どうして毎度毎度このようなことが起こるのかと思うが、また起きたので共有しておこう。
メキシコにおいては残念ながら選挙を妨害しようとする人間がいる。前回記事でも少し記載したが、政治家を攻撃するもの、投票用紙を輸送していたトラックが襲われたりといったことが引き続き起きている。
6月1日に89名と発表した死亡した政治家と候補者の数はまた増え5日(選挙前日)時点で91名となった。また政治家や候補者に対する攻撃も910 件となっている。
Presentamos el Sexto Informe de Violencia Política #Elecciones2021MX de @etellekt_ (Junio 5, 2021) El IVP registra 910 agresiones o delitos contra políticos, con un saldo de 91 víctimas mortales (36 de ellos aspirantes y candidatos). Acceso libre: ⬇️https://t.co/godumh2fnz
— Etellekt (@etellekt_) June 6, 2021
攻撃だけ見ても前回選挙(2017年〜2018年)におけるそれが774件であったのに対し17.5%もその数は増えていて、910件の事件のうち50件はその犯行理由も犯人が誰なのかも分かっていない。860件のうち36%(310件)が女性に対するもので、また、860人中628人(全体の73%)が指導的役職を目指すものに対するものだった。そしてこれらの攻撃の77%(484人)が郡議会関係者を対象としている。また、別の視点から見ると、910件のうち75%にわたる攻撃は、現在の州政府に反対している人に対して行われたものだ。なおこれらの事象は全ての州で起きているが、その中でもベラクルスが飛び抜けて多い。その数132件。ついでオアハカ(78件)、プエブラ(76件)、メキシコ(69件)、ゲレロ(53件)、サンルイス・ポトシ(47件)、ミチョアカン(46件)、チアパス(37件)、グアナフアト(34件)、ハリスコ(32件)、キンタナ・ロー(30件)、メキシコ・シティ(30件)と続き、これらが全体の73%の犯罪を構成する
殺害された人間の91名について見てみるとMORENAを含む与党連合(PVEM、PT)関係者は25名(全体の27%)で、PAN、PRI、PRDは計40名(全体の44%)あとはそれ以外だった。
また、投票用紙を運んでいた先住民ツォツィル族(tzotziles)5人が殺されるという事件もチアパス州北部のプエブロ・ヌエボ・ソリスタワカン(Pueblo Nuevo Solistahuacán)で発生した。目撃者によると、事件はソノラ(Sonora)とアロヨ・グランデ(Arroyo Grande)のコミュニティ間で発生した。選挙の準備に必要なものを運んでいた車はモンテ・オリボ(Monte Olivo)のコミュニティに向かう途中、武装した男に襲われた。攻撃を受けながらも生き延びた少年(16 歳以下)によると武装集団は攻撃理由を「エノク・ディアス・ペレス(Enoch Díaz Pérez)の命令に従わなかったため」としたという。エノク・ディアス・ペレスは連帯遭遇党 (PES) から市議会議長へ立候補している。なお、彼自身は2015年1月に3人のビジネスマンに対する拷問と誘拐、権力の乱用、組織犯罪を理由に治安部隊によって逮捕されている。この事件自体はサン・クリストバル・デ・ラス・カサス(San Cristóbal de las Casas)市から121キロ離れたプエブロ・ヌエボ(Pueblo Nuevo)に隣接する自治体ヒトトル(Jitotol)のエコツーリズム牧場で発生したとされている。なお、この市長自身が武装民兵グループ ロス・ディアブロス(Los Diablos)、別名モビミエント・アミーゴ・レボルシオナリオ(Movimiento Amigo Revolucionario)を率いているとされ、2010年にさまざまな罪で逮捕、釈放された後、民主革命党からの候補者として2012年選挙で市長当選していた、そんな人物である。なお、信者がいるのも確かなようだ。
なお、こんな追加情報は不要かもしれないが、バハ・カリフォルニア州ティフアナ(Tijuana)では中間選挙当日、選挙祝賀会中、投票テーブルに向け生首が投げ入れられるという事件が二箇所で発生した。一つはテラサス・デル・ヴァジェ地区のアシエンダ・デ・ラス・パルメラス(Hacienda de las Palmeras)通りにあるブース1440で午前9時頃に発生し、その約40分後、今度は別の投票所に2つの袋に入った人の遺体が投げつけられた。各々別の犯人とされている。なお正午にもマリアノ・マタモロス(Mariano Matamoros)のコロニーで別の頭が投げ入れられた。
また、この地域における重要都市メヒカリ(Mexicali)でも、いくつかの事件が勃発した。まず夜明けごろ国民再生運動(MORENA)の事務所に武装した集団が発砲、地元当局によると現場に32個の薬きょうが見つかった。負傷者はいなかったが、事務所は損傷した。また、数時間後には、別の武装集団がいくつかの投票所から投票用紙を盗んでいる。
政治家だから、候補者だから、市民だからと区別するつもりはないが、自分たちの国、町をよくするためにと精を出している人々に対する攻撃はあまりにも卑劣であり、悲しいことである。一部の人間によるものであることに間違いはないのだが、負の連鎖を断ち切る方法を、そして蔓延る悪を根絶するための方法を国民一人一人が探し行動して行って欲しい。
選挙と犯罪に関する詳細なる情報と分析はEtellekt公式サイトから。
参考資料:
1. Emboscan camioneta con papelera electoral en Chiapas; hay 5 muertos
2. Mayor jailed for torture, kidnapping
3. Alcalde acusado de asesinato y detención arbitraria
4. Terror en Tijuana: arrojaron dos cabezas humanas en casillas para votar
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