コロンビア:ペトロ大統領、トランプ政権との緊張関係続くも米国との対話維持を強調

コロンビアのグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)大統領は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領との公式会談のため、2026年2月3日にワシントンのホワイトハウスを訪問する予定である。両首脳は性格も経歴も対照的であり、過去には公然とした対立もあった。

トランプ大統領に対して、多くの世界の首脳が迎合やお世辞を使う中、ペトロ大統領は意図的に反発を続けてきた。ペトロ大統領は、カリブ海や太平洋での麻薬密輸船への疑惑の攻撃や、イスラエルによるガザ侵攻への支持など、米国の政策全般について批判してきた。一方で、トランプ大統領は証拠を示さず、ペトロ大統領を「米国にコカインを大量に流入させている」と非難し、「病気の男(sick man)」と呼ぶ侮辱的発言を繰り返した。また、米軍による直接行動の可能性も示唆した。

両者の最初の顕著な対立は、トランプ大統領の2025年1月の再選直後に発生した。ペトロ大統領は、身元不明の移民をコロンビアに送り返す米軍機の受け入れを拒否したが、トランプ大統領は通商面での圧力を示唆し、最終的にペトロ大統領は譲歩せざるを得なかった。その後、トランプ大統領は公然とペトロ大統領を嘲笑し、「コロンビアは最初は受け入れないと言ったが、13分後には受け入れた」と発言した。

さらに、2025年9月の国連総会(U.N. General Assembly)参加中、ペトロ大統領はニューヨークの街頭で拡声器を用い、米兵にトランプ大統領に従わないよう呼びかけた。この行動を受け、米国はペトロ大統領のビザを取り消し、本人や妻、内務大臣に金融制裁を科した。

 

国内の反応

コロンビア国内では、トランプ大統領とペトロ大統領の会談について懸念も示されている。『エル・ティエンポ(El Tiempo)』のコラムニスト、フアン・ロサノ(Juan Lozano)は「我が国にとって非常に憂慮すべき事態である」と論じた。両首脳の会談は、強硬姿勢を持つ二人の間での外交的駆け引きが注目される場となる見込みである。

コンサルティング会社「コロンビア・リスク・アナリシス(Colombia Risk Analysis)」のセルヒオ・グスマン(Sergio Guzmán)は、ペトロ大統領の世界に向けたトランプ政権への抵抗呼びかけは刺激的であると評価する一方、国内への影響も懸念されると指摘した。実際、トランプ政権はコロンビア人に対する移民ビザの発給停止や、輸出品への関税引き上げ、麻薬組織への軍事介入の可能性を示している。

国連薬物犯罪事務所(U.N. Office on Drugs and Crime)の報告によれば、コロンビアのコカイン生産量は2024年に約3,000トンと過去最高を記録した。これは2021年の2倍以上にあたり、トランプ政権の非難対象となっている。さらに、米軍がベネズエラ大統領ニコラス・マドゥロ(Nicolás Maduro)を拘束した事件後、トランプ大統領はペトロ大統領も同様の対象となり得ると示唆した。

 

対話と協力の模索

こうした緊張下でも、ペトロ大統領はトランプ大統領と初の電話会談を行い、約1時間にわたり意見交換した。トランプ大統領も「ペトロ大統領と話せて光栄である」とコメントした。ペトロ大統領は、侮辱や脅威があっても米国との麻薬対策協力を維持する必要性を強調しており、今年1月のアルジャジーラ(Al Jazeera)とのインタビューでも「侮辱や脅威があっても、麻薬対策におけるコロンビアと米国の協力を維持することに注意を払ってきた」と述べた。

ペトロ大統領はベネズエラのポスト・マドゥロ政権時代の政情が暴力的混乱に陥る可能性を指摘し、全ての政治勢力による対話を通じた政権運営と選挙実施を提案。「対話による共同行政(shared government through dialogue)」の重要性を強調し、ベネズエラ暫定大統領デルシー・ロドリゲス(Delcy Rodriguez)とも対話を続けていると述べた。

 

会談の意義と課題

ワシントン・オフィス・オン・ラテンアメリカ(Washington Office on Latin America)のアダム・アイザクソン(Adam Isacson)は、「両者が直接話す機会を持ったことで、現時点では一時的な緊張緩和が生まれている。しかし、この関係がどの程度順調に維持されるかは予測しにくい」と述べた。両首脳は日常的に発言力が強く、1日に50回もツイートするポピュリスト指導者で、性格的に似ている部分があると指摘される。

トランプ大統領は麻薬対策や不法移民阻止への協力をペトロ大統領に求める見込みである。一方、ペトロ大統領は貿易上の優遇措置や個人制裁の解除を求める可能性がある。しかし、両首脳の意見が対立すれば、会談は昨年のトランプ大統領とウクライナ大統領ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelenskyy)のオーバルオフィスでの騒動のようになる可能性もある。

歴史的にコロンビアは米国の最重要同盟国であり、1990年代から2000年代初頭にかけて麻薬対策や治安協力で大きな支援を受けてきた。しかし近年はペトロ政権の政策をめぐって摩擦が生じている。コロンビア国内のコカ栽培・コカイン生産増加が米国側の非難につながっている。

両首脳が直接関わる時間は長くない。ペトロ大統領は任期4年の終了に伴い、2026年8月に退任予定である。しかし、今回の首脳会談は、麻薬対策、貿易、外交関係の行方を占う重要な局面であり、両国関係の安定化に向けた象徴的な一歩として注目されている。

 

コロンビア歴史的協定、ペトロ大統領支持で全国動員を呼びかけ

コロンビアで歴史的協定(Pacto Histórico)は、グスタボ・ペトロ大統領が米国でドナルド・トランプ大統領と公式会談を行うことを支援するため、全国規模での動員を呼びかけた。集会は主要都市の広場で2月3日(火)に行われる予定である。

 

歴史的協定の著名議員イバン・セペダ(Iván Cepeda)は、ジパキラ(Zipaquirá)からの動画メッセージで市民に参加を呼びかけた。「来る火曜日、2月3日、ペトロ大統領はワシントンに滞在する。この日に、皆さんと共に大統領を支援し、生活賃金(salario vital)の維持や3月8日の国民投票への参加を守る意思を示そう。全ての人がボゴタ(Bogotá)に集まれ」と述べた。

ボゴタでの主要集会はチャピネロ(Chapinero)地区のルルデス公園(Parque de Lourdes)で午後3時に開始される予定で、社会団体や労働組合、政府支持者らの参加が見込まれる。歴史的協定は、この日を「市民の座り込み(plantón ciudadano)」形式で実施するとしており、ボゴタを中心に他都市でも同様の行動が行われる計画である。

 

今回の集会は、外交的期待と国内社会的要求が混在する中で行われる。政府党の声明によれば、主要スローガンは「国民の意思の尊重」と「外圧に対する国家主権の防衛」である。議員ピサロ(Pizarro)はX(旧Twitter)上で「何百万もの人々が、米国訪問中のペトロ大統領を取り囲み、生活賃金を守るために立ち上がるべきだ」と呼びかけた。

 

この街頭行動は、行政府が立法期間終了前に改革議題を推進し、国際政治や議会に対して市民支持を基盤とした正当性を確保する狙いも持つとみられる。

#GustavoPetro #DonaldTrump

 

参考資料:

1. El Pacto Histórico convoca movilizaciones nacionales para respaldar a Petro en su encuentro con Trump
2. Petro says Colombia cooperating with US ‘despite insults, threats’
3. An uneasy détente: Trump and Colombia’s Petro to meet at White House

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