2022年2月4日、北京オリンピックが始まった。昨年東京で夏のオリンピックがあったことを思えば、あまり目新しさは無い。とは言え今回冬のオリンピックは日本のそれとは比べ物にならないほどのセキュリティー厳戒体制のもと行われ、残念ながら現地の人々と各国のオリンピック選手が触れあえる機会はなさそうだ。オリンピックには人それぞれの楽しみ方がある。フィギュアスケートの軽やかなステップや流れるような舞に魅了される人もいれば、いつか空を飛んぶ選手すら出てきてしまいそうなスキージャンプや、ボコボコのコブを軽快にかわし進むスキーモーグルなどに楽しみを見出す人もいるだろう。
競技以外で私が最も楽しみにしているのは、選手のユニフォームである。冬のオリンピックに限らず、各国の選手が身にまとうユニフォームは個性や国柄が出ていて面白い。カナダはスポーツメーカールルレモン（lululemon）、米国はラルフローレン（Ralph Lauren）、スウェーデンはユニクロと大手ブランドがその製作に名を連ね、機能やデザイン性をアピールする。ちなみに日本選手団の公式スポーツウェアはデサントが手掛けるが、彼らの看板商品「水沢ダウン」の高機能モデル「アルパイン」は評価され、スイス、カナダ、ドイツのチームウェアにも採用されている。
そして今年のメキシコ代表が身に纏うのは国を代表するスポーツ ルチャ・リブレ（Lucha Libre）へのオマージュいっぱいのユニフォームだ。
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冬のオリンピックにおけるメキシコユニフォームは何かと注目されてきた。デザイン性、話題性に富み、その力の入れように皆度肝を抜かれてきたからだ。2014年のソチ大会ではマリアッチの衣装が、そして2018年の平昌大会ではカトリーナをモチーフにしたチームユニフォームが話題をさらい、結果に大会ともメキシコ代表が大会のベストウェアに贈られるNBC賞を受賞している。これらは勝つことだけでなく、本来のスポーツを楽しむと言う目的に味付けをしてくれるものでもあった。
「メキシカンにこだわっている」。6月にメキシコオリンピック委員会の承認を得て、公式ユニフォームを手掛けることになったフォン・ホーエンローエ（Hubertus von HohenloheはMedioTiempoのインタビューで語った。今回はメキシコを代表するスポーツであるプロレス、ルチャ・リブレをテーマにすることも示唆していた。
メキシコ系オーストリア人のフォン・ホーエンローエは冬季オリンピック6大会にメキシコ代表として出場した人物で、マリアッチデザインのスキーウェアを着てるとし注目されたその人である。平昌2018のドクロユニフォームをデザインした人物でもある。スキーの才能のみならず、カメラマン、デザイナーや歌手としても活躍するなど極めて多才だ。
ルチャ・リブレを採用するのはそれが「仮面」であり「強さ」であり、この国の「アイデンティティ」でもあることによる。サン・ミゲル・デ・アジェンデ（San Miguel de Allende）で入ったバーのポスターを見て、その表現力にインスピレーションを受けたと言う。そこで受けたルチャ・リブレの説明が「服に取り入れたら、メキシコの伝統の強さを感じてもらえるんじゃないか」と思わせたと言う。
なお、テワナ（Tehuana）族の文化に着想を得たユニフォームで開会パレードに参加した東京オリンピック2020でもそうだったように、今回もそのユニフォームを模した商品がメキシコで販売されることが発表されている。興味のある人は手に取ってみたらいかがだろうか。
今回大会にはアルペンにサラ・シュレパー（Sarah Schleper）、ジョナサン・ソト（Jonathan Soto）、距離スキーにロドルフォ・ディクソン（Rodolfo Dickson）、フィギュアスケートにドノバン・カリージ（Donovan Carrillo）が参加する。力強いユニフォームを味方に少しでも上の順位を狙って欲しい、そう思うのである。
過去のオリンピックネタはこちらから。
参考資料：
1. Esquiadores mexicanos llevarán uniformes alusivos a la lucha libre en Beijing 2022
2. Unifórmese de México en Beijing 2022 rendirán homenaje a la Lucha Libre
3. ¡De Oaxaca para el mundo! El traje que usará México en inauguración de Tokio 2020
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