メキシコ当局はハイチからの移民計2万人を、グアテマラとの国境にあるタパチュラ(Tapachula)南部のキャンプからバス30台で国内各地へ移送したことを発表した。また、21日にも残っていた最後のハイチ人1,000人を25台のバスで移送している。移民たちはタパチュラのプラネタリウムの周辺や市民劇場の緑地に即席の小さなキャンプをつくったり、移民担当官が処理センターとして使用しているスタジアムの外のキャンプで寝泊まりをしていた。移民局(Instituto Nacional de Migración:INM)は大量の外国人流入に対応するため、移送プログラムを開始、実働は国家警備隊および市警察と合同で行われていた。ハイチなどからやってきた人たちの主な要求は「偉大な移民刑務所」と呼ばれるタパチュラから脱出し、国内の他の都市で移住資格を正規化するためこと。そのためにこの土地で数カ月待っていた。多くの移民は、暴力的で貧しい母国を離れ、最終的に米国へ亡命することを希望している。
一方でのジョー・バイデン米大統領は今月初めに、亡命希望者にメキシコでの裁判を待つよう求めるトランプ時代の論争的な政策である移民保護プロトコル(Migrant Protection Protocols:MPP)を再導入することを発表。この決定はメキシコ北部国境沿いの保護施設などの収容能力を逼迫させることが想定される。
12月22日、移民のための書類作成とバス移動のプログラムは終了する。これは、ハイチ移民が発生した際にINMが発表した公約だった。しかし、ベネズエラ、キューバ、ドミニカ共和国、コロンビア、中米などからの移民たち約1,500人は、未だINMからの書類を待っている状態である。
移民を支援する人間尊厳センター(Center for Human Dignification:CDH)の活動家ルイス・レイ・ガルシア・ビジャグラン(Luis Rey García Villagrán)は、タパチュラの本事案を担当する職員が25人、移住カウンター人員が7人しかいないのはリソース不足だとして議員たちを糾弾、それと同時にメキシコ難民支援委員会(Comisión Mexicana de Ayuda a Refugiados:Comar)に対し、避難を希望する人々を適切に取り次ぐよう要請した。
これについてはマルセロ・エブラルド(Marcelo Ebrard)外相も今年記録的な亡命希望に対処するだけの人員がComarにいないことを認めている。今年だけでもこれらの移民の数は12万3千件(年間300%増)にのぼる。
CDHの報告にでは、9月から今日までに10万人以上の移民がタパチュラから移送されている。キャンプでは「非人道的」な状況で過ごしていることも多く、COVID-19が世界的に発生している中で彼らは身を寄せあって過ごしている。また咳やインフルエンザにかかり体調を崩すことも少なくないという。
参考資料:
1. Trasladan a miles de haitianos que permanecían en un campamento en Chiapas
2. Mexico moves migrants from southern state; asylum seekers awaited at U.S. border
3. Mexico overhauls handling of migrants to release pressure by issuing humanitarian visas
4. “¡Libéranos, libéranos!”, claman migrantes de Haití al presidente de México
5. Migrantes haitianos cambian sueño americano por una oportunidad en México
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