ギルバート・スコットが語る革命が放映できないわけ

昨今のCOVID-19に端を発したアジア系に対するヘイトスピーチ、米国内での止まない黒人差別などを見ていて、急に思い出したメッセージがある。それはギルバート・スコット・ヘロン(Gilbert Scott-Heron)によるものだ。彼が亡くなり10年が過ぎようとしている今、何らかの縁で導かれたのかもしれない。

ギルバート・スコットは「ラップのゴッドファーザー」とも呼ばれた人だ。人種差別、社会における不平等、その時代の情勢をテーマに取り上げ、音楽に強いメッセージ(スポークン・ワード)を乗せ語りかけてくるのが特徴だった。シカゴ生まれであるものの、ニューヨーク・チェルシーで育ち、そこのプエルトリカン・コミニティーを通じて人格形成をした。その影響があってか、彼の尾根学にはラテン系のリズムが取り込まれているものも多くある。今日ここで紹介したいのは、彼の代表作 ”The Revolution Will Not Be Televised(革命は放映されない)”についてだ。

 

The Revolution Will Not Be Televised

There will be no pictures of pigs shooting down brothers on the instant replay
There will be no pictures of pigs shooting down brothers on the instant replay
There will be no pictures of Whitney Young
Being run out of Harlem on a rail with a brand new process
There will be no slow motion or still lifes of Roy Wilkins
Strolling through Watts in a red, black, and green liberation jumpsuit
That he has been saving for just the proper occasion

“Green Acres”, “Beverly Hillbillies”, and “Hooterville Junction”
Will no longer be so damn relevant
And women will not care if Dick finally got down with Jane
On “Search for Tomorrow”
Because black people will be in the street looking for a brighter day
The revolution will not be televised

There will be no highlights on the eleven o’clock news
And no pictures of hairy armed women liberationists
And Jackie Onassis blowing her nose
The theme song will not be written by Jim Webb or Francis Scott Keys
Nor sung by Glen Campbell, Tom Jones, Johnny Cash
Engelbert Humperdinck, or The Rare Earth
The revolution will not be televised

The revolution will not be right back
After a message about a white tornado
White lightning, or white people
You will not have to worry about a dove in your bedroom
The tiger in your tank, or the giant in your toilet bowl
The revolution will not go better with Coke
The revolution will not fight germs that may cause bad breath
The revolution will put you in the driver’s seat

The revolution will not be televised
Will not be televised
Will not be televised
Will not be televised
The revolution will be no re-run, brothers
The revolution will be live

 

この詩を見て私が思うことは以下の通りだ。

彼は革命が段階的に起こるものであるとしている。その初期フェーズは「頭の中で起きるもの」「気付きを持つ」ことから始まる。日常生活を通じて互換で感じ取るもの、その結果として頭に湧いてくるものそれが全ての始まりだ。人の頭にあるものはもちろん目に見えるものでもないし、映像化できるものでもない。さらにそれは常に変化していく。だからカメラを通じて捉えることはできないとしている。

また、目にするものの危うさについても言及しているように思う。テレビで放送されるのはメディアにより振り出されたステレオタイプだったり、何かを誘導するために使われる映像だったり、また、一方的な思想だったりするからだ。自らを取り巻く多くの情報に惑わされ、物事を本質を見定める目を持てなくなってしまった我々に警鐘を鳴らしているようにすら思える。

 

教育が行き渡っていないからこそ間違った観点で物事を見てしまうこともあるだろう。メディアの過信は自分が大きな力に誘導されていることをも気付かせない。それは良い、悪いではなく、現代社会に生きる我々が常に経験していることだ。
だからこそ、一度立ち止まり、目の前にあるものを素直に見ることが必要だ。

本当にその人がCOVID-19を振り撒いているのですか。
その人があなたに何をしたのですか。
辛いのはあなただけですか。
出自が異なっていたり、色が違う人々は皆悪人なのですか、と。

そして自らと対峙し自問自答することも必要だ。
その考えは本当に自分のものか、と。

 

ギルバート・スコットの晩年は薬物摂取による投獄や、持病の悪化もあり2011年5月27日に他界した。62歳だった。

 

参考資料:

1. 音楽が起こした社会変革の歴史:人種/性別/セクシャリティ…ミュージシャンと勇気
2.『革命はテレビ放送されない』の解説

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