キューバ:米国の攻撃的行動のエスカレーションを国連人権理事会で非難

スイス・ジュネーブで開催された人権理事会(Consejo de Derechos Humanos)第61会期の組織会合において、キューバの外交官ロベルト・カバニャス(Roberto Cabañas)は演説を行い、米国の制裁措置について「我が国の全市民を無慈悲に罰することを目的としており、人権を公然と侵害している」と厳しく批判した。カバニャスはさらに、「人権理事会は、このような犯罪行為に沈黙してはならない」と強調した。

カバニャスは、米国がキューバに石油を供給する国々に関税を課すと脅す行為についても指摘した。この措置は国際社会を巻き込み、キューバへのエネルギー封鎖を強制する狙いがあるという。制裁の目的は、キューバの経済や社会活動を麻痺させ、数百万人の国民に苦しみをもたらすことにあると述べた。

また、同外交官は、今回の人権理事会第61会期が複雑な国際情勢の中で開催され、多国間システムやその機関が直接的な攻撃にさらされている状況であると指摘した。米国は国連の機関や多くの国際機関から脱退しており、「法の力を力の法に置き換えた新しい国際秩序を押し付けようとしている」と非難した。

 

キューバ外務省の公式サイトによれば、キューバは第61会期(2026年2月23日~4月2日)において、以下の3つの議題案を提出する予定である。

  1. 国家の外債およびその他の国際的金融義務が、すべての人権、特に経済的・社会的・文化的権利の完全享受に与える影響
  2. 食料権(Derecho a la alimentación)
  3. すべての人々の文化的権利の享受の促進および文化的多様性の尊重

 

ディアス=カネル大統領、米国の圧力に対応する国家戦略を説明

2026年2月5日、キューバ共産党(Partido Comunista de Cuba)中央委員会第一書記および国家元首であるミゲル・ディアス=カネル(Miguel Díaz-Canel)大統領は、国内外のメディア向けに記者会見を行い、現状に対応する国家戦略や計画について説明した。会見は国営ラジオ・テレビで全国中継され、大統領府のYouTubeチャンネルでも配信された。

1時間以上にわたる質疑応答で、大統領は国内の状況、国際協力、キューバへの支援、発電、投資、火力発電所の復旧、米国との二国間関係、防衛計画、国内の基地に関する説明など幅広いテーマに触れた。

会見の冒頭でディアス=カネル大統領は、国内が直面している危機に対し、国家防衛評議会(Consejo de Defensa Nacional)を含む最高指導部が燃料不足に対応するための「政府指示に基づく実行計画」を更新していることを明らかにした。大統領は、政治局(Buró Político)、国家防衛評議会、閣僚評議会(Consejo de Ministros)による分析を踏まえ、燃料不足への国家方針や計画を説明した。

ディアス=カネルによれば、キューバは国際社会からの支援を受けており、各国政府や市民運動、企業、関係者からの連帯表明があったことで、困難な状況下でも国際協力が維持されているという。

大統領はまた、米国との対話に常に前向きであり、主権を尊重した文明的な交流が両国民に利益をもたらすことを強調した。またそれには事前の圧力や条件付けは行わないとしている。

さらに、キューバは平和国家であり、米国に対する脅威ではないことを繰り返した。一方、テロを支援するようなテロ国家ではなく、むしろ過去にテロ行為の被害を受けたことがあると述べた。また、違法なグアンタナモ(Guantánamo)米海軍基地以外、外国の軍事基地は国内に存在しないことを指摘した。

また大統領は、ハバナ(La Habana)とワシントン(Washington)間での可能な対話や合意に関して、革命勝利以来、キューバの「歴史的立場」は、国の主権が尊重される限り、対話の用意を守ってきたと述べた。この立場は「指導者フィデル・カストロ(Fidel Castro)が定めて擁護し、ラウル・カストロ(Raúl Castro)が継承したものであり、現在においても不変かつ揺るぎない」と大統領は指摘した。さらに、「キューバは米国との対話に応じる用意がある。どのような議題についても対話は可能である」と強調し、唯一の条件は「平等の立場から、キューバの主権・独立・自決権を完全に尊重した上で行われること」であると述べた。加えて、両国間で「文明的な関係」を構築することも可能であり、それが両国民に利益をもたらす可能性があるとした。

