コロンビア:米大統領、数か月にわたる舌戦の末に「素晴らしい」とペトロとの会談を称賛

(Photo:THE WHITE HOUSE)

コロンビア大統領選挙まで残り4か月となる2月4日、ホワイトハウスで米国大統領ドナルド・トランプ(Donald Trump)とコロンビア大統領グスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)の会談が行われた。この会談は、コロンビア大統領の期待を上回る結果となった。

数週間にわたり、コロンビア国内では、会談が成功するかどうかよりも、何が失敗するかという懸念の方が多く語られていた。予測不能で過激な言動を繰り返す両指導者による会談は、大失敗に終わればコロンビアに損害をもたらす可能性もあった。また、ペトロが話題から脱線したり、会話を独占したり、「宇宙的な話題」に終始するのではないかという懸念もあった。一部では、選挙戦のさなかにすべてが破綻することを期待するかのような空気さえ漂っていた。

しかし、結果は予想外の展開となった。約2時間にわたった会談は非公開で行われたが、公開された写真からは友好的な雰囲気がうかがえた。トランプは「彼は素晴らしかったと思う」と語り、ペトロも「私は率直な米国人が好きだ」と称賛した。

両者はこれまで数か月にわたり相互に中傷を繰り返してきた。トランプは以前ペトロを「病人(sick man)」と呼び、ペトロは米国大統領の移民政策を「ナチス(the Nazis)」に基づくものだと批判していた。こうした敵意の応酬から、今回の会談が1年前にホワイトハウスの大統領執務室(Oval Office)でトランプとウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキ(Volodymyr Zelensky)の間で起きた口論の再現になるのではないかとの憶測もあった。

会談の議題は多岐にわたった。ペトロによれば、両者はベネズエラ産ガスをコロンビア経由で輸出する可能性について協議し、地域における麻薬取引対策という共通の関心事項についても意見を交わした。会談後、ペトロは手書きのメモを公開した。そこには「大いなる名誉だ ― 私はコロンビアを愛している(a great honour – I love Colombia)」と記されていた。また、両首脳が並んで写る写真も公開された。

Photo:PRESIDENCIA DE LA REPÚBLICA

 

ワシントンでの会談に向けて、コロンビア代表団は細部に至るまで綿密な準備を行った。大使のネクタイの色や持参する書籍に至るまで計画され、数か月にわたる慎重な調整の集大成として会談が臨まれたのである。実業家、外交官、政治的仲介者、さらには牧師までもが、制御困難に見える火種を抑えるために努力した。1月7日の電話会談が和解の基礎を築き、その後、会談に向けた準備はさらに強化された。安全保障面では譲歩が行われ、爆撃キャンペーンの再開などもその一環に含まれた。

ペトロの顧問たちは会談に臨むにあたり、次の三点を助言した。まず、具体的提案ですぐに要点に入ること。次に、トランプとの問答で言葉数を競わないこと。そして、予測可能な挑発に乗らないこと。この助言が、非常に緊張感の高い会談を成功に導く要因となった。

会談に臨んだペトロは、大げさな言動や長いイデオロギー講釈を避け、より実利的(pragmatic)でイデオロギー色の薄い姿を示した。この実利的な姿勢により、ペトロは国民の間で最も広く共有されていた恐怖――米国による攻撃で引き起こされるかもしれない危機――を和らげることに成功した。実際、ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)の逮捕について公に帰還を要求した直後であっても、ペトロは自らの見解を詳述せず、沈黙を保った。

 

ペトロにとっての政治環境は以前から不安定さを示していた。1年間にわたり、世界で最も権力を持つ米大統領と対峙してきたことは、支持率にも影響を与えていた。一般に、コロンビア国民は米国に好意的であり、インバメル(Invamer)社の調査では81%が「次期大統領はワシントンとの良好な関係を維持することが重要」と回答している。ペトロの支持基盤である反帝国主義的レトリック層の間でも、通商・外交・その他の紛争への懸念はここ数か月で増大していた。大統領自身も、トランプのベネズエラ政策を見て、コロンビア領内での攻撃の可能性を考慮したことがあった。

国内への影響も即座に現れた。コロンビアはすでに選挙シーズンに入っており、中道右派は重要な攻撃材料を失う一方で、新たな材料を模索している。ペトロは野党が危機を煽っていると非難していたが、今回の会談によりその炎を抑えることに成功した。

