映画 “EL TEMA : OCÉANOS” 地球の肺を守る

カリブ海に浮かぶ島コスメル(Cozumel)はメキシコにおける一大観光地である。マヤ語でツバメの島を意味この島にはスキューバダイビング、マナティやイルカウォッチング、そしてシュノーケリングなどマリン・アクティビティを目当てに毎年多くの人がやってくる。その数は900万人(2019年調べ)で、どの島よりも多くの観光客を誘致している。そしてその多くがクルーズ船を用いて入島するという。

観光産業は多くの金を生み、地域に貢献する。だからこそ、観光が与える負のインパクトや環境に与える大きさに気付いていても修正することができない。収入と適切な自然資源の活用・保全が表裏一体になってしまっているからだ。それは政府肝煎政策であるEL TREN MAYA(※)の建設においても同じことが言える。

美しいはずの海は大小の船の海上輸送、プラスチックゴミで汚染されている。海洋生物の乱獲や大気中にある過剰な二酸化炭素は海洋の酸性化を招き、また珊瑚の白化を生む。水温が上がれば海洋の酸素含有量が低くなり生態系に影響を及ぼす。私たちが呼吸する酸素の生産者である海が傷めば、更なる気候変動を招き、我々の生活にも大きな影響が出る。

 

私欲を重視した考えなしの土地開発は生物の多様性に脅威を与え、エコシステムの崩壊をも招く。過去にないほどの天災に見舞われるのは、気候変動の結果であり、被害が甚大になるのも破壊されたエコシステムがゆえである。傷んだ自然では我々を守ることができなくなっているのだ。

 

COVID-19が世界的蔓延は、この土地を往来するクルーズ船や訪問客の数を減少させた。それは奇しくも海洋、そしてそこに住む生物に一時期の休息を与えることとなり、その健康状態を少し回復させた。でも、この状態が長く続くことを望むわけにもいかない。

だからこそ、海としっかりと対峙し、我々が海洋に対してできるアクションを早急に実行していく必要がある。
そう、漁師の人々が環境に配慮した漁業を開始したように。

 

※EL TREN MAYAに関する記事は “EL TREN MAYA” の行方は  (6月4日公開予定)も参照のこと。

参考文献:

1. Cozumel creció 6% en arribo de turistas en 2019
2. 海は思われていたより多く熱を吸収、気候変動に大きな影響か=米研究
3. サンゴ礁保全活動の手引き(素案)(PDF : 5660KB) – 水産庁

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