米国の敵対的圧力について、ディアス=カネルは、過去60年以上にわたりキューバは「最大限の抵抗をもって」圧力に対処してきたと指摘した。これを「崩壊理論(teoría del colapso)」と呼び、米国政府がキューバの状況を説明するために用いる「失敗国家理論(Estado fallido)」と関連付けた。また、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の最近の発言を引用し、キューバは米国が主張するような「失敗国家」ではなく、「最大の経済的圧迫に直面してきた国家である」と強調した。大統領は「私たちは封鎖の下で生まれ、生活してきた。常に欠乏があり、複雑な困難があり、常に困難や制約、圧力の中で活動してきた。これらの圧力は世界のどの国にも、しかもこれほど長期間課せられたことはない」と述べた。

さらに米国の圧力が強まる中でも、キューバは平和国家としての立場を維持しながら、自国防衛の準備を着実に進めているとし、国家防衛の準備態勢を整え、必要に応じて「戦時体制」へ移行するための計画を更新していると説明した。そして、国民の営みを守るためには、戦争を遂行する軍事力だけでなく、全人民の防衛意識と創造的な対応が不可欠であると強調した。

大統領が繰り返し訴えてきた「創造的抵抗(resistencia creativa)」とは、キューバ国民が信じる理念を守り、勝利への確信を持って困難に立ち向かう姿勢を意味している。「創造的抵抗とは、我々が信じる思想や信念を守ることであり、勝利への確信を持つことである」と述べたうえで、「私は理想主義者ではないが、困難を皆で力を合わせて乗り越える」と語り、国民の努力と創造性の重要性を訴えた。

2026年1月29日、米国は経済戦争政策を一段と強化する大統領令を発令した。これを受け、キューバ政府は初の公式な報道対応に臨んだ。今回の大統領令は、キューバが米国の安全保障に対して「異常かつ特別な脅威」を与えていると主張し、国家非常事態を宣言する内容となっている。あわせて、キューバへのエネルギー供給を締め付けることを目的に、キューバに石油を「販売または供給する国」に対して関税を課す可能性を示唆した。

記者会見で、ミゲル・ディアス=カネル大統領はエネルギー事情について説明した。昨年復旧した発電設備は稼働可能な状態にあるものの、燃料不足のため分散型発電(generación distribuida)が4週間にわたり停止しているという。また、キューバは必要な石油のおよそ3分の1を国内で生産している一方、残る3分の2を輸入に依存している現状にも言及した。そのうえで、ワシントンによる今回の措置は、住民の移動や、食料・教育・医療を含む物資やサービスの生産・輸送など、島国の生活の多くの側面に直接的な影響を及ぼすとの見方を示した。さらに、これらの措置は違法な経済封鎖による「集団的制裁」をいっそう深める意図を持つものだと位置づけた。

加えて大統領は、現在の「不十分な状況」に対応するためには「市民参加」が不可欠であり、その強化と深化が課題解決につながるとの認識を示した。

 

グローバル・サウスの抵抗

ミゲル・ディアス=カネル大統領は、米国の高まる攻撃性に言及し、「世界は一方的な力に屈してはならない」と強調した。世界はいま「非正規戦争」の時代を迎えており、米国が自らの「帝国的哲学」に基づくパラダイムを各国に押し付けようとしているとの認識を示した。

そのうえで大統領は、こうした動きに対抗するために「反覇権的な動員」と「反ファシズム的な連携」が必要であると提起した。これは、米国が武力や経済制圧を通じて他国の主権を侵害する構図に反対する立場を意味しているとされる。

また、キューバ国内の困難な状況については、国民が不安を感じる可能性があることを認めつつ、危機に対処する意思決定の過程において市民参加の仕組みが重要であると述べた。そのうえで、キューバは平和国家であると繰り返し強調しながらも、主権と独立を守るために国民総動員的な国家防衛の概念を掲げていることを明らかにした。

#DonaldTrump #主権侵害 #Díaz-Canel

 

参考資料:

1. Cuba denuncia en el Consejo de DD.HH. de la ONU escalada agresiva de EE.UU.
2. Cuba prevalecerá frente a agresiones de EE.UU., afirma Díaz-Canel
3. Presidente Díaz-Canel actualiza sobre situación nacional (+ Video)
4. El presidente cubano, Díaz-Canel, anuncia medidas del país ante la agresión de EE. UU.

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