「もしアナコンダに食われたらどうなるの?」を見て考える

考えたくもないが、もしアマゾンのジャングルでアナコンダに食べられたらどうなってしまうのか、について学習しておこう。というのも、この私。エクアドル・ジャングルを贔屓にしている。高等教育でそこでのフィールド・ワークを考えたほどだ。ゆえに、これからもそこを訪問、時としてアナコンダと鉢合わせになることもあろうと考えたからだ。

アナコンダはボア科アナコンダ属に属するヘビの総称だ。 “アナコンダ” と呼ばれる場合、世界最大の蛇 “オオアナコンダ” を指す事が多いが、キイロアナコンダなどもいる。体長は最大9m、平均でも4~6mほどある。体重も5mほどの個体で100kgを超えるというから、その大きさは想像に絶する。

アナコンダについて語ることなんてそうそう無いから、もう少し深掘りすると主にそれは南米のアンデス山脈東部、アマゾン川、オリノコ川の流域、そしてトリニダード島の熱帯雨林の湿地や川に生息している。体の大きさを見ればわかるかもしれないが、そのヘビは機敏に動くタイプではない。100kg〜250kgで長さ数メートルが機敏に動けた折には、動物界トップ座を獲得できたかもしれないが、現実は違う。狩のスタイルも受け身だし、巨体を上手く操るためには水の中での生活が欠かせない。

アナコンダは幼胎性の動物である。メスは卵を体内に保持し体内で孵化させる。一度に体長約60センチほどの幼蛇を20~80頭ほど産むが、産まれたばかりのそれはすぐに泳ぎ、狩りをすることができるという。野生での寿命は約10年だ。なお、交尾後のオスはメスに絞め殺され、捕食の対象(子どもにとって良いタンパク源)となることもあるようだ。

徐々に “食われる” という観点に近づいてきたから、もう一つだけ。アナコンダの口の特徴についてである。へび全体に言える事ではあるが、実は上あごと下あごがくっついていない。さらにはあごの先端も繋がっていない。この骨格的特徴は嚥下(えんげ)時、口を180度にちかく開く事を可能にし、左右交互にあごを動かセルということは、喉の奥へと獲物を運ぶことの助けになるというわけだ。また同時に、あごの後ろ側に伸びる “方骨(ほうこつ)”をバネ状に利用することで、あごを大きく開けることもできるようになるという。ちなみに毒牙は持っていない。

 

ボアというとどうしてもサン=テグジュペリの星の王子さまで、象を飲み込んだそれを思い浮かべるが、実際にアナコンダは人間を飲み込めるのだろうか。そして飲み込まれたらどうなるかを今回も ¿Qué pasaría si? が教えてくれる。

なお、過去ナチュラリストのポール・ロゾリーが、テレビ番組内でアナコンダに食べられてみるという実験をしたようだが、その企画は途中で中止された。というのも、アナコンダの最大の特徴、食う前にしめ殺す作戦でロゾリーの心拍数は急上昇、締め付けの力の大きさにギブアップをしたからだ。そもそもこの企画自体の正当性については疑問を感じずにはいられないが、そんな実験をしたこともあった。

ロゾリーの事例でも示した通り、アナコンダが獲物を食べる際に一番最初にするのは、獲物をしめ殺すということだ。その体をいっぱいに使い、羽交いとする。その力の大きさといえば9ポンドの圧力という。逆を言えば、まきつきが始まる前に逃げることができれば食われることはないし、巻きつかれ逃げられなくなれば死ぬだろうから、痛みを感じることもないだろう。

それでももし生きたまま飲み込まれてしまったら・・・?
口いっぱいに広がるベチョベチョ唾液を通過し、食道ではそのマッチョな筋肉で骨を粉砕されることだろう。そのあとは胃酸と酵素が皮膚を溶解してくれる。これで、あなたもゾンビ状態だ。でもこの行為もあっという間の出来事だ。なぜならカイマンの皮膚も3日で溶かすというほどの強酸が待っているからだ。その後?肝臓や膵臓がよりパワーを持った酵素とともに待っていてくれる。約1週間後には頭蓋骨と爪以外は綺麗に消化されているから、この時点で何かを思うことはないだろう。

 

なお、モンスターパニック映画で、大型のアナコンダが人を締め上げて丸呑みにするシーンを目にすることもあろうが、安心して欲しい。基本アナコンダが人間を捕食することはない。というのも、彼らにとって成人は大きすぎるからだ。もし襲われたとするならばそれは捕食のためというよりも自身を守るためであることが多い。

なお、インドネシアなどにいるアメミニシキヘビが人間を捕食した事例は探すだけでもいくつかあるので、こちらは要注意である。

 

アナコンダの話では無いけれど “ヘビの口から這い出るヘビ” の写真もちょっと面白いので興味がある人は参照を。

その他 ¿Qué Pasaría si…(〜したらどうなるの)? シリーズはこちらから。

 

参考資料:

1. 動物大図鑑オオアナコンダ
2. スクープ写真 交尾後にオスを絞め殺すアナコンダ
3.【生き物の疑問】ヘビって獲物を飲み込む時に、あごの骨を外すって本当?

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