(Photo:CORTESÍA ODC)
1月26日(月)、エクアドルのダニエル・ノボア(Daniel Noboa)大統領と同政府は、最近の両国間における関税引き上げをめぐる緊張や、コロンビアへの電力販売の一時停止を背景に、コロンビア産原油をエクアドル国内のパイプラインで輸送する際の料金を引き上げると発表した。
エクアドルの環境・エネルギー相であるイネス・マンサノ(Inés Manzano)によれば、国内にある二大原油パイプラインの一つであるトランス・エクアドル原油パイプライン(Sistema de Oleoducto Transecuatoriano:SOTE)の輸送料金は、1バレル当たり3ドルから30ドルへと大幅に引き上げられた。この新料金は、コロンビアが電力販売を停止した決定に対する「相互主義」の措置として、1月23日(金)から施行されているが、輸入品に対する30%と言う課税措置はエクアドルが切り出したものである。
前日の1月22日(木)にもマンサノは、エクアドル国内で最大級のパイプラインの一つである重質原油パイプライン(Oleoducto de Crudos Pesados:OCP)を通じたコロンビア産原油の輸送についても、新たな料金を課す方針を示していた。マンサノはX(旧ツイッター)を通じて「重質原油パイプライン(OCP)を通じたコロンビア産原油の輸送料金は、電力分野で受けた措置に対する相互主義となる」と述べ、「エクアドルは国境の安全、貿易収支、そしてエネルギー安全保障を優先する」と付け加えた。
当初、同相は新たな料金の具体的な設定方法について詳細を明らかにしていなかった。しかし、同月26日(月)に地元ラジオ局「スセソス(Sucesos)」のインタビューに応じた際、今回の措置はトランス・エクアドル原油パイプライン(SOTE)を通過する原油に適用されるものであると説明した。同パイプラインはコロンビア最大の石油会社であるエコペトロル(Ecopetrol)が利用しているともそのタイミングで説明している。その一方、マンサノは、重質原油パイプライン(OCP)利用の料金引き上げが行われるかどうかについては明言を避けた。同パイプラインを用いての原油輸送は「民間同士の合意」に基づくものであり、原油自身もコロンビアの民間企業によるものであるからだ。エクアドルのメディア「プリミシアス(Primicias)」によると、2025年11月時点で、トランス・エクアドル原油パイプライン(SOTE)は、エコペトロル(Ecopetrol)および民間企業によるコロンビア産原油を、1日当たり約1万300バレル輸送していた。
マンサノ環境・エネルギー相によると、国営石油会社ペトロエクアドル(Petroecuador)が運営するトランス・エクアドル原油パイプライン(SOTE)を通じた原油輸送は、エコペトロルに対して「非常に重要なサービス」を提供している。この輸送により、コロンビア南部から太平洋岸まで原油を運び、輸出を可能にしているという。同相は地元ラジオ局での発言として、コロンビア南部は違法活動が多発し、多数の攻撃事件が発生している地域であるため、エコペトロルが十分な原油を確保する上で困難を抱えていると指摘した。その上で、エクアドルは同国を支援する形で原油の搬出を助け、最終的にエスメラルダス港(Esmeraldas)まで輸送してきた。さらに、このパイプラインは「エクアドルにとって戦略的資産」であり、「最大限の透明性」をもって運用されてきたと強調した。また、先週金曜日に決議として公表された新たな輸送料金について、マンサノは、「外国の利用者にとって、このサービスは供給可能性や提供の機会に左右されるものであり、それを踏まえて設定された料金である」との認識を示した。
重質原油パイプライン(OCP)は確かに民間所有となっている。しかしエクアドル政府によって管理されており、アマゾン地域の森林地帯から太平洋岸まで、1日当たり45万バレルの輸送能力を有している。一方、トランス・エクアドル原油パイプライン(SOTE)の輸送能力は、1日当たり36万バレルである。
エクアドル中央銀行(Banco Central de Ecuador)の最新データによると、同国の原油生産量は11月時点で日量46万9,000バレルだった。また、コロンビアが2013年にOCPの利用を開始して以降、同パイプラインを通じて輸送されたコロンビア産原油は、累計で4,600万バレルに達している。
