ラッソは指導者の杖を手にいれた!(エクアドル)

ドラゴンクエストの効果音が聞こえてきそうなタイトルだが、真実の話である。

5月24日、レニン・モレノ(Lenín Boltaire Moreno Garcés)から大統領の席を正式に引き継いだギジェルモ・ラッソ(Guillermo Alberto Santiago Lasso Mendoza)。今度は26日に先住民代表から指導者の杖(bastón de mando)を受け取った。

大統領就任イベントの一環として見られる先住民から国の指導者への神聖なる杖の授受式は、エクアドルのみならずコロンビア、ボリビア、ペルー、メキシコなど、ラテンアメリカ世界で時々登場する。

今日はあくまでエクアドルにおけるその意味を見ていこうと思う。というのも、他の世界における杖や式典の持つインパクトや象徴がエクアドルのものと等しいのか、現時点で私が知識を持っていないことによる。

この杖を引き継ぐことでアンデスの世界観において最高の政治的権力者となったことを意味している。なぜならこの杖は、人間の権威であり、パチャママの精神的な力を表し、さらに人々を正義に導くためのガイドとなり、それを持つものは大地の守護者となるからだ。

 

アンデスの世界では、このシンボルを持つことは、垂直的で個人的で利己的なリーダーシップを取るのではなく、精神的な発達を意味し「すべては私にあり、私はすべてに」などのアンデスの考え方を理解していることを意味する。

Allpamamaの神聖な木材で作られるこの杖は山岳地帯、アマゾン地域における先住民の長が持ち歩いているが、人間のように3つの部位で構成されている。

頭部 “Hawa Pacha” には太陽、月、星、その他惑星が宿り、足の部分 “Uku Pacha” には富や先祖からの精神 “ayakuna”(生命にエネルギーを与えるもの)が宿っている。アマゾン地帯では、この杖の頭部に装飾を施しており、コミュニティの色、骨、カラフルな鳥の羽などがついている。指導者はその杖の中心から見上げたり、下を見たり、周囲を見たりながら神の力を使い人々を導いていく。

この儀式はラファエル・コレア(Rafael Vicente Correa Delgado)やレニン・モレノ(Lenín Boltaire Moreno Garcés)など前大統領就任の際にも行われた。ただしコレアはその力を乱用したとして杖を持つものとして相応しくないとして、後に撤回された。コレアと先住民の間には鉱業法、水法、および自発的に自らを隔離している先住民生息地の近くに眠る石油採掘権に関するの考え方への対立があり、それを解決することなく国家として承認したとし先住民運動が起きていた。

ちなみにこのような引き継ぎ式はアンデスの世界において昔からあったものではない。むしろ伝統的なスペインの君主制におけるもので、そこでは王冠、王座、剣が力の象徴として使われていた。

 

授与式では、タンボロマ(Tamboloma)とムラレオ・チキカグア(Mulaleo Chiquicagua)コミュニティの会長であるセグンド・アロンソ・トアロンボ(Segundo Alonso Toalombo)は、このセクターにおいて必要とされているものが記載された文書を大統領に渡し、また、トゥングラワ(Tungurahua)州の知事マヌエル・カイザバンダ(Manuel Caizabanda)はエクアドルの歴史の新しいページに書気込めるように、そして、腐敗、専制、社会的不平等、日和見主義と戦う方法を知ることになるだろうとモンタルボ(Montalvo)のペンのレプリカを渡した。

このほかにもラッソはポンチョを、妻のマリア・デ・ルルド・アルシーバル(Maria de Lourdes Alcívar Crespo)は先祖代々の所有物の象徴としてサラサカのスカーフを受け取った。

また、式典に際して大統領は農村部のために開始される政府のイニシアチブについて話した。灌漑システムの修復、改善、近代化は人々と国籍の管理と開発の長官、ルイス・パチャラ(Luis Alberto Pachala Poma、50歳)が担当するとした。彼はアンデス地方でCREO 運動を率いていた元国会議員。2021 年 5 月 24 日、大統領就任から数時間後に内閣の人民および国籍管理および開発長官として任命されている。

 

この聖なる杖は、大統領就任のお祝いの品でもなければ、先住民の村を訪問した際のお土産の品でもない。先住民が脈々と引き継いできた土地を発展させ、国民が幸せになれるよう民を導くための力なのだ。それを決して忘れることなく、4年間努めて欲しいと思う。

 

式典の長いバージョンは以下から。大統領就任に関してはこちらの記事から。

 

参考資料:

1. El bastón de mando: el máximo símbolo del liderazgo indígena
2. El bastón de mando, de símbolo indígena a presea política
3. Bastón de mando: ¿Qué significa esta tradición indígena?
4. La vara, símbolo de la sabiduría indígena del país
5. El bastón de mando
6. Quién es Luis Pachala, Secretario de Gestión y Desarrollo de Pueblos y Nacionalidades
7. Subsecretaría General de Planificación y Desarrollo
8. Libro : Cosmovisión y Sabiduría Puruwa(Pedro Janeta)

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