エクアドル:2025年、22時間ごとに女性は1人が殺害された

エクアドルは2025年、深刻なジェンダー暴力の年となった。基金団体アルデア(Fundación Aldea)が作成した「フェミシディオマップ」によると、ジェンダーを理由に殺害された女性は411人に上り、これは1月1日から12月31日の間に女性1人が平均22時間ごとに命を奪われた計算である。

被害者には少女や思春期の若者、トランス女性も含まれており、特に未成年者の被害が50件に上ることから、早期から致命的な暴力にさらされている現状が浮き彫りとなった。また、トランス女性に対する憎悪犯罪による殺害、いわゆるトランスフェミシディオ(transfemicidios)は18件報告されており、女性トランスの脆弱性も明らかになっている。

地域別では、コスタ(Costa)およびシエラ(Sierra)地方にフェミシディオが集中しており、グアヤス(Guayas)が140件で最多、次いでマナビ(Manabí)が70件、ロスリオス(Los Ríos)44件、エルオロ(El Oro)37件、ピチンチャ(Pichincha)23件となっている。ただし、問題は全国に及んでいる。

 

アルデアによるとフェミシディオは少なくとも256件が犯罪組織に関連している。これはジェンダー暴力と非合法経済の結びつきが深刻化していることを示している。

さらに、報告書は被害状況の詳細も明らかにしている。137件のフェミシディオは親密な関係や家庭内、性的文脈で発生しており、少なくとも126人の被害者は母親で、16人は妊娠中に命を奪われた。被害者の29%は加害者と恋愛関係にあった。また、19人は殺害前に暴力を訴えていたことが確認され、いくつかの事件では性的虐待の兆候も見られた。

使用された手段では銃器が最も多く、次いで刃物やその他の方法が用いられた。こうした傾向は、フェミシディオと組織犯罪における武器へのアクセスとの関係を示している。

アルデアは、早期警告システムの整備、事前通報への適切な対応、高リスク地域への重点施策を含む包括的な予防・保護・被害回復政策の緊急性を強調している。「これは数字ではなく命である」と同団体は訴え、被害者とその家族に対する正義、記憶の保持、包括的な回復を求めている。

フェミシディオ根絶を掲げるスローガン「ニ・ウナ・メノス(Ni una menos)」は、各地の抗議行動で掲げられ、暴力の終息を求める声が続いている。

 

フェミシディオに関する法整備と現状のギャップ

フェミシディオは、ラテンアメリカ社会における深刻な問題の一つである。性別に基づく暴力の極端な形態として認識されると同時に、構造的な人権課題としても注目されている。エクアドルでは2014年、フェミシディオを刑事犯罪として明確に規定する法律が制定された。しかし、研究者のバネッサ・メディナ(Vanessa Medina)とウィルソン・デル・サルト(Wilson del Salto)は、刑法での明文化は犯罪の可視化や処罰に一定の役割を果たしたものの、成立から10年を経ても発生件数の著しい減少にはつながっていないと指摘する。一部の県では、逆に件数が増加傾向にあるという。

専門家らは、この現象が社会的・文化的・経済的要因に深く根ざした問題であることを示していると分析する。単に刑事罰を科すだけでは根絶は困難であり、教育の普及、予防策の実施、司法アクセスの強化などを組み合わせた包括的な対策が不可欠である。また、法律整備と並行して社会全体での意識改革や被害者支援の強化が求められるとしている。

フェミシディオという概念は、1976年にダイアナ・ラッセル(Diana Russell)が『女性に対する犯罪に関する第一回裁判(Primer Tribunal de Crímenes contra las Mujeres)』で公に提起したことに始まる。ラッセルは、女性が男性によって殺害される場合には、単なる殺人事件と区別できる要因として、憎悪や軽蔑、支配・所有の感覚が絡むことを指摘した。その後、1992年にはラッセルとジル・ラドフォード(Jill Radford)がこの概念を「女性に対するミソジニー(女性嫌悪)による殺害」として拡張している。

ラテンアメリカにおいてフェミシディオの実態を正確に把握することは容易ではない。特に恋愛関係における暴力事件が女性側から報告されにくい社会的背景があり、統計的分析が可能になるまでには時間を要した。

 

参考資料:

1. Ecuador cerró 2025 con 411 femicidios: una mujer fue asesinada cada 22 horas
2. Femicidio en Ecuador: diez años de evaluación frente a una realidad que no cambia

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