遺伝子組み換えトウモロコシの使用は認めないとしたメキシコ最高裁

メキシコ最高裁(SCJN:Suprema Corte de Justicia de la Nación)は、10月13日世界最大級のアグリビジネス企業バイエル・モンサント(Bayer-Monsanto)、シンへンタ(Syngenta)、PHIメキシコ(PHI México)その他の企業が要求した国内における遺伝子組み換え種子の作付け停止の解消をすべて却下した。本件については1021/2019で審議されていた。

8年間にわたる訴訟と数十件の異議申し立てがあったが、すべての控訴を満場一致で却下するという強硬な姿勢を裁判所は示したこととなる。決議案はノルマ・ルシア・ピニャ・エルナンデス(Norma Lucía Piña Hernández)判事が作成した。

有機消費者協会(la Asociación de Consumidores Orgánicos)のメルセデス・ロペス(Mercedes López)にとって、この戦いはダビデとゴリアテの戦いのようなものだったと言う、片側にはメキシコの在来種トウモロコシの保存を求める農民組織、消費者団体、環境保護団体の連合体がおり、その一方で、モンサント社(現在はバイエル社が所有)のような地球上で最も強力な企業がいたからだ。巨大企業は自らの除草剤に耐性のある遺伝子組み換え種子をこの国で販売していた。「非常に長く、疲れる作業だった」とロペスはそう語った。

在来のトウモロコシを守る原告団(CDDM)たちは、声明のなかで、この判決は原告団の権利と利益を守るために適切な措置であり、また、最高裁が「中身のない虚偽」に厳しく対処し却下したこものだと強調している。

2013年、遺伝子組み換えトウモロコシの原産地であるメキシコでの作付けに対して集団訴訟を起こすことを決めたときから、彼らの長い旅が始まった。当時は、遺伝子組み換えの種子が急速に全国に広がっていたという。トウモロコシは受粉しやすい植物であるため、遺伝子組み換え作物は20キロ先の在来種まで「汚染」してしまったし「遺伝子組み換え作物は、メキシコの約60種類の在来種のトウモロコシを危険にさらすだけでなく、それらに関連する文化、伝統、美食のすべてをも危険にさらすことになった」とロペスは語った。

また、この判決はトウモロコシやその畑を守るために重要であるとともに、養蜂業を保護するためにも必要だったという。世界的に現象をしているミツバチは、大豆やトウモロコシの遺伝子組み替え作物が侵入してきた結果として用いられたグリホサートなどの農薬で深刻な影響を受けていた事による。遺伝子組み換えの導入はトウモロコシと土地を共有するたとえばカボチャ栽培にも影響を出していた。

そもそもこの国においてはメソアメリカのその他の地方と同様に自然種栽培の中心地と見做されていて、このようなことが起きるとは思われていなかった。北米自由貿易協定(TLCAN:Tratado de Libre Comercio de América del Norte、いわゆるNAFTA)の貿易は遺伝子組み換えトウモロコシの種の侵入を許しそれが急激に広まった。トウモロコシの汚染は、トウモロコシの生産国を米国から1/3を輸入する国へと変えてしまった。遺伝子組み換えは何世紀にわたってトウモロコシ栽培をしてきた数十万の農民、先住民を危険な状態に追いやった。このビジネスモデルはさらにメキシコにお金を落とすものではなく多国籍企業に利益を落とすこととなった。2008年以来、かれらは特許によって80%の種子の市場をコントロールするようになっていたことによる。

このような状態に陥ったのはビセンテ・フォックス(Vicente Fox Quesada)大統領が2004年に「生物安全性と遺伝子組み換え体法(LBOGM:Ley de Bioseguridad de Organismos Genéticamente Modificados)」別名「モンサント法」を制定し、2009年にフェリペ・カルデロン(Felipe de Jesús Calderón Hinojosa)大統領が、1998年のメキシコ国土での遺伝子組み換えトウモロコシの播種を止めたモラトリアムを撤回し、企業のおこなう組み換えトウモロコシの試験播種を承認したことに端を発する。

2001年雑誌「ネイチャー(Nature)」では、遺伝子組み換え栽培の導入によって、オアハカとプエブラ地方のトウモロコシ自然種の高度なレベルでの汚染が発表され、それをきっかけにトウモロコシ自然種を守るための法的アクションと政治的社会的活動を推進が2002年からあったにもかかわらず、政府は証拠や農民の声を軽視し、遺伝子組み換えを認めてきた。

2020年12月31日、メキシコ政府は2024年まで遺伝子組み換えトウモロコシの作付けと、世界で最も広く使用されている除草剤であるグリホサートの使用を共に禁止する大統領令を発表。この文書では、健康や環境に及ぼす悪質な影響を理由としていた。

なお、2013年「生命の種子財団(Fundación Semillas de Vida)」は「トウモロコシ自然種を守る原告団(Colectividad Demandante en defensa del Maíz Nativo)」とともに、同国における遺伝子組み換えトウモロコシの商業播種の禁止と試験栽培の規制を勝ち取っている。

大規模なアグロインダストリアル企業を代表する団体PROCCYTは「世界ではバイオテクノロジーの導入が飛躍的に進んでいるのに、わが国では農家やメキシコの生産チェーンが最も損をするという誤った議論が続いている」と述べ、引き続きGM種子をこの土地に植えようと法廷で争い続けることを仄かしているようだ。

 

参考資料:

1. La Corte lo ratifica: prohibida la siembra comercial de maíz transgénico en México
2. Vuelve el maíz transgénico a la Suprema Corte
3. El regreso del maíz nativo en México
4. La justicia mexicana mantiene la prohibición al maíz transgénico

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