ラウルが卒寿を迎える

6月3日、キューバのラウル・カストロ前共産党第1書記、兼、元国家評議会議長が90歳の誕生日を迎えた。キューバ革命を率いてきた兄フィデル・カストロ(Fidel Alejandro Castro Ruz)が2016年11月25日に90歳と3ヶ月余りの人生に幕を閉じた。それから革命政権は二人のカストロから、一人のカストロに率いられてきた。フィデルの存在が大きかったことから、どうしてもフォーカスが兄に当たりがちだったが、その良い点も、悪い点も1番近くで感じていたのは、ラウル以外の誰でもないだろう。

この写真が好きなので、何度でも出してしまうが、 ご了承いただきたい。

 

ベネズエラ大統領ニコラス・マドゥーロやロシアのウラジミール・プーチンもラウルにお祝いの言葉を送った。

https://twitter.com/EmbRusCuba/status/1400539974437572616

ラウルの後を引き継ぎ、国を率いるディアス・カネルはラウルを「キューバの共産主義者のベンチマーク」とした。

5人の英雄の一人ヘラルド・エルナンデス・ノルデロによるお祝い。彼自身についてはこちらを参照のこと。

 

兄フィデルが90歳になったときは、すでに腫瘍の手術もしていたし、政界から引退してから月日が経っていたこともあり、おじいちゃん感が出ているが、一方のラウルは数週間まで国を率いていたこともあり、ピシッとしている。そんなラウルも、持病として癌を抱えていると言われている。詳細は出てこないから分からないが食道癌、直腸癌、肝硬変という話もある。

 

ちなみに誕生日前日には「革命ーそれは最も美しい作品」2巻本が刊行された。その発表は革命宮殿で行われた。この本では2006 年6月14日から2019年5月1日までのラウルの138の功績がまとめられている。ちなみに6月4日現在Amazonなどでは販売されていない。分量が多いから読めるかどうかは別として、持ってはおきたいところだ。

ラウルは10年の任期において、国営ビジネスの民営化(自営業化)などの対策や外国資本の誘致などを行なってきた。また、画期的瞬間とも言えようが、バラク・オバマ米前大統領時代には、両国間の緊張を融解し、関係正常化に向けたプロセスをも主導した。両国の大使館の再開をはじめ、2016年のオバマ大統領のキューバ訪問(1928年以来の米国大統領による初)、学術交流、米国人によるキューバ旅行の促進も行うなど、ドラスティックな行動にも出た。

 

なお、ドナルド・トランプ元大統領の悪しき置き土産と、それを引き継ぐジョー・バイデンによる非人道的な経済・医療等の封鎖はキューバ、ラテンアメリカ諸国のみならず、社会からも非難されている。

この非人道的行為が、COVID-19で苦しむキューバ国民をさらに苦しめているのは、紛れもない事実だ。

 

参考資料:

1. ラウール・カストロ前玖第1書記が90歳に
2. Presidente Maduro felicita a Raúl Castro Ruz por sus 90 años de vida
3. Putin y Maduro felicitan a Raúl Castro por su cumpleaños número 90

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