タックス・ヘイブンに現在資産はないと語るギジェルモ・ラッソ

「火の無い所に煙は立たぬ」と言う言葉がある。それは何に対しても言えることではあるが、今年4月、3度目の立候補を経てエクアドル大統領ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)に関するスキャンダラスな話が突如湧いて出た。機密書類「パンドラの文書(Pandora Papers)」が流出したことで、この国の大統領の素行に疑いの目がかけられた。それによるとラッソはパナマと米国にある最大14の不透明な金融会社を利用していた。国内最大級のグアヤキル銀行の取締役を務めたこともある彼は、過去5年間で450万ドルという最も多くの税金を納めたことで知られる。

2017年にコレア主義たちが大統領候補者がタックス・ヘイブン(租税回避地)にある企業の受益者であることを禁止する法律の制定を推進、それを機にラッソはオフショアネットワークの大部分を解消したようだ。彼が関与したとされる14社のうち11社は既に活動を停止しており、残りの3社はラッソ自身が同社との関係や利益供与を否定している。

国際調査報道ジャーナリスト連合(Consorcio Internacional de Periodistas de Investigación:英語略称 ICIJ)とエクアドルの新聞紙El Universoが送付した書簡に対し大統領は「私は、宣誓書で述べたように、候補者や公務員がオフショア企業を維持することを禁止するエクアドルの法律を常に遵守してきた」と回答している。

 

彼が関与してきた会社のほとんどはパナマに拠点を置いていて、彼が死亡した場合の利益受給者は妻のマリア・デ・ルデス・アルシヴァルと5人の子供たちに引き継がれることになっていた。2017年末、米国サウスダコタ州に設立されたリバティ・トラスト(Liberty Trust)とブレテン・トラスト(Bretten Trust)という2つの信託からはラッソは株式を受け取っている。同社は既に解散しているがこれらの信託についてもラッソは、回答書の中で「私はこれらの団体の所有権、支配権、利益、利害関係は一切ない」と断言している。なお、パンドラ・ペーパーによる文書には、信託の受益者に関する記載はない。

彼の家庭はいわゆる大富豪だ。彼が銀行家を辞めたのちは3人の息子たちが父の跡を継ぎ、うち2名はグアヤキル銀行で働き、もう1名はパナマにある大統領の企業法人バンコ・バニシ(Banco Banisi)を運営する。ラッソはバニシ・ホールディングス(Banisi Holding S.A.)という会社を保有していて、この存在については大統領本人も2016年に認めている。2007年にパナマで設立されたこの金融機関は2014年2月にバニシ唯一の株主であったバンコ・デ・グアヤキル(Banco de Guayaquil)からその株式の100%をバニシ・ホールディングに売却している。その持ち株会社の取締役をギジェルモ・ラッソ、マリア・デ・ルデス・アルシヴァル(María de Lourdes Alcívar)、サンティアゴ・ラッソ・アルシヴァル(Santiago Lasso Alcívar)の3人が勤めていたと言うわけだ。

コレアたちに作られた法律では銀行員が国内そのものに投資することを禁止しており、そのために大統領は海外に自己資産を展開しようとしていたと考えられる。

 

今回流出した「パンドラ文書」はタックスヘイブンとされる地域や国における金融会社設立のための機密情報を含む書類を指す。ここには各国の政治家や億万長者、映画スターやスポーツスターの名前や資産が記載されており、それゆえ再び注目を浴びている。ICIJが世界各地で実施している調査によるものだが、この組織には1,190万のファイルが保管されていた。約2年前に収集が開始されたこれらの情報は、約100カ国600人近くの記者によるものだ。資産家たちはタックスヘブンを利用することで、国内における自らの資産を小さく見せ、それを節税対策としてきた。これをジャーナリストたちは暴いてきたのだ。

https://twitter.com/MundoEConflicto/status/1444708644562554886

 

ラッソ以外にもラテンアメリカ、カリブにおいては少なくとも2名の役職者の名前が上がっている。チリ大統領セバスチアン・ピニェラ(Sebastián Piñera)の名が上がっており、彼は英領バージン諸島を中心としたオフショア企業を設立していたと報じられている。そのうちの1社は、大統領の幼少期から親交のあるビジネスマンと共同で、チリのミネラ・ウノ・スパ(Minera Uno Spa)の売買に使用されていた。1997年から2000年にかけては英領バージン諸島に登録された他の2つの事業体から資金を受け取っている。彼の息子の一人はある会社の取締役だった。その企業は2018年に閉鎖されている。これについてチリ政府のスポークスマンは「今日、ピニェラも彼の家族も、海外の投資ビークルを所有したり管理したりしていない」と主張している。

2020年にドミニカ共和国の大統領となったルイス・アビナダ(Luis Abinader)ももともと9つのオフショア企業を所有していた。彼もまた兄弟とともに、大統領就任前に設立された2つのパナマの会社の受益者であった。

当分どこの国もこのネタで持ちきりになるだろう。なお各大統領は自らの正当性について訴えかけている。

 

参考資料:

1. El entramado ‘offshore’ de Guillermo Lasso, el banquero que llegó a presidente de Ecuador
2. Pandora Papers: Guillermo Lasso dejó sus offshores para ser candidato
3. Guillermo Lasso es nombrado en investigación de paraísos fiscales

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