メキシコ先住民、自らの権利を求め憲法改正を要請

8月9日の国際先住民デーを迎えたメキシコでは48の先住民、農民、市民集落からなるコミュニティや組織連合「自決と自治のための同盟」( Alianza por la Libre Determinación y la Autonomía (ALDEA))によって自らの権利に関する憲法改正を確実に進展させるよう提案を受けた。要請対象はアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール大統領、国立先住民族研究所、連邦議会である。ALDEAは改革を進めることは、サン・アンドレス・ララインザール(San Andrés Larraínzar)協定、ヤキ族のための正義の計画の履行を意味と主張する。

今一度今年の国際先住民デーで上記が強調されたのはCOVID-19のパンデミックにも依る。ウイルスへの対応という観点から見ても既存で存在していた不平等さは露呈・悪化し、貧困、疾病、差別、制度の不安定さ、経済的不安さなど今まで以上の不均衡な影響が出た。先住民の視点から見ると、そのコントラストはさらに際立ってい見えている。

 

チアパス州サンクリストバル・デ・ラス・カサス(San Cristobal de las Casas)の北西約20キロメートルに位置し、マヤ語系の先住民ツォツィル族が多く住む土地の名のついたサン・アンドレス・ララインザール合意は連邦政府とサパティスタ民族解放軍(EZLN)の間で1996年2月に締結されたもので、同国の先住民、社会、国家の間の新たな関係を保証するもので、連邦政府は先住民の権利を認めるための憲法改正案を立法府に提出することが約束された。EZLNが提案するのは、先住民個人の権利だけでなく集団の権利も含んでいて、連邦政府とEZLNが推進を約束している。

 

共同公約と提案は以下の通り。

1.憲法における先住民、憲法上の自治権の枠組みにおける先住民自決権を認める

2. 政治的、経済的、社会的、文化的権利を認めた上で、政治参加と代表権を拡大する

3.司法、司法権、先住民の内部規範制度の承認に対する

先住民の完全なアクセスを保証する

4. 先住民の文化表現を促進する

5. 教育・トレーニングを行い、先住民伝来の知識を活用、尊重する

6. 先住民の基本的な要求を満たす

7. 生産と雇用を促進する

8. 先住民族の移住者を保護する

 

Acuerdo by Christine Hardin

 

先住民の権利に関する憲法15条改正は、多文化で公正かつ民主的な国家の基礎を築くことを目的としている。ベラクルス州でもこの日、1,234人の先住民代表が「メキシコ先住民およびアフロメキシコ人の権利に関する憲法改正イニシアチブ」の対話に参加した。憲法の改定にはおいて国立先住民族研究所(Instituto Nacional de los Pueblos Indígenas:INPI)と内務省が会議招集をし、内務省は民主的な開発・社会参加・宗教問題担当事務局を通じて保証機関としての役割を果たす。

先住民の改革イニシアチブは、人々やコミュニティの幅広いコンセンサスのもとに実行されている。それはすべての人々の利益のためには、貧しい人々が最優先されるべきであり、その中でもメキシコの先住民のプライオリティを高くするべきであるという政府方針に沿っている。

 

国際先住民デーにおいて強調されているのは憲法の変更についてのみでない。彼らが直面している暴力への非難についてもだ。先住民の統治形態、規範体系、領土の保全、共有財は常に外部から脅かされ、侵害され続けている。これらの脅迫、暴力は政府や地元自治体、ビジネス関係者と共謀した犯罪や汚職のネットワークにが背景にあることも多い。

8月10日にもサン・クリストバル・デ・ラスカサス(San Cristóbal de Las Casas)北部のヤハロン(Yajalón)市のツェルタル族出身である先住民グレゴリオ・ペレス・ゴメス(Gregorio Pérez Gómez)司法長官が射殺された。彼はパンテルホ(Pantelhó)市での暴力事件の捜査を担当していた。

メキシコの先住民活動家も暴力と常に隣り合わせで6月から8月だけでも多くのメンバーが殺されている(詳細はこちら)。

 

マヤのシンガーソングライターSara Curruchichはメキシコの著名な歌手ライラ・ダウンズ(Estrena Lila Downs)とともに新曲「Pueblos」を8月9日に発表した。

この曲は、グアテマラのマヤ族カクチケル出身であるサラが、先住民や女性の権利を守るために、スペイン語と母国語を用い、世界に向け発信した。先住民が長年にわたって行ってきた大規模な動員や、彼らが維持しているこの尊厳ある抵抗に向けられた曲であり、人々がまだ戦っていることを示すためのものだ。

「今日、私たちが生きている不平等や不公平の多くは、植民地時代の問題、つまり人種差別に大きく関係している。人種差別は国の、あえて言えば国のすべての構造に定着しており、その結果、栄養失調、貧困、極貧、先住民が被った立ち退きなど、目に見える形でもたらされている。先住民族の女性として私たちが受けたすべての暴力、セクシュアル化、オブジェクト化は、私たちが現在経験している人種差別、不平等、不正義の形態だ。」彼女はそう語る。

