ホンジュラスの活動家でトランスジェンダー女性のタリア・ロドリゲス（Thalía Rodríguez）が1月10日（月）に首都テグシガルパ近郊フアナ・ライネス（Juana Laínez）丘の斜面にある自宅で射殺された。タリア襲撃時に一緒にい男性もまた体を複数カ所を撃たれたが一命をとりとめ、現在治療を受けている。
ホンジュラスのLGBTQ団体カトラチャス・レスビアン・ネットワーク（Red Lésbica Cattrachas）は「この国はLGBTQの人々にとって敵対的で危険な国であり、政府はこの現実に対処するための行動を十分にとっていない」と語っている。というのも、同団体は述べている。2009年以来、LGBTQを標的とした
暴力的な攻撃で既に402人もの人々が命を落としていることによる。またカトラチャスによると、この手の事件は当局による調査がほとんどされず、その結果多くの事件が不問に付されたままになっている。カトラチャスは、タリアのしに関して「事実関係を調査し、犯人の刑事責任を明確にするためにあらゆる努力を尽くすよう」検察庁にを要求するとともに、新大統領に選ばれたシオマラ・カストロ（Xiomara Castro）がロドリゲス殺害について声明を出し「より包括的なホンジュラスの構築へのコミットメントを示す」ことを求めた。また米州人権委員会に対してもホンジュラスに対し、この殺害事件の犯人を調査し処罰するよう求めている。
https://twitter.com/ReportarsinMied/status/1480728335370096641
この事件を受け国連人権高等弁務官事務所（Oficina del Alto Comisionado de las Naciones Unidas para los Derechos Humanos：ACNUDH）は「LGBTQコミュニティに属する人々は、性的指向や性表現による差別、迫害、個人の尊厳に対する脅威のために、強制移住の深刻なリスクに苦しんでいる」と述べるとともに、「ホンジュラスはこの犯罪の真実、正義と賠償を保証し、特に弱い立場にいる人々の保護と人権確保、安全な環境作りをするするために必要な措置を取らねばならない」と語った。
ロドリゲスはLGBTQの人々やHIV/AIDSとともに生きる人々、トランスジェンダー女性で性ビジネスに関わる人々の権利のために戦い続けていた。彼女は同国で自らビジネスを運営する数少ないトランス女性の一人で、10年以上にわたって30年近く住んでいた土地で食料品店を経営していた。彼女のビジネスのおかげで性ビジネスに多く従事するトランスジェンダー女性はそのビジネスから離れることができたという。しかし借金や売り上げの減少、パンデミックによる影響などで、1年前に店を閉めざるを得なくなった。「長い間、ビジネスを続けていくことは簡単ではなかったが、不可能ではなかった」と彼女は最後のインタビューの中で、Report without Fearに告白している。
https://twitter.com/pictoline/status/1481325373728206851
曇り空の下、サンタクルス記念墓地（el cementerio Santa Cruz Memorial）にロドリゲスは埋葬された。彼女の墓は母レイナ（Reina）のものからほんの数メートルしか離れていない。数日前に他界した母をタリアは見とっている。彼女はお正月を母親の家で過ごしていた。1週間以内に2人もの死を受け入れざるを得ない家族や周囲の動揺は大きかったと考えられる。多くの人間がタリアに最後の別れを告げにやってきた。ある人はTercer Cieloというバンドの「Ya no llores por mí」（もう私のために泣かないで）という曲を奏で最後の別れをした。
彼女の家族は彼女の性自認を理解することは難しかったが、ありのままの彼女を愛するそんな家族だった。
参考資料：
1. ‘Warrior’ trans rights activist Thalía Rodríguez shot dead on her doorstep in Honduras
2. El transfeminicidio de Thalía Rodríguez conmociona a población LGBTI+ en Honduras
3. LGBT: UN condemns murder of trans woman activist in Honduras and calls for investigation
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