CONAIE(エクアドル先住民連盟)は前会長アントニオ・バルガス・グアタトゥカ(Carlos Antonio Vargas Guatatuca)が6月20日、プヨ(Puyo)市国家警察によって拘留されたとTwitterを通じて発表した。プヨ市はアマゾン地方パスタサ(Pastaza)州にある。
#ATENCION
Antonio Vargas, expresidente de #CONAIE, Hatun Kuraka de la nacionalidad kichwa de Pastaza, es detenido injustamente por la Policía. Sobre caso ya resuelto con medidas alternativas a la prisión. A días del #VIICongresoCONAIE este hecho de persecución.En desarrollo. pic.twitter.com/MZHadNzkFd
— CONAIE (@CONAIE_Ecuador) June 20, 2021
CONAIEの弁護士であるレニン・サルソサ(Lenín Sarzosa)はテ・スライ(Té Zulay)事件で知られるアシエンダをめぐる紛争でアントニオ・バルガスがそこの土地売買や不正使用を扇動した罪で、パスタサ裁判官から3年8か月の禁固刑を言い渡されたとした。現在バルガスはマカス刑務所に拘禁されている。
そもそもこの土地に関する裁判では第二審では、エクアドルが締結した独立国における原住民及び種族民に関する条約(Convenio 169 de la OIT sobre pueblos indígenas y tribales※)の第10条を適用し、コミュニティ・ワークを裁定していた。先住民である元会長はその事件においても先住民の権利を守るために指導者として活動をした。このことからも弁護士はOIT条約第169号に基づき投獄以外の刑罰に転換されるされるべきだと弁護士は続けた。
この条約では先住民や部族の人々の労働者の権利と、土地や領土、健康や教育に対する先住民の権利が言及されていてエクアドルを含む22の国(2016年時点)に批准されていて、投獄に関しては、条約の第8条、第9条、および第10条で先住民族のメンバーに対して一般法によって規定された刑事制裁が適用される場合、彼らの経済的、社会的および文化的特徴(先住民自らの慣習および制度など)を考慮に入れなければならなず、投獄の代替制裁が優先されるとしている。
CONAIEは元指導者の逮捕を迫害によるものだとし、数日中に拘禁に反対する「身柄提出」を行うとともに、米州人権裁判所で予防措置を行うと発表した。habeas corpusは人身自由保護のための最も強力な救済手段で,拘束理由が不当であれば裁判所は直ちに被拘束者の釈放を命じなければならない。連盟はもちろんアントニオ・バルガスの即時釈放も要求している。
CONFENIAE ANTE LA DETENCIÓN DE ANTONIO VARGAS
La Confederación de Nacionalidades Indígenas de la Amazonia Ecuatoriana – CONFENIAE rechaza la detención ilegal y arbitraria del compañero Antonio Vargas, líder Kichwa amazónico, ex presidente de la CONAIE y presidente PAKIRU pic.twitter.com/IMLdH4l2B2
— CONFENIAE (@confeniae1) June 21, 2021
先住民の経済活動や文化は土地と深い関係を持っている。テズレイ農場に関しても13年以上論争が続いている。
パスタサ州のベジャビスタ(Bellavista)に位置するこの農場の広さは950ヘクタール。かつて紅茶の栽培と加工で栄えていた土地だ。2007年、1999年の金融危機で閉鎖された銀行の資産を保有していた旧預金保証機構(AGD)が所有するディエリコン(Dierikon S.A.)に買収された。数年後同社はその権利をアグリコラ・テハウス(Agrícola Tehouse)に譲渡している。テ・ハウスはその際にキチュワ領土地区、テズレイ農場の土地売買に関する2つの契約締結もしている。
2010年から先祖代々の権利によって土地の所有者(アマゾン奥地のコミュニティをはじめ、チンボラゾ、コトパクシ、トゥングラフア、エスメラルダス、ピチンチャなどからやってきた人々)であると主張する先住民がこの地への入植を開始した。それはこの物件がずっと放置されていたということもあるようだ。入植者はこの土地には希少な資源が眠っており、また、その土地を購入するためにお金を払ったと主張している。彼らは棒や板、亜鉛の板、プラスチック、ブロックなどを使い小さな家を建てたり、ある家族は工場施設を占有するなどし集落をそこに作っていった。そしてこの地の住民は「アマゾン民族の文化交流都市(Ciudad Intercultural de las Nacionalidades Amazónicas:CINA)」と呼ばれる組織を形成した。
先住民とテ・ハウス社との間では何度となく法的対立が発生していて、判決が出ている一方で、それがまだ解決されていない状態だ。
2017年10月26日、民事訴訟において判事エリック・バスケス・ジェレナ(Erik Vásquez Llerena)がこの土地からの立ち退き命令を出した。ただ、入植が止むことはなく、裁判官は同年12月4日に自治体と国家警察に3月2日に事件16331-2016-01057を通知した。また、刑事訴訟でもコナイエの前代表は有罪とされたが、これはディエリコンS.A.社のマネージャーであるレネ・ザンブラノ(René Zambrano)との土地売却の約束を守らなかったためとされている。具体的には契約の後退や解除がその理由である。判事は農場の1、3、5区画の明け渡しも指示をしている。
この侵入と定住は土地の占拠以外にも問題がある。行政もリオ・アマゾナス空港へのアプローチゾーンに違法建築物が立ち続けていて、屋根となる亜鉛板は、航空機の着陸を助けるアンテナに影響を与えてしまい、着陸や離陸の際のリスクになることを警告。また河川の汚染、ゴミの増加、地域の治安の悪さなども問題となっている。
アントニオ・バルガスは刑務所の代替措置を講じられていた。それにもかかわらず、今回の逮捕と投獄が発生した。6月25日から27日、CONAIEは全国会議を開くとともに、ハイメ・バルガス(Jaime Vargas)を引き継ぐ代表の選挙を行う予定だ(詳細はこちら)。その直前での身柄拘束。どのような影響が出てしまうのだろうか。
6月21日08:00 am、コナイエ本部 (Sevilla y Guipuzcoa, La Floresta, Quito)で記者会見を開き、ハイメ・バルガスはこの逮捕を受け「鉱物や石油、エネルギーのために土地に侵入し続ける搾取する人間たちへパスタサが制裁をかけたことは歴史的にもなく、また彼らのための牢獄はないのに、アントニオ・バルガルや正しく権利を主張する先住民リーダーたちに対してはある」と締めくくった。
先住民系政治組織パチャクティ(Pachakutik)からのコメントは以下の通り。
※条約は国際労働機関(ILO) の第76回総会で1989年6月27日採択され、1991年9月5日発効された。
2021年8月20日Update
アントニオ・バルガスは8月19日釈放された。不当に投獄されていたとされる2ヶ月間、先住民たちは先住民の権利を尊重するために彼の釈放を常に要求していた。
参考資料:
1. Una hacienda fue invadida en Pastaza y Mera
2. INFORME FINAL DE ESTUDIO DE CASO PREVIO A LA OBTENCIÓN DEL TÍTULO DE ABOGADA DE LOS TRIBUNALES DE LA REPÚBLICA, TEMA: “ANÁLISIS DE LAS COMPETENCIAS DEL INTENDENTE GENERAL DE POLICÍA EN EL DESALOJO DE TIERRAS DE LA HACIENDA TE ZULAY”
3. Expresidente de la Conaie Antonio Vargas, detenido hoy
4. Indígenas amazónicos piden inmediata liberación de Antonio Vargas
5. 1989年の原住民及び種族民条約(第169号)
6. CONVENIO núm. 169 DE LA OIT
7. Hacienda Té Zulay(Facebook)
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