エクアドルとコロンビアの関税をめぐる緊張
両国間の関税をめぐる緊張は、エクアドルがコロンビアからの輸入品に対する関税引き上げを発表し、これに対してコロンビアが対抗措置を示したことを契機として、2025年1月下旬に表面化した。電力取引の停止や原油輸送をめぐる措置が相次ぎ、短期間のうちに経済・エネルギー分野を巻き込む対立へと発展した。
こうした通商上の緊張は、エクアドルのダニエル・ノボア大統領が1月21日(水)、コロンビアからの輸入品に対して「30%の安全保障税」を課すと発表したことから始まった。ノボアは、この関税を2月1日から適用すると説明し、その理由として、麻薬密売対策における「相互主義の欠如」と「断固とした行動の不足」を挙げた。
同大統領は、X(旧ツイッター)への投稿で、「エクアドルは、年間10億ドルを超える貿易赤字を抱えながらも、コロンビアとの協力に向けた実質的な努力を行ってきた。しかし、対話を重ねてきたにもかかわらず、国境地帯では、麻薬密売と結び付いた犯罪集団に対し、十分な協力のないままエクアドル軍が対峙し続けている」と述べた。
これを受け、数時間後にコロンビアの商工観光省(Ministerio de Comercio, Industria y Turismo)および鉱業・エネルギー省(Ministerio de Minas y Energía)は、それぞれ声明を発表し、エクアドル側の関税措置に対する「相互主義」の対応として対抗措置を講じると表明した。
その結果、エクアドルから輸入される20品目以上の商品に対して、同様に30%の関税が課されることとなり、併せてエネルギーの販売も停止された。1月21日に行われた記者会見で、鉱業・エネルギー相のエドウィン・パルマ(Edwin Palma)は、「本日の午後6時がこの決定の発効時刻である」と説明し、これにより1月22日(木)以降、技術的な調整を伴う形でエネルギー供給の停止が実施された。
エクアドルの外務・人的移動相であるガブリエラ・ソマフェルト(Gabriela Sommerfeld)は金曜日、コロンビア側から、関税措置について協議するための会合を2月25日に行うとの提案を受け取ったと明らかにした。一方、エクアドル政府としては、会合を今週中に実施することを提案したという。
現時点では、会談の具体的な日程は公表されていない。また、コロンビアの商工観光省(Ministerio de Comercio, Industria y Turismo)は声明を通じて、新たな関税の対象となったエクアドル産製品の品目群を明らかにした。同省によれば、今回の決定では「エクアドル原産の製品に該当する23の関税項目を対象に、73の細分化された品目について、30%の従価税(アド・バロレム関税)を適用する」ことが盛り込まれている。対象品目は以下のとおりである。
- 播種用を除く、乾燥さやなしのその他のインゲン豆
- 播種用を除く、乾燥した野生インゲン豆またはササゲ
- 播種用のもみ米(パディ米)
- 短粒または中粒の半精米または精米
- その他の半精米または精米
- 砕米
- 肝油を除く、未精製の魚油および魚脂
- 未精製パーム油
- 精製を含むその他のパーム油およびその分画物
- 精製を含むひまわり油およびその分画物
- 部分的または完全に水素添加された植物油脂
- 砂糖無添加のココアパウダー
- アルコール度数80%以上の未変性エチルアルコール
- 変性エチルアルコールおよび蒸留酒
- ベントナイト
- 小売用殺虫剤
- ピレトリンを含む殺虫剤
- 小売用殺菌剤
- マンコゼブ、マネブ、プロピネブまたはジネブを含む殺菌剤
- その他の殺菌剤
- 小売用消毒剤
- その他の消毒剤
- 殺鼠剤および類似製品
- 非可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)
- 可塑化ポリ塩化ビニル(PVC)
- 幅20センチ以下のロール状自己接着平板
- 幅広ロール状のエチレン重合体製自己接着平板
- その他のエチレン重合体製自己接着平板
- その他のプラスチック製自己接着平板
- プラスチック製の箱、ケース、かごおよび類似品
