ペットに人間と同等の権利を与える法案が提出された(スペイン)

ご認識の通り日本における動物に関する規制・罰則は極めて緩い。可愛いからというその場の勢いでペットショップで動物を購入後数日で手放す、こんな手がかかるとは知らなかったと。年老いた動物は病気のリスクも増えるからと保健所に持ち込まれ、さらには病気を治療する費用がないと放置され、ショップの「在庫」になった動物は闇の世界に持ち込まれる。

飼い犬だってそう。「うちの子は大丈夫だから」とノーリードで散歩させられる。ワクチン接種もしてはもらえない。去勢なしの外飼いは結果として捨て子を生む。

いつまで経っても意識改革が進まないのは、動物に対するそれだけの話ではないが、法律で縛られないでも家族である動物を守るという点から自発的な意識改革をお願いしたいものだ。なお、おおよそ無責任な飼い主は、動物に関する法律など、存在することすら知らないことを付け加えておこう。

 

2021年4月21日、スペインで新たに動物の福祉と保護に関する法案がサンドラ・グアイタ(Sandra Guaita※)議員によって提出された。これは人間同等の権利をペットにも認めるとするもので、この法案提示に当たっては「ペットはモノではなく生き物である」と今一度明確に定義をされた。

この法案を通じてどのような変化が起きるかといえば、例えば離婚裁判において人間の子ども同様、犬や猫もその親権や養育費、もちろん医療費などについても議論の対象になるし、共同監護権なども話し合われることになる。さらに相続などの対象にもなりうるということだ。

もちろんペットに対する虐待も人間へのそれと同様犯罪とみなされるようになるし、迷子や捨てられた動物に出会った時には、飼い主を見つけるか、警察に通知することが公的義務として課せられる。

なおこれまでの法律における動物はその福祉や保護を考慮しておらず、その経済的価値から押収または抵当に入れられる可能性のある対象であり、自動車やその他の資産と同等の扱いであった。

動物に対する保護や福祉の考え方は欧州連合条約にはすでに盛り込まれていることであり、スペインは他の国に比べて大きく遅れをとってきたという。事実同様の取り組みはすでにオーストリアでは1986年、ドイツでは2002年、スイスでは2003年、ベルギーは2009年、フランスも2015年、ポルトガルでも2017年で起きており、民法改正も行われた。

ただし今回の法案においては野生動物に関する言及がないことから、こちらは別途考慮されることになる。本法案は大多数の支持を得て可決する予定。なお、本法案は極右政党ボックス(VOX)だけが反対をとなえている。

 

※サンドラ・グアイタはスペイン社会労働党(Partido Socialista Obrero Español:PSOE)に所属している。

 

参考資料:
1. Custodia compartida de las mascotas en caso de separación o divorcio

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