エクアドル:太平洋同盟加盟と他国間自由貿易の加速を目指す

2021年12月17日、エクアドルとコロンビアの第10回 二国間閣僚会議がカルタヘナ(Cartagena)のラ・ロマ・ぺジェ大学(Colegio La Loma Peyé)で始まった。ホスト国コロンビアのイバン・ドゥケ(Iván Duque)大統領とエクアドルのギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)大統領は経済開放、環境、安全保障、健康、汚職撲滅、人権尊重、持続可能な開発などの問題を幅広く協議する。

本会議の目玉議題の一つにエクアドルが検討をしている太平洋同盟(Alianza del Pacífico)への参加がある。同盟はメキシコ、コロンビア、ペルー、チリによって構成されているが、ここに同国も加わろうとしているのだ。太平洋同盟自体はアジア太平洋地域との政治経済関係の強化も模索している。同盟へのエクアドルの参加については、コロンビアの協力によるところも大きい、そう語るのはラッソだ。現在コロンビアは臨時議長国を務めていることによる。ドゥケもまたラッソに対し「この二国間会議はコロンビアとエクアドルの間の兄弟愛と不滅の絆を再確認し、これまでの歩みを祝い、進歩を感じながら未来を見つめ続けるためのものだ」と語った。両国は1カ月前にもキト(Quito)で安全保障に関する会議を行なっている。貿易の自由化に関していえばエクアドルは、メキシコとの間で2022年第1四半期には自由貿易協定を実現したいと考えており、また、同盟への正式加盟は来年後半には実施したいとしている。

 

閣僚会議においては環境問題についても取り上げる。ドゥケはラテンアメリカのベンチマークとなっている二酸化炭素排出量の削減、エネルギー転換、クリーンモビリティに向けて自国で実行してきた内容を取り上げる。

会議に先駆け12月15日、両国は国境を再開した。エクアドルとコロンビアの国境閉鎖は、COVID-19のパンデミックによるもので2021年3月以来続いていた。これで陸路での物資運搬が可能となった。

 

ラッソ政権が発足して以来同氏は米州4カ国(米国、メキシコ、コロンビア、ペルー)と欧州2カ国(スコットランド、スペイン)の計6カ国を公式訪問した。コロンビアへの渡航は本会議での訪問が最後となる。5月以来ラッソは資源投資への誘致と太平洋同盟への正式加盟の実現に重きを置き努めてきた。

 

来年1月にはエクアドル大統領として初めてイスラエルを訪問する予定だ。11月末にはエクアドル・イスラエル・イノベーション商工会議所(Cámara de Innovación y Comercio Ecuatoriano-ISRAELÍ:CICEI)が発足したが、これもまた二国間貿易を拡大し、イスラエル企業の技術移転を促進することを目的としている。  

また、フランスで開催される海洋サミットに参加する。COP26で発表したガラパゴス諸島における新たな海洋保護区の設立(詳細はこちら)に沿った訪問である。なお保護区拡大を正式に行うための大統領令に彼はまだ署名していない。

また中国も訪問する予定だ。冬季オリンピック参加のためではあるが、一方でアジアの巨人である中国と自由貿易協定を結ぼうと考えていることによる。訪問については習近平に誘われたことを本人が明かしている。経済政策については彼自身得意分野であるし、またCOVID-19のパンデミック抑え込みについても、現時点では成功していると言えるだろう。

個人的には政府も掲げる生態系中心主義への転換やより麻薬への戦いがどのように行われていくのかを注目して見ていきたい、そう思う年の瀬である。

 

参考資料:

1. ‘Este Gabinete Binacional es para reafirmar una hermandad y un vínculo indisoluble entre Colombia y Ecuador’: Presidente Duque
2. Lasso: Ecuador ingresaría a la Alianza del Pacífico a mediados del 2022
3. Guillermo Lasso dio prioridad a seis países este 2021

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