- エチレン重合体製の袋、バッグおよび小袋
- プラスチック製の袋、小袋および三角袋
- ボンベ、ボトルおよびプリフォーム容器
- 大容量プラスチック容器
- その他のプラスチック製容器
- プラスチック製の栓、ふたおよび閉鎖用具
- 輸送または包装用プラスチック製品
- 乗用車用の新品タイヤ
- バスまたはトラック用の新品タイヤ
- 航空機用の新品タイヤ
- 波形加工用半化学パルプ紙
- その他の波形加工用紙
- 低坪量の再生繊維製テストライナー紙
- 高坪量の再生繊維製テストライナー紙
- 高坪量の紙および板紙
- バルク製品用フレキシブルコンテナ
- ポリプロピレン製の袋および大型袋
- 金属製つま先保護具付き防水靴
- くるぶしを覆う防水靴
- ゴム、プラスチックまたは革底で、甲部が繊維製の靴
- 非合金鋼製または鉄製の溶接管
- ステンレス鋼製の溶接管
- 正方形または長方形断面の溶接管
- その他の鉄鋼製溶接管
- 非合金アルミニウム管
- アルミニウム合金管
- ドリルビットおよびコアビット
- ダイヤモンドドリル
- 一体型ボーリング工具
- 穿孔または掘削用工具
- ねじ切り工具
- 穴あけ工具
- リーマまたはブローチ
- フライス工具
- 生鮮バナナ
- 乾燥バナナ
- 生鮮プラタノ(小型バナナ)
- サトウキビ糖(パネラ)
- その他のサトウキビ糖またはてん菜糖
- 粗製てん菜糖
- サトウキビ糖
- 香料または着色料を添加した砂糖
- 化学的に純粋なショ糖
アンデス共同体、両国の関税戦争と緊急対話に向け仲介役を再提案
アンデス共同体(Comunidad Andina:CAN)の一機関であるアンデス企業諮問評議会(Consejo Consultivo Empresarial Andino)は、エクアドルおよびコロンビアが発表した関税措置、特に両国間の輸入品に対する30%の関税賦課について、強い懸念を表明した。
ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルーで構成されるアンデス共同体は、こうした関税戦争の姿勢が継続された場合、二国間貿易や各国の国内市場に深刻な悪影響を及ぼす恐れがあると警告した。
同機関は、これらの措置が雇用や生産部門の所得、さらには消費者に直接的な影響を与えると指摘したほか、不正経済や違法取引の拡大を助長する可能性もあるとしている。
その上で、エクアドルが今回の措置を、コロンビアによる犯罪対策の不十分さを理由に正当化している点を踏まえ、アンデス共同体は、麻薬密売という共通の課題に対処するため、両国が連携した政策を調整・実施するよう求めた。
アンデス共同体はさらに、二国間関係の再構築と強化が、競争力および地域経済の改善につながるとの認識を示した。その一環として、同機関の事務総長の同席のもと、エクアドルとコロンビアの二国間対話における仲介役を務めることを提案し、交渉による解決を後押しする意向を示した。
一方、コロンビアの外相であるロサ・ビジャビセンシオ(Rosa Villavicencio)は、1月27日および28日にエクアドルとの会合を提案したものの、現時点では正式な回答を受け取っていないと明らかにした。
また、同外相は、必要であればアンデス共同体の紛争解決メカニズムを通じて、同機関に技術的かつ政治的な仲介役を求める可能性を排除しないと述べ、これを紛争解決に向けた選択肢の一つとして強調した。ビジャビセンシオは、「可能な限り短期間で措置を解除する結末を望んでいる。コロンビアは、外相会談を一刻も早く実現するよう、改めてエクアドルに呼びかける」と述べた。
参考資料:
1. Ecuador sube 900% tarifa de transporte de petróleo colombiano en medio de tensión por aranceles: así quedó nuevo aumento
2. La Comunidad Andina advierte impactos negativos económicos por guerra arancelaria entre Ecuador y Colombia

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