならず、また、住民によって期待される経済的便益と引き換えに、どの程度の社会・環境的影響が許容されるかを決定しなければならず、極めて脆弱な人々(孤立した先住民族など)の人権を侵しもならないと述べている。

LO-105の違法建設によって引き起こされる環境、生命、完全性に対する基本的権利の侵害の阻止を目的としてIDL(Instituto de Defensa Legal)や林業・環境研究所(Instituto de Estudios Forestales y Ambientales)、ペルーのパチャママ・アライアンス(Pachamama Alliance Perú)はリマ第4憲法裁判所に庇護訴訟(アンパロ)を起こしている。同時に市民社会組織のグループは、ジャバリ谷の先住民連合(UNIVAJA)とブラジルの先住民労働センター(CTI)とともに、他の法的措置やアドボカシー措置を推進している。

「ペルーの環境保護管理システムには、環境と住民に影響を与える可能性のある脅威、環境破壊、人権侵害を阻止するための即時かつ緊急の対応メカニズムが備わっていない。ペルー政府が気候変動に立ち向かうという公約を真摯に実行するのであれば現在の行政・司法制度が提供するような被害後の対応ばかりでなく、被害の防止に重点を置いた早期警報・迅速対応システムを導入する必要がある。そのためには、行政、立法者、法律家だけでなく、先住民、市民社会、気候変動と戦うために組織されたペルーの若者をも巻き込んだ幅広い議論が必要だ」、Cuencas Sagradasはそう付け加えた。

 

参考資料:

1. Coordinadores Amazónicos de las Cuencas Sagradas presentaron el Plan Biorregional en territorio Achuar, San Lorenzo- Loreto
2. ¡Firma para que el Gobierno de Perú pare la construcción de una carretera que arriesga la vida de Pueblos Indígenas Aislados y 974 km2 de bosque tropical!建設反対に関する署名や情報
3. 
Pese a compromisos del Estado Peruano en la COP 26, obras viales realizadas de manera ilegal continúan amenazando a los Pueblos Indígenas y A la Amazonía
4. Ministerio del Ambiente y el SERFOR inician procesos penales contra los ejecutores de la carretera ilegal Jenaro Herrera – Colonia Angamos en Loreto
5. アチュアルの夢  

 

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