ペトロによると、昨年ペトロ大統領に科した米国の制裁、つまりペトロ自身や関係者のクリントン・リスト(Clinton List of Specially Designated Nationals)入りやビザ取り消し問題については会談では触れられなかった。一方「トランプは、制裁自体が存在すべきでないと述べたが、これは私個人に関してではなく、一般論としての発言であった」。クリントン・リストとは、米国財務省外国資産管理局(Office of Foreign Assets Control:OFAC)が管理する制裁リストで、対象者に金融取引の制限などの措置が科されると言うものだ。ペトロ大統領は、この制裁の根拠となった疑惑を「中傷(slander)」だとして否定し、自身のリスト入りにも否定的な立場を示していた。両首脳は、民族解放軍(Ejército de Liberación Nacional:ELN)などの反政府勢力と闘うことも確認している。

自身の麻薬対策アプローチがトランプと異なることを認めつつ、ペトロは「この問題の捉え方には間違いなくさまざまな方法がある。攻撃的なアプローチもあれば、より共同で構築することに開かれたものもある。我々は、分断するものではなく、結びつけるものを重視しようとしている」と語った。

会談に先立ち、コロンビア政府当局者は、コカインや麻薬製造施設の摘発を含む麻薬対策の取り組みを具体的にトランプ政権に提示する計画を明かしていた。ペトロは「最上位層の麻薬密売人は、人々が想像するような存在ではない」と語り、アラブ首長国連邦、欧州、米国など海外に居住する大物麻薬密売人の所在を特定し拘束するため、コロンビア当局と協力するようトランプに求めた。

ホワイトハウスでの会談では、コロンビア大統領グスタボ・ペトロが、エクアドルとの貿易・関税問題についても言及した。ペトロ大統領によれば、トランプ大統領は電話での仲介を申し出ており、国境付近での緊張緩和に向けた対話の重要性を示したという。ペトロ大統領は、「最近パナマで行われたノボア大統領との会談でも、『話せばいいではないか、どこに問題があるのか』と伝えた」と述べた。これは誤情報が国境での暴力につながるのを防ぐためであり、「すでに国境では血が流れている」と指摘した。また、コカ栽培に従事する農民についても触れ、ロベルト・パヤン(Roberto Payán)で開始された数千人規模の農民による自発的なコカ植物の除去作業を例に挙げ、国境地域の平和と生活の安全確保に向けた取り組みの重要性を強調した。

さらにペトロは、ベネズエラについて「コロンビアおよび米国と協力し、石油および天然ガスを輸出できるように望む」と述べ、競争や制裁の結果として三か国すべてが損をしてきたとも指摘した。

Photo:PRESIDENCIA DE COLOMBIA / EFE

 

この会談には、コロンビアにとって大きな利害が懸かっていた。具体的な合意内容はまだ公表されていないものの、麻薬取引、エネルギー、地域的仲介といった繊細な問題において、コロンビアが米国との同盟関係を取り戻しつつあることを示す材料はそろっている。予想外の相手との会談ではあったが、それでも米国は同盟国であることに変わりはない。

数十年にわたり、コロンビアは米国の軍事協力の恩恵を受けてきた。それは、コロンビア革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias de Colombia:FARC)のゲリラを交渉の場に引き出すうえで重要であった。この関係は現在も続いているものの、その強度は以前ほどではない。しかし同国では暴力が激化しており、その対応において米国の情報能力や技術は依然として戦略的に重要である。

さらに、経済的な結びつきも不可欠である。コロンビアの貿易赤字は、米国に居住する300万人以上のコロンビア人からの送金によって部分的に相殺され、その額は年間130億ドル以上にのぼる。また、コロンビアの輸出の約30%は米国向けである。

一方、米国にとっても、コロンビアが麻薬取引に断固とした姿勢を維持し、情報を共有し、動揺の続く地域における協力者として機能することは重要である。特に、隣国ベネズエラが不透明な政治的変化に直面し、その莫大な石油資源をワシントンに向けて開放しつつあるように見える現在、その重要性は一層高まっている。

この文脈において、任期終了の6か月前にあたる今、ペトロはワシントンでの会談を経て、自身の立場を強化した感覚を抱いている。批判者たちが予想した以上に、そしておそらく本人自身が予想していた以上にである。非常に不均衡な会談であった。というのも、はるかに強力な大統領であり、かつ思想的に正反対の人物との間での会談であったからだ。

だが、本来なら落とし穴になり得たもの――気まずい場面や、ウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキが経験したような公開の屈辱――は、ペトロの政治プロジェクトの継続を決定づける大統領選の4か月前において、政治的資産となった。そしてその利益は最終的に、ペトロが政権から去った後も、後継者が受け取ることになる。

#GustavoPetro #DonaldTrump

 

参考資料:

1. Trump hails White House talks with ‘terrific’ Petro, after months of trading barbs
2. Petro emerges reinforced from his meeting with Trump at the White House

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