世界最大のワシの減少理由はアマゾンの森林伐採

開発によるアマゾンの森林伐採や焼畑が止まらない。世界の肺と呼ばれるそこは、酸素の供給を行っているのみならず、多くの生命とともにある。世界最大のワシでありちょっと不思議な頭をしたオウギワシ(águila arpía)もまたここで暮らし、ナマケモノ(oso perezoso)やオマキザル(mono capuchino)を捕食し生活を送ってきた。ここ最近の調査でこの鳥が数を急速に減らし、レッドリストに登録されたのはその食生活の一部を構成する様々な資源へのアクセスが制限されているためだということがわかってきた。

ハーピー・イーグル(Harpy eagle)とも言われるオウギワシは体長は約1m、翼開長は約2m、体重は7~8㎏、爪は13cmととにかく大きい。頭の羽が扇のようであることからこの名前がついている。英語名ハーピー・イーグルのハーピーはギリシャ神話の上半身が女で下半身が鳥の怪鳥のこと。尾羽にはボーダーラインがあるのも特徴だ。

南アフリカのクワズールー・ナタル大学生命科学部生物多様性機能センター(Centre for Functional Biodiversity, School of Life Sciences, University of KwaZulu-Natal)エバートン・ミランダ( Everton B. P. Miranda)教授たちは森林消失率が0~85%のランドスケープ内に設置された16のハーピー・イーグルの巣をモニタリングし、捕獲した306個の獲物を確認、その結果を分析した。それによるとワシは森林が伐採された生息地では代替獲物の餌に切り替えることができず、樹冠に生息する脊椎動物を中心とした食生活を維持していた。そのため森林の減少に伴い摂食率は低下し、50~70%の森林伐採に見舞われた土地では、3羽の羽化した個体が餓死するに至っていることを確認した。70%以上森林が破壊された場所には巣がなく、50%以上森林破壊された土地ではワシの子が自立できなかった。つまり鳥の生息地の森林伐採が50%を超えると、子鳥が飢え始め育たないことが言える。これはArc of Deforestationが調査した428,800km2のアマゾン地域において全体の35%でハーピー・イーグルの繁殖ができないことと同義だ。事実「調査中にハーピー・イーグルのヒナが死ぬまでの数ヶ月間、15日に1回しか餌をもらえない状態を目の当たりにした」とミランダは述べた。1985年以降、森林伐採によって繁殖ペアの数が約3,256組と大幅に減少したと研究者は推定している。

 

そもそもこのような状態になったのは森に生息している霊長類やナマケモノが、ハーピー・イーグルの食料需要を満たすには少なすぎることによる。大人のイーグルには1日に800gの肉が必要なのだ。

人為的な生息地の劣化や密猟による餌の不足を補うには、代替的な餌種を食べるように適応していかねばならない。ジャガー(Panthera onca)などは、アルマジロ(Cingulata)を食べ、イヌワシ(Aquila chrysaetus)は、メソプレデターを代替食物とした。しかし上述の通りハーピー・イーグルは代替食物で生活をすることができない。そのため餓死する結果となる。

当局が発表した年間収支報告書によると、2020年だけで、ブラジル・アマゾンでは11,088平方キロメートルの木が失われ、前年比9.5%増と急速なる生息地の減少がわかっている。

食物連鎖の頂点に位置し、他から捕食される危険がない王者がこのように深刻な状態にいて絶滅に向かっているのは、獲物獲得の失敗が原因であることは明らかであり、獲物がいないのは森林の減少による。生物の多様性を保つためには、森林伐採の早期停止と、残された森林の連結性を保全し、若いワシをより多くの木がある生息地に移動させ、子ワシに餌を与えるようにすることが不可欠だ。「違法な森林伐採を政府が適切に取り締まることが急務である」とミランダは結論づけている。

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Miranda, E.B.P., Peres, C.A., Carvalho-Rocha, V. et al. Tropical deforestation induces thresholds of reproductive viability and habitat suitability in Earth’s largest eagles. Sci Rep 11, 13048 (2021). https://doi.org/10.1038/s41598-021-92372-z  (Provided by the Springer Nature SharedIt content-sharing initiative)

 

なお、森林破壊に歯止めをかけるためには現在の状況とともに過去からの動きが確認できる必要がある。そのためにノルウェー政府は資金を提供し国際気候・森林イニシアチブ(NICFI)を通じて世界の熱帯林に関する衛星データセットの公開を支援した。「1ピクセルあたり3mの解像度で、毎日確認できることを想定している。年末に失われた木を数えるのではなく、森林破壊を止めるためには、個々の木のレベルで何が起こっているのかを見ることができ、迅速な再確認ができる必要がある」と画像提供をするプラネット・ラボ社のCEOウィル・マーシャル(Will Marshall)は語った。プラネット・ラボは米国サンフランシスコに本社をおいている。※プラネットの地図の確認にはSign Upが必要。リアルタイムでの森林の状況確認はGlobal Forest Watchでも可能だ。

 

 

参考資料:

1. Las águilas más grandes del mundo están muriendo de hambre por la deforestación en el Amazonas
2. LISTA ROJA DE LAS AVES DEL ECUADOR
3. Tropical deforestation induces thresholds of reproductive viability and habitat suitability in Earth’s largest eagles
4. Norway funds satellite map of world’s tropical forests
5. New online tool tracks tree loss in ‘near real time’

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