エクアドル:2番目に高い栄養不良率は25%の幼児を発育不全に

「エクアドルにおける子どもの栄養不足解消戦略のための支援プログラム」の会合で、ガバナンス・健康監視(Gobernanza y Vigilancia de la Salud)担当のホセ・ルアレス(José Ruales)副大臣は、同国における子どもとその成長に関する調査結果が発表された。それによると5歳未満の子どもの4人に1人が、年齢相応の身長に達していない。COVID-19のパンデミックはこれらの割合を増加させた可能性があるとも警告をしている。

1993年以降、エクアドルは健康と栄養に関する約12のプログラムを実施しているもののなかなか効果が表れていない。それどころか2014年から2018年の国民健康・栄養調査(Encuesta Nacional de Salud y Nutrición:ENSANUT)のデータによると2歳未満の子どもの発育阻害の有病率が2012年には24%だったものが、2018年には27.17%にまで上昇していて、5歳以下の子どもの4人に1人が慢性的な栄養不良に陥っていて、先住民族の子どもたちに至っては2人に1人が栄養失調、10人に4人が貧血状態だ。そうエクアドルのユニセフ代表、ホアキン・ゴンザレス=アレマン(Joaquín González-Alemán)は問題の深刻さを語った。栄養不足は、それに苦しむ人々に影響を与えるだけでなく、国の経済的・社会的発展にも強い影響を与えるからだ。エクアドルでは、健康、教育、生産性の低下など、栄養不良に関連するコストは同国の国内総生産(GDP)の4.3%を占めているとされている。

この社会問題は国内の主要な公衆衛生問題の一つと考えられている。この問題を理解するためには、その複合的な原因を知ることが重要で、生後2年間の栄養不足や継続的な病気に加えて、飲料水の不足、衛生環境、医療サービスへのアクセスの困難さなど、他の欠陥にも起因しているとされている。だから多角的視野に立って、物事を考え策を講じる必要がある。だから小児の慢性的な栄養不足(Desnutrición Crónica Infantil:DCI)に関する支援プログラムを話し合う上述の会合にも総合医療担当のミゲル・アンヘル・モレイラ(Miguel Ángel Moreira)副大臣をはじめ、公衆衛生省(Ministerio de Salud Pública:MSP)、エクアドル「子どもの栄養失調のない成長」技術事務局(Secretaría Técnica Ecuador Crece sin Desnutrición Infantil:STECDI)、経済・財務省、米州開発銀行(Banco Interamericano de Desarrollo:BID)の当局・技術チームが参加している。

政令1211号「栄養失調のないエクアドル(Ecuador Crece Sin Desnutrición Infantil)」計画は妊娠中の母親と生後24カ月未満の子どもに対する包括的、部門間、組織間の配慮を保証する公共政策となることを目指している。この戦略には適切な開発と成長に影響を与える商品とサービスの優先的なパッケージが含まれていて、出生登録があれば直接政府から支援を受けられる。逆を言うとIDカードのない子はサービスを受けられない。

 

関係者の説明によると、出生登録すらされていない子供たちが何千人もおり、具体的には100人中16人の子どもが登録されていない、極度の貧困状態で生活している。どのような支援が必要かを知るためにも人口の完全な把握は必要で、そのためにもIDカードの取得が必須となる。登録できていないのは両親が仕事や経済的な余裕がない事による。IDカードがあれば各家庭の緊急性の高いニーズに応じたバウチャーを提供する栄養ガイドプログラムに参加することもできると関係者は語った。

いずれにしてもどこに誰がいるかがわからなければ、サービスの提供側からの支援も難しい。「リトラとガラパゴスの牧畜業者協会(Asociación de Ganaderos del Litoral y Galápagos)」は手の届きにくい農村部や都市部の限界集落に住む子どもたちに食事を提供している。「コップ一杯のミルクは、チャンスに満ちた未来への始まりに過ぎない。適切な栄養を摂取することで子どもたちは、勉強し、力をつけ、知的に、そして健康的に成長することができる。子供の栄養不足を解消することは大きな課題だ」同協会会長フランシスコ・タバッチ(Francesco Tabacchi)は語った。

 

不平等な格差を解消を目的に2025年までに医療の90%をカバーすることを目標としたプロジェクトも発表されている。基本的なワクチン、栄養、発達、MIESの育児プログラムによるケアを提供するためのもので弱い立場にある母親を対象とした1,000日間の「Bono Prospera」の実施計画などがそれに該当する。

 

今年7月にもグアヤキルの北部にあるサマネス公園で市民登録局の職員が、「児童開発センター(Centros de Desarrollo Infantil :CDI)」と「子どもとともに成長を(Creciendo con Nuestros Hijos :CNH)」の利用者である40人の子どもたちを登録続きを行った。7月23日MIESが発表したところによると、グアヤキルのあるグアヤス州のポートフォリオでは、同州の都市部と農村部に設置された879のCNHおよびCDIユニットを通じて、0歳から3歳までの39,981人の子どもたちに学習プログラムや食べ物の提供などができている。なおグアヤキルでは、0歳から2歳までの子どもたち90,349人がこの病気にかかっている。

小児の慢性的な栄養不足(Desnutrición Crónica Infantil:DCI)は、数十年前からエクアドルに影響を与えている。ラテンアメリカ・カリブ地域で2番目に栄養不良率の高い国となっており、地域平均の2倍以上である。(1番目の国はグアテマラで46.5%、3番目の国はホンジュラスで22.6%)。慢性的な栄養不良は、学齢期に学習上の問題を抱え、成人期には太りすぎ、肥満、高血圧や糖尿病などの非感染性疾患を患い、労働市場への参入が困難になるなど、国の生産性に影響を与え、人々の生活にも影響を与える。国の発展のためにも、子どもの未来のためにも早急に解決されなければならない問題である。発育不全と診断されたら、もう後戻りはできない。だからこそ、最初の1,000日で対策を講じることが重要だ。

幼少期の慢性的な栄養不良に関する政府アドバイザーのルイス・エンリケ・コロマ(Luis Enrique Coloma)も「DCIは食品だけの問題ではなく、いくつかの決定要因がある多原因の問題である」と強調し、効果的にDCIを予防・削減するためには、関係するすべての事象に介入しなければならない」と述べた。このため組織間戦略計画を通じ「DCIと闘うためのイニシアチブを実施しなければならない機関を明確にし、結果の達成を最大限にするために、しっかりと構造化し、調整することを目指す」と「エクアドルにおける子どもの栄養不足解消戦略のための支援プログラム」会合を締めくくった。

 

参考資料:

1. Asociación busca reducir la desnutrición infantil en Guayas
2. Niños menores de 2 años que aún no tengan cédula podrán incluirse en plan Ecuador Crece Sin Desnutrición Infantil
3. LA LUCHA CONTRA LA DESNUTRICIÓN CRÓNICA INFANTIL EN ECUADOR CUENTA CON UNA ESTRATEGIA INTEGRAL
4. Desnutrición Crónica Infantil(UNICEF
5. Ecuador: un 16% de los niños no son registrados
6. El papel de los medios frente a la desnutrición infantil

 

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