サラはパンデミック下における先住民が医療サービスにアクセスできていないこと、そして今もなお先住民やコミュニティの人々に対する多くの暴力行為を水力発電ダムや鉱山会社などのメガプロジェクトが関与して起こり、先祖伝来の土地からの移動の脅迫を受けていること、事実土地を奪われてきていることを強調する。

 

社会契約とは、社会的・経済的利益のために社会が協力するための不文律の契約のことだ。先住民が自分たちの土地から追放され、その文化や言語が否定され、政治的・経済的活動から疎外されている多くの国では、先住民はいかなる社会契約にも含まれていない。なぜなら社会契約は、支配的な階層の間で結ばれるものだからだ。このような不平等に対応するための国際的な合意が存在するにもかかわらず、未だ誰もが取り残されないような法改正などに進めていないのも確かだ。

先住民は自分たちの土地と特別な関係を持ち、独自の世界観と優先順位に基づいた多様な開発の概念を持っている。先住民の中には自治権を獲得している者もいる。一方で、その多くは自らの土地、領土、資源を支配する中央政府の最終的な権限下にある。

新しい社会契約は、機会均等を促進し、すべての人の権利、尊厳、自由を尊重する真の参加とパートナーシップに基づいたものでなければならない。これには、先住民と国家間の和解を実現するための重要な要素である、先住民の意思決定への参加権も含まれる。

 

ALDEAを構成する民族、コミュニティ、先住民族、農民、市民組織一覧:

 Asunción Ocotlan, Oaxaca  Bienes Comunales de la Selva Lacandona, Chiapas
 Consejo Ciudadano Indígena de Nahuatzen, Michoacán
 Coordinadora de Pueblos Unidos por el Cuidado y Defensa del Agua (COPUDA), Oaxaca
 Colectivo de Comunidades Mayas de los Chenes, Campeche
 Comunidad de Tepetlaoxtoc, Estado de México
 Coordinadora Regional de Autoridades  Comunitarias- Policía Comunitaria (CRAC-PC), Guerrero
 Consejo Supremo Indígena de San Francisco Xochicuautla, Estado de México
 Frente de Pueblos en Defensa de la Tierra (FPDT) – Atenco, Estado de México
 La Barda Paso de Piedras, Oaxaca
 Pueblo de Vicam, Sonora
 Red Ambiental en Defensa de los Humedales de San Cristóbal, Chiapas
 Red de Mujeres Artesanas, Cocineras tradicionales y Productoras del campo de la Huasteca, San Luis Potosi
 San Antonino Castillo Velasco, Oaxaca
 Santiago Apostol, Oaxaca
 Santa Ana Zagache, Oaxaca
 San Pedro Martir, Oaxaca
 San Martín Tilcajete, Oaxaca
 San Pedro Apostol, Oaxaca
 San Lorenzo de Azqueltan, Jalisco
 San Francisco Magú, Estado de México
 San Isidro Zegache, Oaxaca; San Sebastián, Oaxaca
 San Jacinto Ocotlán, Oaxaca
 Santa María Ostula, Michoacan
 Tejas de Morelos, Oaxaca
 San Felipe Apostol, Oaxaca
 San Matías Chilazao, Oaxaca
 Maguey Largo, Oaxaca
 El porvenir, Oaxaca
 Tonelhuayotzin Nuestra Raíz A.C.
 Servicios del pueblo mixe (SERMIXE)
 Tianguis Campesino – Chiapas.
 CDH Fray Pedro
 Tlalij A. C
 Centro de Derechos Humanos de la Montaña Tlachinollan
 Colectivo de Abogadas
 CONTEC, A.C
 Enlace Comunicación y Capacitación A.C.
 Fundación para el Debido Proceso. DPLF
 Fundar, Centro de Análisis e Investigación A.C.
 SEDEPAC Huasteca, San Luis Potosi
 Servicios para una Educación Alternativa (EDUCA)
 CDI Flor y Canto A.C.
 Servicios y Asesoria para la Paz A.C. (Serapaz)
 Oxfam México

 

参考資料:

  1. サンアンドレス合意と先住民族自治 : メヒコにおけるサパテイスタ蜂起と先住民の権利(神戸市外国語大学外国学研究所)
  2. Exigen ley de consulta indígena
  3. Las injusticias que viven los pueblos indígenas se relacionan con una herencia colonial: el racismo
  4. Marchan sobre Reforma por Día Internacional de los Pueblos Indígenas
  5. Reforma Constitucional sobre derechos indígenas busca sentar las bases de un Estado pluricultural, justo y democrático.
  6. Iniciativa de Reforma Constitucional sobre Derechos de los Pueblos Indígenas y Afromexicano
  7. Llama la ONU a crear un nuevo contrato social que incluya a los pueblos indígenas
  8. Reforma Constitucional sobre pueblos indígenas: Garantizar derechos sin frenar inversiones, reto de la 4T
  9. Pueblos, comunidades y organizaciones constituyen la Alianza por la Libre Determinación y la Autonomía (ALDEA)
10. Acuerdos de San Andrés Larraínzar entre gobierno y zapatistas
11. Sara Curruchich lanzará sencillo “Pueblos” por el Día Internacional de los Pueblos Indígenas
12. Las injusticias que viven los pueblos indígenas se relacionan con una herencia colonial: el racismo

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