エクアドル大統領選2021:5月24日ラッソ新政権誕生

久しぶりの右派政権によるエクアドル統治が5月24日から始まる。

まずは結果から見てみよう。
アンドレス・アラウス(Andrés Arauz)元知識・人的能力調整相
 得票数 4,236,515 (得票率47.64%)
ギジェルモ・ラッソ(Guillermo Lasso)元銀行家
 得票数 4,656,426(得票率52.36%)

 

最終的に2位を5ポイント引き離しラッソが次期大統領になることが確定した。なお彼自身は3回目の大統領選チャレンジでついに実を結んだというわけだ。

https://www.eluniverso.com/resultados-elecciones-ecuador-presidente-2021/ より

 

特筆すべきこととしては、左派・国家同盟のラファエル・コレアが2014年バナナ事業家庭に育った右派・国家行動機構改進党アルバロ・ノボアを決選投票で倒して以来の右派政権誕生ということだろう。

https://twitter.com/LassoGuillermo/status/1381442354918342661?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1381442354918342661%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Fas.com%2Fdiarioas%2F2021%2F04%2F12%2Factualidad%2F1618247305_196510.html

 

2月7日の第1回投票では決まらず迎えた4月11日。ぶっちぎりの得票率で1位通過した左翼希望連合アンドレス・アラウス(36)と13ポイント差2位の右翼機会創出運動ギジェルモ・ラソ(65)によるガチンコ勝負となった。

 

注目の公約について3つのテーマに絞り今一度確認してみることとする。

まずは経済対策について。エクアドルでは原油価格の下落やCOVID-19の感染拡大で経済が疲弊している。 アラウスは任期の4年で80万人の雇用(社会保障付き)創出を約束するとともに、政府機関や公共政策の改善に向けた経済部門における技術開発を奨励、また、100万もの家族に対する資金援助、産業活性化を目的とした外国からの投資と中小企業に対する税制優遇措置を講ずるとともに減税も行うとした。 一方のラッソは農業・畜産業に対する低金利・長期間(1%で30年)融資や農業関連製品輸入における関税撤廃などを行う予定だ。

経済の立て直しのためにも重要となってくる健康対策としてアラウスはCOVID-19のワクチン接種計画の立案と、数百万回分のスプートニクVワクチンをロシアから供給してもらうこと、さらには医療従事者6,000人の雇用創出とともに200の保健センターの建設を約束した。

エクアドルでは教育に関する公約も重要事項だ。項目が多いので割愛するが、インターネット環境の普及、奨学金の充実や学費の無償化、さらには高等教育へより簡単にアクセスするための体制づくりなどが約束され、また、エクアドルらしく先住民言語を用いた教育実施などもうたわれている。

ラッソは、新政権誕生後100日以内に900万人に対しワクチン接種させること、また、ワクチン接種は無償行われ、医療関係者やハイリスクグループに優先的に開始することを約束した。
ちなみにエクアドルではCOVID-19の感染拡大が続いており37万人が感染、1万8000人が死亡している。

 

今回の当選を受け、ラッソは可及的速やかなる体制確立と回復と安定化のための経済・政治対策の実現が求められる。 なお16人が立候補した第1回投票(2月7日実施)の結果も見てみると以下の通りとなる。

https://cne.gob.ec より

今一度エクアドル大統領選のルールについて振り返ってみよう。第1回選挙で1発当選するには、有効票の過半数を得る、もしくは得票率が40%以上で2位候補に10ポイント差をつけることが必要だ。

残念ながら、アラウスは第1回投票首位となったものの、本条件に適合せず、ゆえに4月11日の決選投票を迎えることとなった。

なお、第1回投票における2位争いは熾烈でラッソとペレスの得票率の差は0.5%未満。ペレスの要請により国家選挙理事会、つまり中央選挙管理会は再集計をするほどだった。なお、第1回投票における2位争いは熾烈でラッソとペレスの得票率の差は0.5%未満。ペレスの要請により国家選挙理事会(CNE、つまり中央選挙管理会)は再集計をするほどだった。なお最終結果としてはラッソ19.39 %に対し、ペレスは19.74 %とされている。

余談にはなるが中道左派で先住民のリーダーのペレスは51歳の弁護士で、環境保護にも積極的だ。極めて個人的な話をするとLago Agrio(スクンビオ州)で先住民による環境保全や自らの土地に埋まる資源の搾取に対する強い反対活動を見た経験、かつアマゾン地帯で先住民家庭におけるホームステイでその自然の素晴らしさに魅了された私としては、ペレスの言動に興味がある。残念ながら敗退していまったが、この先住民出身の新しい形のリーダーほ、これからも我々に多くのことを語りかけてくれるだろ。

 

エクアドルにおいては彼ら先住民の力については新政権も無視できない存在となっている。と言うのもペレスの政党パチャクティック(Pachakutik)は、2月の議員投票で2番目に大きな存在となったからだ。事実ラッソ氏は進歩の一方で置いてきぼりになっている先住民に対する教育、医療、労働の機会の改善を約束している。なお、パチャクティックの躍進は今後のエクアドル人のアイデンティティ形成にも大きな変化をもたらすとも予測されている。

ペレスが過去語ったような成功を成し遂げ社会的地位を確立するために自身のアイデンティティを偽ったり、先住民であることがハンディキャップに感じてしまうような社会的風潮から脱却できる可能性も出てきた。 大統領選挙然り、2021年は議員選を含む選挙戦はエクアドルにとって大きな転機となりそうだ。今後が楽しみでならない。

 

以下は大統領選挙出馬一覧。
政党(運動)/候補者
Unión por la Esperanza/Andrés Arauz Galarza
Partido Sociedad Patriótica/Lucio Gutiérrez Borbúa
Ecuatoriano Unido/Gerson Almeida Espinoza
Partido Avanza/Isidro Romero Carbo
Partido Fuerza Ec/Carlos Sagnay de la Bastida
Izquierda Democrática/Xavier Hervas Mora
Movimiento AMIGO/Pedro Freile Vallejo
Alianza Honestidad/César Montúfar Mancheno
Pachakutik/Yaku Pérez Guartambel
Unión Ecuatoriana/Giovanny Andrade Salvador
Democracia Sí/Gustavo Larrea Cabrera
Alianza CREO-PSC/Guillermo Lasso Mendoza
Partido SUMA/Guillermo Celi Santos
Movimiento Construye/Juan Fernando Velasco Torres
Juntos Podemos/Paul Carrasco Carpio
Alianza PAIS/Ximena Peña Pacheco

 

ちなみに冒頭にノボアの話を出した。ノボア姓繋がりで話をすると「経済のドル化」つまり自国通過(スクレ)放棄し米ドルを法定通貨とした時の大統領グスタボ・ノボアが2月16日心筋梗塞のため米マイアミの病院で亡くなった。83歳で脳腫瘍手術を受けたばかりだったという。ご冥福をお祈りします。

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