養老渓谷名物「いっぺあプリン」と「いちはら国府ブランド」

養老渓谷の新名物に「いっぺあプリン」が加わった。「渓谷どっとねっと」は市原市と大多喜町にまたがる養老渓谷の魅力向上に取り組む団体で、来訪する観光客の方々から「養老渓谷名物は何?」や「養老渓谷のお土産はないの?」という声に答えるべく活動をしている。

「いっぺあプリン」もそのうちの一つで2018年11月「いちはら国府ブランド」にも認定された。茶葉を粉末に利用しているから口の中に入れた途端お茶の風味がボワッと広がる。プリン自身も甘味もあるが、その「プレーンな味を少し味わったのちは、添付されるきな粉や黒蜜をかけて食べてみて欲しい」そう語るのは、お店の方だ。一つのプリンでいくつかの味を楽しめるのにもお得感がある。

「いっぺあ」はこの土地の方言で「いいでしょう」を意味するが、この商品に使われている主原料は全て千葉県産だ。例えば卵ときな粉は市原産だし、牛乳と茶葉も千葉県出身だ。購入できるのは角屋商店・いっぺあ Café(ともに養老渓谷駅前)、市原市役所喫茶室である。

 

かつては豊かな文化を持ち、現市原に対するアイデンティティが強かったこの土地の人々が、現代においてはその特徴を失っていると感じ「いちはら(の)国府ブランド」化を通じ、自己への「誇り」を取り戻そうとするもの。元市原市にはかつて上総の国の政治の中心地として親王任国の国府が置かれていた。また奈良時代には国分寺が建立され、天まで届くほどの七重の塔が作られたり、より時代を遡れば権力者の古墳が造られた場所でもある。更級日記の作者「菅原孝標の女」が多感な幼少時代を過ごし、更級日記が誕生する背景となる雅で高い文化があった場所として知られている。

2014年には市原らしさのストーリー化「いちじくの里プロジェクト」なるものがスタートした。アラビア地方原産のいちじくは中国を経て日本にやってきた。(寛永年間に西南洋の種を得て長崎に植え各地に広まったという説もある。)

昭和4年頃には姉崎町(現市原市)の森田喜一郎、相川吉郎、露崎金蔵の3名が広島県から「桝井ドーフィン」種を導入し40ヘクタールを使い栽培を開始。このいちじく園が戦後の市原地域のいちじく栽培の振興を支えた。それ以前は地域でまとまって栽培された板というよりは在来種が宅地内や空き地等に植えられていたと言う。なお、桝井ドーフィンは千葉県内で栽培されているいちじくの9割以上を占めている。いちじくは鮮度が命。収穫期は9月中旬である。市原ではこの品種以外にも「姉崎いちじく」なるものがある。いちじくは栄養価の高いフルーツで、古くは旧約聖書にも描かれていた。

 

極めて脱線したが、千葉県産のお茶を使ったプリン「いっぺあプリン」は市原市が「小湊鐵道が結ぶ市原の魅力」をテーマに行なった名物応援宣言に基づく補助金を活用して生まれた。1個300円で販売されている。この土地に来たら是非濃厚でお茶の風味豊かなプリンを味わってみて欲しい。

ちなみに「いっぺあCafe」には名物「ママ」がいる。養老渓谷駅の元名物駅長のママは「ペット大集合!ポチたま」や鉄道番組などに登場。養老渓谷駅のマスコット3匹の駅猫「ネネ」「ナオキ」「ユウタ」とともに駅を守り、この駅を利用する人たちに笑顔を届けてきた、その人だ。私は駅前の「角屋商店」で持ち帰り宿で食べた。

 

INFORMATION

いっぺあプリン
 価格
  300円

ホームページ
  https://keikoku.net/pudding/

 

参考資料:

1. いちはら国府ブランド
2. 市原市の歴史を活用した「いちはら国府ブランド」の確立
3. いちじく|旬鮮図鑑
4. 千葉・市原 姉崎いちじく とろける「完熟」の食感 鮮度が命、夜明け前に収穫 /東京

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