エクアドル先住民族連合(Confederación de Nacionalidades Indígenas del Ecuador:CONAIE)の代表レオニダス・イサ(Leonidas Iza)は、政府に対する公開動員を開始したその日に逮捕された。6月14日(火)の早朝のことである。 キチュワ・パンサレオ(kichwa-panzaleo)族に属するイサはこの日も伝統的な栗色のポンチョと黒い帽子を常に身にまとっていた。抗議活動では政府の経済・社会的対策に疑問を呈しており、燃料価格の引き下げ、失業問題への対応、農産物の価格調整、犯罪や治安の悪化への対策などを要求していた。
先住民運動のメンバーが撮影した記録によると、午前1時過ぎにイサは国家警察と軍隊の精鋭部隊によって車から降ろされた。その後どこに連れて行かれるかわからない状態で国家警察のパトカーに乗せられたという。運動のリーダーの一人であるアパウキ・カストロ(Apawki Castro)によると制服警官による尾行と待ち伏せの後、拘束されている。
#URGENTE
Grupos de élite de la Policía y las FFAA detienen de manera ilegal a @LeonidasIzaSal1 presidente de la CONAIE.
Llamamos a nuestra estructura organizativa a RADICALIZAR las medidas de hecho por la LIBERTAD de nuestro máximo líder y por la dignidad de nuestra lucha. pic.twitter.com/qRVIMjewBW— CONAIE (@CONAIE_Ecuador) June 14, 2022
この拘束に対してラッソ大統領はエクアドル国民を、混乱を引き起こそうとする「破壊者」の犠牲者にすることはできないし、「大統領としての私の義務は、エクアドル人が自由に移動できる可能性を保証することだ」と述べている。これはマリセラ・ヤネス(Marisela Yánez)検察官のコトパクシ県の農民が道路を閉鎖し公共サービスの麻痺を招いたことが悪質であるという主張や、デモ開始から数時間の間に行われたとされる破壊行為を受けてのことだ。ラッソはまた、警察車への放火、農家への侵入、車のフロントガラスが壊され、石油ポンプ設備が攻撃され、農民のコミュニティで水が断たれたことを指摘している。イサの拘束の合法性確認のためラタクンガ市からビデオ会議を通じて審理を行ったパオラ・ベドン(Paola Bedón)判事もこれらの主張を受け入れている。自由な移動と市民の自由な移動の権利にイサが影響を与えたことから、抗議デモのリーダーであり主要な推進者の拘留を合法としたのだ。この国の憲法第326条では「健康と環境衛生、教育、司法、消防、社会保障、電気、飲料水と下水、炭化水素の生産、加工、燃料の輸送と流通、公共交通、郵便と通信の公共サービスの麻痺は禁止されている」と言うのが根拠だ。なおイサの弁護は、警察からの告発を拒否し、逮捕時には道路を妨害していなかったと主張しており、また、リーダーの逮捕は違法であると付け加えた。
Ahora que hemos empezado a reactivarnos, #NoPodemosParar. Quienes cometan actos vandálicos van a responder ante la justicia y el pueblo ecuatoriano. pic.twitter.com/yRmY1hikht
— Guillermo Lasso (@LassoGuillermo) June 14, 2022
CONAIEが前日の月曜日に動員を発表した際、ラッソは暴力行為を指導したもの、実行したものは逮捕をするとも述べていた。これは「法の尊重は民主主義における共存の基本原則」と言う信念に基づく。なおイサは勾留はされたものの、検察官が求めた捜査目的での予防拘禁について裁判官は受け入れていない。約2時間の審問の後、特定の条件の下でのイサの「即時釈放」を命じた。関係者によると、その条件とはイサの出国禁止と管轄当局への定期的な報告を行うことだ。
イサの拘束については複数から疑問も上がっている。例えば彼の弁護士の一人であるカルロス・ポベダ(Carlos Poveda)は、イサの逮捕時に法律で定められた憲法上の権利を読み上げられなかったと警告している。これに対してはパトリシオ・カリージョ内務大臣は否定している。政治運動パチャクティ(Pachakutik)の副党首セシリア・ベラスケ(Cecilia Velasque)はストライキに直面した政府の戦略を誤りであると述べた。「政府は対話を望んでおらず、私たちが数ヶ月前から行っている提案に対する具体的な答えもだしてきていない」そう続けた。
#ATENCIÓN | Respecto a la detención de Leonidas I. y la retención de un agente fiscal en #Cotopaxi, #FiscalíaEc informa a la ciudadanía (comunicado). ⬇️ pic.twitter.com/IePrnaJFag
— Fiscalía Ecuador (@FiscaliaEcuador) June 14, 2022
2019年に起きたCONAIEや市民社会を中心とした全国的なデモでは6人の死者と1,500人以上の負傷者(うち3分の1近くが治安部隊)が出た。政府はこれを今回も警戒していた。イサはこの時のデモ指導者の一人でもあったことによる。ただし今回の交流について憲法学者のサリム・サイダン(Zaidan)はボイス・オブ・アメリカに対し、裏目に出る可能性もあると述べた。イサの逮捕はデモ参加者をさらに煽り、デモを過激化させる可能性もあるからだ。
https://twitter.com/CONAIE_Ecuador/status/1536944717870637056
https://twitter.com/yakuperezg/status/1536713425291825153
2021年大統領候補だったヤク・ペレス(Yaku Perez)もまた、エクアドルにおける不正、不平等の是正について訴えかけている。イサの持つマリアテギストと反資本主義を組み合わせた思想についてはまた今度。
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参考資料:
1. ¿Quién es Leonidas Iza, el líder indígena detenido por protestas en Ecuador?
2. Jueza en Ecuador dispone libertad de Leonidas Iza, presidente de la Confederación de Nacionalidades Indígenas, y ordena medidas alternativas a la prisión
3. Liberado el principal dirigente indígena en Ecuador Leonidas Iza en medio del paro
4. Ecuador: ¿quién es Leonidas Iza, líder indígena detenido en las protestas?
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