世界初法定通貨にBTC採用のエルサルバドル

6月9日予定通りナジブ・ブケレ(Nayib Armando Bukele Ortez)大統領によって提出された仮想通貨ビットコイン(BTC)を法定通貨とするための法案は、84人中62人の承認を経て、国会で承認された。

この法案は米国マイアミで行われた祭典でBitcoin 2021で発表され、会場は騒然とした。

エルサルバドルは2001年、自国通貨colón(サルバドルコロン)を廃止し、米ドルを自国通貨として採用した。それから20年が経過した今、今度はBTCを導入するという。なお、基軸通貨米ドルをそのまま残し、オルタナティブな法定通貨としてBTCを採用した。

ブケレはBTCは国外に住むエルサルバドル人による送金を容易にしてくれるとし、その正当性を主張した。その背景には、この国の70%もの人間が金融サービスを利用できていないこと、そして、ここの経済が海外送金に大きく依存していることによる。その多くは米国からのもので、そこからの海外送金が減れば、この国自体が破綻する、と考える専門家すらいるほどだ。

在米エルサルバドル人から家族への送金額は2016年で45.7億米ドルと記録的なものとなり、翌2017年はその記録をまた打ち破った。2017年のエルサルバドルの経済生産高が270億米ドルだったことを思うと、どれほどの重要性を帯びているのか容易に理解できる。

新法が官報に記載されてから90日後、仮想通貨は利用できるようになる。この猶予期間で中央銀行はBTCの利用に伴うルールを定め、また、政府は利用者に対してBTC取引と米ドルとの即時換金を可能にするインフラを構築する。なお、米ドルと仮想通貨間では自由変動相場制に基づく交換率が設定される。

BTCは商品の売買のみならず、税金の支払いにももちろん利用可能で、むしろ、消費者からBTC支払いの意志があった場合、断れない。ちなみにビットコイン取引は譲渡所得課税の対象外とされている。

BTCの適用は短期的に見ても雇用を創出するなどのメリットが見込める。さらに現在のビットコインの評価額のほんの一握りだけでもこの国に投資されれば、エルサルバドルのGDPが25%増になることだって可能だ、と大統領は胸を弾ませる。

現在の送金システムはトランスファーフィーもかかれば手元に届くまでにも時間がかかる。そこにメスを入れることは人々の生活をドラスティックに変えることを意味する、これが大統領の考えだ。

ロイター通信によるとエルサルバドルのモバイルペイメントアプリケーション “Strike” は、すでにビットコインへ対応すべく動き出しているという。

何事もはじめての試みにおいては想定外のことが発生するのは必至だ。でも、まだ発生していない何かを批判したり、悲観する必要は私はないと思う。次なるステップのためには、最初の一歩が必要だからだ。

ただし、個人的に思う事はビットコインの利用者はその特性をよく理解しておく方がいい、むしろ理解していくことは必須事項だろうということだ。なぜならそれは外国為替とは比べようもないほどに、その価値が乱高下するからだ。

エルサルバドルのこの取り組みは、お金の歴史上14番目に大切なイベントとなる。

 

画期たる市民の生活革命とともに、是非成功に向かって進んでいって欲しい。もちろん旅行者だってBTCで取引できるようになる。

 

ビットコインを知らない人は、こちらもどうぞ。

参考資料:

1. Bitcoin: El Salvador makes cryptocurrency legal tender
2. Personal remittances, received (% of GDP) – El Salvador
3. Trump clamps down on El Salvador’s ‘lifeline’
4. Bitcoin now legal tender in El Salvador, first nation to adopt cryptocurrency

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