ニカラグア大統領選2021:ついに自宅軟禁に

5月29日、ニカラグア検察はNGO ビオレタ・バリオス・デ・チャモロ財団(Fundación Violeta Barrios de Chamorro)のマネーロンダリングに関する捜査を終え、6月2日、カレン・チャバリア・モラレス(Karen Vanessa Chavarría Morales)判事はクリスティアナ・チャモロ・バリオス(Cristiana Chamorro Barrios)の逮捕を命じるとともに国家警察(Policía Nacional de Nicaragua:PNN)は彼女の自宅の捜索をおこなった。また検察は声明で、チャモロに対して、渡航制限や公職の資格剥奪などの予防措置を課すよう要請したと述べた。

 

こちらのブログでも触れた通り、本人による出馬表明はないものの11月7日に行われるニカラグアの大統領選において現大統領ダニエル・オルテガの有力な対抗馬とされていた。彼女や弟でジャーナリストのカルロス・フェルナンド・チャモロ(Carlos Fernando Chamorro Barrios)は自身のTwitterの中で、逮捕せずにはいられないほど、現政権はそれほどまでに変化を恐れているとした。

 

なおNGO の人権ニカラグアセンター Centro Nicaragüense de Derechos Humanos (Cenidh)の会長ヴィルマ・ヌニェス( Vilma Núñez)もまた警察は首都から約11キロ南にあるチャモロの住居に暴力的に押し入ったとした。5時間に渡る家宅捜査だったという。

この逮捕は昨年10月に可決された外国エージェント規制法に基づく。クリスティーナは抵触の警戒から今年2月7日、活動を停止させた。一方ニカラグア当局は言論・表現の自由拡充をその活動目的としていた財団は米国際開発局(United States Agency for International Development:USAID)からの資金提供を受けている証拠を発見した。米国務長官アントニー・ブリンケンは財団による資金洗浄の否定とともに、彼女の大統領立候補資格の剥奪プロセスを拒否すると表明した。米州機構もまたクリスティアナのこの逮捕は不当とし、この国の民主主義が脅かされ、最悪の選挙に向かっているとした。なお、USAID自身は支援先の国々で反政府活動を支援していることも有名だ。

母ビオレタは元大統領、父ホアキンも国内最大紙ラ・プレンサ(La Prensa)の主幹、弟もジャーナリストと名家に生まれたクリスティアナ。地名度が高いのみならず、米国からの支援もあり疑いようもなくオルテガからしたら、その連続4選を阻む有力候補に間違いない。

仕組まれた逮捕かどうかはおいておいたとして、互いに正々堂々戦うべきであり、国民から正当な評価を得るべきである。何を国民が求め、何に対して批判が起きているのか、国を背負って立つものとしては真摯に受け止める必要がある。

なお私自身は前回選挙(2017年)の際にニカラグアにいた。結果発表の際にはオムテペ島におり、結果が出るや否や町を演奏隊がねり回っていたと記憶している。

 

今回の逮捕については弟のカルロス・チャモロが報道している。関係者のため偏っている可能性もあるが、共有しておこう。

 

参考資料:

1. Cristiana Chamorro: la aspirante presidencial opositora queda bajo arresto domiciliario en Nicaragua después de que se ordenara su detención
2. Nicaraguan presidential challenger Cristiana Chamorro placed under house arrest
3. ニカラグア定期報告
4. Persecución en Nicaragua: la dirigente de la oposición Cristiana Chamorro quedó detenida en arresto domiciliario
5. Revolución Sandinista: 4 claves para entender la última revolución armada de América Latina y lo que queda de su legado en Nicaragua

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